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2015年2月

2015年2月26日 (木)

互恵的利他行動促進にはアメとムチのどちらが効くか? 利他学(5)

互恵的利他行動を維持していこうとする場合、アメとムチではどちらが効果的なのかというと、実はムチ(罰)の方なのだそうです。理論生物学者のロバート・ポイドらは、その理由として、罰を与えることで集団から裏切り者を減らしていくというのは負のフィードバックになるからだ、と言っています。

コミュニケーション上のフィードバックとは別のフィードバック機能
フィードバックとは、入出力をもつ系において、出力が入力や操作に影響を与えること、と定義されています。フィードバックの身近な例は、エアコンの温度調整でしょう。フィードバック機能があるおかげで、放っておいても設定温度よりも低ければ高くなるように調整してくれるし、高ければ低くなるようにしてくれます。

社会が持つ司法制度や警察制度は多額の税金によって維持されている
ある集団の中に多くの裏切り者がいるとします。これらに罰を与えるのはコストのかかることですが、その結果として裏切り者の数はどんどん減ります。すると、数が少なくなったぶん、罰を与えるコストは少なくて済むようになります。つまり、どんどん裏切り者を探し出し、罰を与えていけばいくほど、コストは少なくなるのです。

もしかして、日本の高い治安はムチ政策によってもたらされた!?
最終的には、実際に罰を与えなくても、罰があるという可能性だけで裏切り者の発生を抑えるところまでいくでしょう。もしかしたら、現代日本のような治安がよい社会は正にこういう状態なのかもしれません。一方、報酬を与えることで集団内に利他主義者を増やしていくのは、その逆のフィードバックになります。

利他主義者に報酬を与えることも、もちろんコストがかかります
ある集団のなかに利他主義者が何人かいて、これらに報酬を与えることで集団内の割合を増やしていこうとするとどうなるでしょうか。報酬によって利他主義者は増えていきますが、数が多くなるとそれだけ報酬にかかるコストも増えていきます。つまり、このやり方では利他主義者が増えるほどコストがかかってしまうのです。

自然淘汰は、より少ないコストで適応度を上げるものを選択していきます
ゆえに、裏切り者を探し出したり記憶したりすることで罰を与えるしくみの方が、利他主義者を覚えておく「しくみ」よりも発達したのかもしれません。
以上が、小田亮氏の「アメとムチ」論でした。日本の社会に「減点主義」が多いのは、こうした考え方が根底にあるのだとしたら、少しさみしい気がいたしますね。

参考文献:『利他学』(小田亮著/新潮社)

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2015年2月22日 (日)

視線を感じると人は利他的行動を取る 利他学(4)

2人の米国の心理学者が大学生に実験室に来てもらい、独裁者ゲームに参加してもらいました。パソコンの前に座った参加者には、分配者(独裁者)かあるいは被分配者のどちらかの役割が割り振られます。分配者には、実験者から与えられる10ドルの中から、1ドル刻みで好きなだけ被分配者に分配するようにとの指示が与えられます。

4グループに分け、独裁者ゲームを行うと
分配者をパソコンの画面上に、「ホルスの目(古代エジプトのシンボル)」が2つ表示されている、同じ位置に単に文字が表示されているグループに分けます。もうひとつの条件としてヘッドホンをする、しないのグループ分けもしました。これらの4つの組み合わせにそれぞれ、20人強の分配者が割り振られました。

ホルスの目が2つあると1.5倍も気前がよくなる
さて、相手に対する分配額をそれぞれの条件で比べてみると、いちばん分配額が多かったのが、ヘッドホンなしで、目の絵がある条件でした。平均して3.79ドルが相手に分配されました。一方、ヘッドホンなしで、目の絵がない条件では平均2.45ドル。これらのあいだには、統計的に意味のある差がありました。

「目」だけのポスターには盗難を防止する力がある!
つまり、この差は偶然ではない、ということです。同じ目の絵がない条件でヘッドホンをした場合の分配額は2.32ドルであり、どうやら外界の音が聞こえているかどうかは分配額には影響しないようでした。しかし、目の絵のあることによって、分配額は増えました(この現象は、目のポスターを貼ると盗難防止に役立つことに共通する)。

なぜ目があると利他的になるのか?
この実験から、目の絵があることが利他性を高めるということが分かりました。つまり、人間には自分の方を向いている目をみると利他性が高まるという「しくみ」があるということなのです。では、なぜそのような「しくみ」があるのでしょうか。そこで考えなければいけないのが「機能」の問題です。

その鍵になるのは、「評判」ではないかと考えられている
前号で述べたように、お返しが期待できないような赤の他人への利他行動は、間接互換性によって維持されていると考えられます。そのためには、利他行動のやり手がよい評判を得ることができなければならなりません。そこで、他人の目があるときにはより利他行動をする、という「しくみ」が進化したのではないかというわけです。

