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2014年2月 8日 (土)

27年ぶりにSLを走らせた地域おこし 「町屋の人形さま巡り」(2)

「地域おこしは一人からでもできる」ことを実証した吉川氏(当時30代)ですが、以前は商店街の会合すらあまり行かず、行ってもいつも隅に座って特に発言することもない目立たない存在でした。しかし、偶然の出会いから町の一大事を知ってしまい、町を思う純粋な気持ちが勇気を奮い起さざせ、町おこしに邁進させました。(※)

ヒント1 数百匹の吊るされた鮭を見に訪れるお客さまの意外な反応
吉川さんの店(伝統的な鮭の製造加工販売)の奥には土間の通りに沿って天井の梁から何百匹という鮭が頭を下にして吊るされています。経営努力の甲斐あって年々増える鮭を見に訪れるお客様に一組一組、村上の鮭の食文化や郷土の話をしていましたが、そんな中で客人の共通する意外な反応に、あるとき気付きがあったそうです。

ヒント2 自分たちには当たり前の町屋が、旅人には別のものに映っていた
「この家、江戸時代にタイムスリップしたみたい。囲炉裏もある」「懐かしい。昔私もこんなところに住んでいたの」とか、「都会のマンション暮らしからすると、こんな町屋は心落ち着いてしっとりとしていてうらやましい」等々。町屋に対してお客様が目をとめ、何かを感じている。この気づきが、その後の取り組みに大きく影響する。

ヒント3 「町屋のお人形さま巡り」につながる2つの言葉との出会い
当初はお雛様を飾る構想でしたが、「お雛様はないけど、違う人形だったらうちにはある」と、漆器店の若主人が発した「うちの人形さま」という温かみのある言葉で変わります。催しのタイトルは「城下町村上町屋の人形さま巡り」に、そしてサブタイトルは「江戸時代から平成までの人形千体を各町屋で展示」となりました。

NHK「新日曜美術館」で放映され、全国から人が押し寄せる
第一回の「村上人形さま巡り」はお金をかけない催しです。そのため各方面にプレスリリースを行いました。それが会期中のNHK教育テレビ「新日曜美術館」の放映につながりました。この放映の翌日から、全国レベルで、実にさまざまの県からお客様がやってきました。東京はもちろん、九州・四国・北海道からも来られたのです。

第二弾「町屋の屏風まつり」とSL「村上ひな街道号」
この年の秋には伝統の屏風を町屋で展示する「町屋の屏風まつり」を実施しましたが、きっかけは人形巡り参加店のご主人から「うちのお袋が人形さま巡りをやったら非常に元気になった。一つ、秋にも何かやってくれないか」に背中を押されたそうです。

2002年(平成14年)の第3回の人形さま巡りでは、そのオープンに合わせて村上の町に27年ぶりにSLが走りました。当時の村上駅長が、村上市民の熱の入った取り組みと人情に大変感銘を受け、SL運行という夢の実現に挑戦してくれました。
★なおこれらの街おこし活動は、平成15年度地域づくり総務大臣表彰を受けています。

※:『町屋と人形さまの町おこし』(吉川美貴著/学芸出版社)

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