チェスでは、アマチュアが最強マシンに勝利 相乗(シナジー)効果を考える(2)
前回紹介した、谷川浩司日本将棋連盟会長のコメントに「5局を通じてルールの変更(事前のソフトの貸出)など・・・」があったとありました。実はチェスの世界も、どうしても太刀打ちできないコンピューター対策としてルール変更があったのです。人間側の勝手ともいえますが、意地ともいえるかもしれませんね。
コンピューターと人間のチェスの戦いに持ち込まれた「対話」と「議論」
1997年、人間最高のチェスの名手ガルリ・カスバロスがディープ・ブルー(IBMが1000万ドルを投じて開発したスーパーコンピューターで、チェスための専用プログラムを搭載)に敗れて以降の対戦では、いつもコンピューターが勝つようになり、面白くなくなったため、試合は「フリースタイル」が認められるようになりました。
人間とコンピューターの組み合わせで戦ってもよいのがフリースタイル
ところで、近年のフリースタイルの優勝者は、最高の人間でも最強のコンピューターでもないそうです。現在最も強いプレーヤーはコンピューターではなく、コンピューターを使った人間のチームです。ある大会では、優勝者はアメリカ人のアマチュアプレーヤー2人と3台のコンピューターで編成されたチームでした。
優勝チームは「弱い人間+マシン+よりよいプロセス」の組合せだった
優勝チームはマシンに学習させる能力(対話)に長けており、これが決め手になりました。対戦相手にはチェスのグランドマスターも、もっと強力マシンを持つチームもいました(彼らは議論してた?)。しかし、弱いと思われた組み合わせが強力なマシンに、「強い人間+マシン+お粗末なプロセス」の組合せを打ち負かしたのです。
心理学における「対話」とは、そして「議論」「雑談」との違いは
居酒屋での雑談では真剣さが足りず、会議室の議論では協調的な問題解決が困難であるとするとき、そこに新たに見出されるべきなのが「対話」という第3のコミュニケーション・スタイルなのである。これは『ビジネスでいちばん大事な「心理学の教養」(※)』の一節ですが、山本は、この「対話」の効果に大きくうなずかされました。
なお、文中「雑談」「議論」「対話」は下記のように分類されていますのでご参考まで。
「雑談」=(雰囲気:自由なムード)+(話の中身:たわむれ)
「議論」=(雰囲気:緊迫したムード)+(話の中身:真剣)
「対話」=(雰囲気:自由なムード)+(話の中身:真剣)
※:『ビジネスでいちばん大事な「心理学の教養」』(酒井穣著/中央公論新社)
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