日本語を使いつづけると柔らかい人になる 「察しの文化」(9)
アメリカとフランスで長年留学や研究生活を送ったという豊富な異文化経験の持ち主の加藤恭子氏編著の「私は日本のここが好き!」(出窓社)に、ごく普通の留学生や、長期滞在の外国の人々が、自由に語った肯定的な日本観があります。日本人がふだん気づいていない日本の良さを、外から目線で教えられるところが多々ありました。
日本化されると、にこやかに謝ってしまう
横浜で生まれたドロシー・プリントさんの証言。日本のどこが好きかと聞かれれば、第一に人間です。朗らかで、親切で、にこにこした顔が多い。満員電車の中でさえも、穏やかな顔をしているように私には思えます。他の国ではもっとけわしい、しかめ面が多いですよ。日本化された私は、英国でにこやかに謝り誤解されたこともあります。
以下は、神戸にあるコミュニカ学院院長の奥田純子氏が留学生たちから集めたものからの抜粋です。
●あいづち・うなずきながら聞く習慣(韓国・台湾の男女)
なんでも賛成して、自分の意見がないのかと両親に言われた。相手の話をうなずきながら、聞く習慣が身についていた。あいづちを打たない相手には、母親の会話でも聞いてる? と言ってしまう。うなずくことは、相手への気遣い、やさしさだと思う。
●人の話を聞くようになった・自分だけ話さない(フランスの女性)
一時帰国したとき、友人から静かになった(ペラペラ話さなくなった)と言われた。相手の話をよく聞くようになったことに気付いた。フランス語で会話していると話があちこち飛んで、疲れる。断定しなくなった。
●とりあえず(韓国の男性)
物事は計画を立て、見通しをつけてからやるのが正しいと教えられたし、そうやってきた。まずやってみて、その経験から何かを始めることはなかったが、日本語の「とりあえず」という言葉に出会ってから、「とりあえず」始めることの大切さを知り、自分の社会とのかかわり方や感じ方、行動が変わった。(例:とりあえずビール)
●食器を片づける(台湾の女性)
セルフスタイルのレストランで、食後にトレーで食器を返却口まで返した時、母に日本に行ってメイドになって帰ってきたと言われた。台湾は協力したり次のお客のことを考えたりしない文化だと思った。日本のスタイルのほうが気持ちがいい。
●日本に帰るとホッとする(国籍不特定)
言葉(声調、音声、物言い)の柔らかさがある。優しい。直接的に言わない。人を押しのけて競争することがない。始まりの時間は厳しいが、終わりの時間は緩やか。
参考文献:『日本の感性が世界を変える 言語生態学的文明論』(鈴木孝夫著/新潮社)
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