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2014年7月17日 (木)

俳人の豊かな感性で「こころを考える」 『ニューモラル』珠玉の言葉(1)

千葉県柏市に、倫理道徳の研究と、これの基づく社会教育を推進する研究・教育団体のモラロジー研究所があります。先日こちらをお訪ねし、1969年創刊の『ニューモラル』の定期購読(1冊40円)を申し込みました。バックナンバーは国会図書館で読みましたが、中には珠玉の名言がいっぱい詰まっており、その内容を順次紹介します。

「無財の七施」(俳人 楠本憲吉)
先日、八重洲口からバスに乗った。わりに混んでいて満席で立っている人もかなりいた。私は入り口近くで、吊り革にぶら下がって立っていた。私の前の席には若い女の子が笑って文庫本を読んでいた。

次の停留場から足の不自由な中年の男性が杖を一本ついて乗って来た。それを素早く見た、件(くだん)の少女は、すっと席を立ち
「どうぞ」
といってその男性に席を譲った。男性は素直に
「有難う」
といってその席に座った。少女は
「いいえ」
と答え、ニッコリ笑った。

わずか十数秒の出来事であったが、私は感動した。
仏教に「無財の七施」という言葉があって、人は誰でも、お金がなくても病人であっても、七つの施(ほどこし)ができるというのである。その七施の中に「言施」、「顔施」、「心施」というのがある。

「どうぞ」「有難う」「いいえ」という美しい日本語のやりとりは、まさに「言施」そのものである。少女が見せた微笑はまさに「顔施」である。そして席を譲ったその思いやり、やさしさこそ「心施」そのものである。
そして、この「やさしさ」「思いやり」「ほほえみ」「美しいことばづかい」こそ、人間の色気ではあるまいか。
私はこの少女に年甲斐もなく素晴らしい色気を感じた。
その少女は私のことなど眼中になく次の停留場で下車してしまったが、私はその日、いつまでもすがすがしい思いが心に残ったのであった。

出典:モラロジー研究所刊『ニューモラル No.56(昭和49年4月号)』より

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