参考文献:『利他学』(小田亮著/新潮社)

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2015年2月19日 (木)

「評判」が人に互恵的利他行動を起こさせる? 利他学(3)

私たちはしばしば、お返しができない相手に対しても利他行動を行います。前出のトラック運転手と子ども連れは初対面であり、その後も顔を合わせることはありませんでした。これを取り上げた放送局が運転手をつきとめて取材を申し込みましたが、「当然のことをしたまでだから、取材は勘弁してほしい」と言われたそうです。

情けは人のためならず
お返しが確実でなければ互恵的利他行動は成り立たないはずなのに、なぜ人はこのようなことをするのでしょうか。その答えは、「情けは人のためならず」ということわざにあると筆者。なお、このことわざは、情けをかける、つまり他人を助けることは、その人のためではなく、廻り回って自分のためになるのだ、という意味でしたね。

たしかに人間社会においては、助けてあげた相手から直接ではなく、まったく別の人から間接的にお返しがあることがあります。これを、「間接互恵性」と呼びます。
あるラジオ番組が紹介した投書があります。車でショッピングセンターに出かけたのはいいのだが、買物を終えて屋外の駐車場に戻ろうとすると、突然雨が降ってきた。

あいにく傘は持っていないが、ずぶ濡れになるのはいやなので、しばらく待っていると、ある人が傘を指し掛けてくれて、一緒に車のところまで行きましょう、と言ってくれた。その親切さに感動したので、今後は自分もそういう人を見かけたなら同じように傘を差し掛けよう、と決心した。

これはまさに間接互恵性の一例だといえます。傘を差し掛けた人は直接お返しをもらったわけではなく、傘を差し掛けられた人のお返しは第三者に向かっているのですが、このようないわば親切の輪が廻っていけば、最終的には傘を差し掛けた人に何らかのかたちで利益が戻ってくるかもしれません。

しかし、文明以前の小さな集団ならともかく、現代の文明社会にみられるような大きな集団で、そのように廻り回ってお返しがくることがありえるでしょうか。そこで注目されているのが、「評判」なのです。

進化生物学者リチャード・アレグザンダーは誰かにした利他行動に対し、たとえ本人から直接的なお返しがなくても、それを見ていた第三者によって、「あの人は親切な人だ」という評判がたてば、その後のやりとりで利他的に振舞ってもらえるだろう、ということを提唱しました。そうすれば、利他行動は十分に報われたことになります。

参考文献:『利他学』(小田亮著/新潮社)

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2015年2月15日 (日)

4つの「なぜ」 続・ティンバーゲンの問い(後篇) 利他学(2)

2015年2月10日の朝日新聞「声(Voice)」の欄に「冬の無人駅で受けた親切に感謝」という投書がありました。なぜ、人間は困った親子を通りすがりのトラック運転手が100キロも遠回りして助けたり、この投書のような利他行動を取る「しくみ」があるのでしょうか。今回は、そのメカニズムに「機能」との関係から迫ります。

人間が利他行動をする「しくみ」と「機能」の関係
道具を例にとって考えてみよう。一般的なハサミがどういう「しくみ」になっているかというと、ふたつの刃が交叉するように固定されていて、反対側には穴が空けられている。なぜこんな形になっているかというと、穴の部分に指を入れて刃を操作し、紙をふたつの刃ではさみこんで切断するためである。つまり、紙を人力で切るという「機能」を最も効率的に果たすために、ハサミの「しくみ」があるのだ。

人間が設計した人工物の場合、このように、「しくみ」は「機能」のためにある。ゆえに、ある人工物を前にしたとき、それがもつ「機能」が何であるかを考えると、その「しくみ」についての理解が進む。これが、「リバース・エンジニアリング(逆行設計)」という考え方だ。

人間がつくった道具というものは、普通は何らかの機能を持ち、目的を果たすように設計されている。つまり、人工物というのはエンジニアリングによって何らかの機能を果たすために各部分がつくられ、働いている。ということは、その人工物がもつ「機能」を考えれば、その人工物の「しくみ」につての理解が進むのではないか。

いままでハサミというものを見たことがない人が、生まれて初めてハサミを目にしたとしたらどうだろうか。なぜ、ふたつの刃が交叉するようになっていて、なぜ反対側に穴が空いているのか疑問に思うだろう。そこで、ハサミの機能を考えてみることが、その「しくみ」を理解するうえで大きなヒントになるに違いない。

同じことは、生物につてもいえる。人間だけでなく、すべての生物について、なぜその種がそんな「しくみ」をもっているのか、という問いかけをするとき、その「機能」を考えることが大きな助けになるのだ。

