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2014年9月25日 (木)

正しいのは「現状回復」「原状回復」? 『その日本語、ヨロシイですか?』(1)

今回取り上げる『その日本語、ヨロシイですか?』の著者は新潮社の校閲部長・井上孝夫氏です。このプロフェッショナルにも、短時間で一回しか校正できないグラビアページで校正ミスがあったそうです。「東條英機」氏の名前が「東條英樹」と記されていたのを見逃したとか。発刊直前に気づいて修正したそうですが、怖い世界ですね。

新潮社の校閲部長が用例が多くなったため悩んでいるという「送りがな」の例
「趣(おもむき)」→「趣き」    「手短(てみじか)」→「手短か」
「名残(なごり)」→「名残り」   「咳こむ」→「咳き込む」
「隣(となり)」→「隣り」     「躾(しつけ)」→「躾け」
「幼子(おさなご)」→「幼な子」
これらは、以前は必ず送りがなを取るか? と疑問を提出していましたが、あまりに用例が多いので、最近はギブアップしてそのまま通すことも多くなったとか。

困った例「ひにち」。これは漢字表記ができない。他に「受付」「取扱」も
「日にち」は「にちにち」、「日々」「日日」は「ひび」または「にちにち」と読まれかねないからです。「受付」と「受け付け」「受付け」、「取扱」と「取り扱い」「取扱い」。これらは、一般名詞なのか動詞の名詞形なのか、また表記の長さに対する感覚などによって違いますが、はっきりした区切りが付けにくい例です。

「漢字の使い分け」を共同通信社の『記者ハンドブック』(第十版)を見ると…
「かたい」という形容詞の表記例として
「固いことを言わずに」/「型苦しい」/「態度が硬い」
とあります。ええっ、どこが違うの?と思わず口走りたくなります。これに似た例はいくつもあります。

「にらみが利く」と「風刺が効く」/「ビデオに写る」と「ビデオを映す」
「屋上に上る」と「神殿に昇る」、「天守閣に登る」。
さすがに全てのケースを決められなくて、「紛らわしいときは平仮名書き」となっているものもあります。

新潮社「新人教育」で使われた同音異義語の「変換ミス」例(右が正しい表記)
濡れ手で泡→濡れ手で粟/危険の余地は出来た→危険の予知は出来た/加熱気味の報道→過熱気味の報道/牽引者となって→牽引車となって/うるさ方→うるさ型/申告罪→親告罪(注:「親告罪とは、被害者が訴えて出なければ起訴されない犯罪)/盛りたてる*→守りたてる/現状回復→原状回復
*「盛りたてる」は、現在の『新明解国語辞典』では認められています。

参考文献:新潮社校閲部・部長による『その日本語、ヨロシイですか?』(井上孝夫著/新潮社)

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