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2014年9月28日 (日)

「余生を振り返る」ことはできるか? 『その日本語、ヨロシイですか?』(2)

現代用語2例について著者の見解。「だから!」は自分の説明を人が理解していない、と感じた時に発言しますが、威圧的な言い方で、「お前は馬鹿だ!」と言っているに等しいとか。また、「サクサク進む」は近来、OA機器の動作が極めて順調な状態を表現する語として使われ、一般的になりつつあると肯定的に受け止められています。

「言い間違い・聞き間違いに見る日本語」
「余生を振り返る」:さる小説の帯用に書かれた原稿にあった表現。一瞬、OKを出してしまいそうですが、「余生」は、老後に残された人生のことですから、これを振り返るのはちょっと難しいでしょう。あの世に行ってからでないと。余生において「人生を振り返る」「来し方を振り返る」というのが無難な言い方だと思います。

「病人はタンカーで運ばれた」。これはテレビ局のテロップを構成したことのある人から聞いた例。これを書いた人は、TANKAという語が「担架」と漢字を当てられる日本語だ、と認識していなかったのではないかと思われます。語尾の部分を伸ばせば英語っぽいし、カタカナで書くのだと独り決めしていたのでしょう。

「犯罪を犯す」「流言が流れる」「魂を鎮魂する」――「馬から落馬」式表現
これは意味がダブっているから間違い、というのが常識的解釈です。
しかし、例えば「被害を被る」はどうでしょうか。テレビドラマで、「『後から後悔する』は間違いだ」といった趣旨の台詞を耳にしました。確かに冗長ではあります。そうなると「予め予測する」というのもダメ、ということになりますね。

甲子園の初戦、対戦相手の強豪校に名前負けすることなく善戦した
「名前負け」というのは、名前が立派すぎて自分自身が見劣りしてしまうことを意味します。相手の名前に圧倒されることではありません。
「先代の名を襲名したが、どう見ても名前負けしている。」などという言い方をします。
この表現を目にしたら、校閲としては、やはり疑問を提出するでしょうね。

死語(今はほとんど使われない)の世界、いっぱいある中から2例
悩殺:これは親父ジャーナリズムにかろうじて生き残っている。言葉のニュアンスがあまりに古びてしまって、化石化しかかった言葉といえます。
苦み走ったいい男:甘いルックスではなく、もっと大人の、というか、人生の酸いも甘いも噛み分けた、きりりとして人間味のある容貌、といった感じでしょうか。

参考文献:新潮社校閲部・部長による『その日本語、ヨロシイですか?』(井上孝夫著(絵・文とも)/新潮社)

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