〝良い〟コミュニケーションとは 相乗(シナジー)効果を考える(6)
ある研修で、良いコミュニケーションを心がけましょうとお話すると、「コミュニケーションに良い悪いがあるのですか?」との質問を受けました。その場では簡単に解説しましたが、ここ数回取り上げている『7つの習慣』の中に、3つのコミュニケーション(防衛的・尊敬的・相乗効果的)が紹介されていますので、今回はこれを取り上げてみることにします。
信頼とコミュニケ―ションレベルの関係
最もレベルの低い「防衛的なコミュニケーション」は、信頼のない状態で生まれるものである。それは、自分の立場を守ることに重点を置いて、場合によっては契約書のような言葉で表現され、あらゆる状況を前もって想定し、問題が起きたときの対応策すべてに明確に逃げ場を確保しようとするものである。
次は、「尊敬的なコミュニケーション」である。これは、ある程度成熟した人が普段接するレベルである。お互いに対する尊敬はあるが、難しい衝突を避けたいがために、丁寧に話しあうものの、お互いの立場を裏づけるパラダイムを深く見つめることはなく、そのために新しい可能性を求める余裕はない。
尊敬的なコミュニケーションは自立状態においてはうまくいくだろうし、相互依存状態においてもある程度はやっていけるだろう。しかし、新しい創造的な可能性を、それだけで実現することはできない。相互依存状態においては、ほとんどの人が妥協という道をとってしまう。妥協では、1プラス1は1.5にしかならない。
実際、ここでのコミュニケーションは、防衛的なものでもなく、怒りを表現するものでもなく、相手を操ろうとするものでもない。正直で、誠心誠意にあふれ、敬意を示したものである。しかしながら、創造的で相乗効果的なものとは言えない。せいぜい低次元のWin-Winをもたらす程度である。
「相乗効果的なコミュニケーション」を行えば、1プラス1は8、あるいは千六百にもなる。高い信頼に基づいて相乗効果が発揮されれば、それは各当事者の最初の提案よりも優れた案を生み出し、すべての当事者がその案に対して決意することができる。そのうえ、創造的な活動に参加することを、心から楽しむことになる。
その命は短くとも、そこにはP(目標達成の機会)とPC(目標達成の能力)のバランスがあり、心を満足させるものがある。また、相乗効果を達成することができず、No Deal(取引しない)も選択できない状況になったとしても、誠心誠意、相乗効果を求める姿勢は、より効果的な妥協点を見出すことになるだろう。
※:『7つの習慣』(スティーブ・コビー著/キング・ベアー出版)
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