もちろん生物は誰かが設計して造ったものではない。その点は人工物と異なるところである。しかし、生物もメカニズムが働けば、あたかも誰かが設計したかのように非常に機能的なものになるのである。それが、「自然淘汰」だ。
文章は「自然淘汰と適応」に続きますが、本稿では割愛させていただきます。

参考文献:『利他学』(小田亮著/新潮社)

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2015年2月12日 (木)

4つの「なぜ」 続・ティンバーゲンの問い 利他学(1)

前回の「美しいセオリー(5)」は、少々難解だったかもしれません。しかし、あえて最終回で取り上げたのは、今回紹介する内容で「ティンバーゲンの問い」をある程度補足できると考えたからでした。京都大学霊長類研究所でおサルさんの研究をしていた小田亮氏の著書『利他学』が、「ディンバーゲンの問い」に触れています。

なぜ、私たちは他人に対して親切にするのだろうか
先日あるテレビ番組を見ていたら、大雪による列車の運行停止で高校の入試に遅れそうになった親子連れがヒッチハイクを試み、たまたま乗せてくれたトラック運転手が100キロほども遠回りをして、受験会場まで送り届けてくれた、というエピソードが紹介されていた。運転手は「ヨコヤマ」とだけ名乗って去って行ったそうだ。

なぜ彼は、そんなことをしたのだろう
人間に限らず、動物一般の行動について、「なぜ」そんなことをするのだろう、ということを考えるときには、4つの異なる考え方がある。これは、動物行動学の創始者の一人であり、1973年にノーベル医学・生理学賞を受賞したニコ・ティンバーゲンが提唱したものだ(前回記したものと文言は多少違いますがほぼ同内容です)。

4つの「なぜ」とは? ( )は専門家による要約
(1) その行動が起こる仕組みは何なのだろうか (至近距離)
(2) その行動にはどんな機能があるのだろうか (究極要因)
(3) その行動は個体の一生のうちに、どのように発達してくるのだろうか (発達要因)
(4) その行動は、進化の歴史においてどのような過程を経て今日に至っているのだろうか (系統的進化要因)

これらは、メカニズムかプロセスか、時間軸が長いか短いか、という分け方もできる。(1)(2)はメカニズムであり、(3)(4)はプロセスである。
これらの4つの問いは、それぞれ別々の視点から同じ行動を眺めているのであり、どれが正しいというものではないし、混同してはいけない。ところが、「なぜ」ということを考えるとき、「しくみ」についての答えで終わってしまうことがよくあるのだ。

心理学では利他行動は「援助行動」あるいは「向社会的行動」などと呼ばれることが多く、どのような場面でどういった感情が働いて、このような行動が発現するのか、という記述に終始している。しかし、それだけでは答えになっていない。なぜ、人間はそのような「しくみ」があるのだろうか。また、なぜその「しくみ」はそのような特徴を持っているのだろうか…。(後篇に続く)

参考文献:『利他学』(小田亮著/新潮社)

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2015年2月 8日 (日)

魚を与えるより釣り方を教える(ティンバーゲンの問い) 美しいセオリー(5)

私たちは、そして私たち以外のあらゆる生物は、なぜこんなふうに行動するのだろう? この問いへの答えは実は存在しない。だからこそ私は、動物行動学者で鳥類学者のニコラス・ティンバーゲンの問いを選ぶ。なぜなら、唯一の深淵かつエレガントで美しい説明など存在しないからだ。

魚を与えるより釣り方を教えるかのごとく、ティンバーゲンが与えたのは、普遍的な説明ではなく、観察された個々の行動について、私たちが答えを見つけ出すための枠組みだった。その枠組みは、彼の専門分野である動物行動学のパラダイムの中だけでなく、あらゆる分野におけるあらゆる行動について有効だ。

ティンバーゲンの問いは簡潔に言うと次のようになる
・どんなメカニズムがあるか? それはどんな仕組みで働くのか?
・どんな発達過程があるか? 時とともにどのような発達過程が観測されるか?
・どんな機能があるか? その行動をとった、考えられるすべての理由は?
・その起源は何か? その行動が現れるまでたどったかもしれない多くの過程はどんなものか?

これら1つ1つの問いへの答えを探す中で、私たちは少なくとも、遺伝子と環境の相互作用、基礎的な(たとえば神経解剖学的、神経生理学的、内分泌学的)プロセス間の相互作用、解発因子と臨界期の相互作用や、利得と損失のバランス、そしてそれらが時とともにどう変化してきたかについて、考えざるを得ない。

その上、ほとんどの「とっておき」の説明と違って、ティンバーゲンの問いは永遠だ。彼の問いへの答えは、しばしばその時々の科学界の風潮に影響されるが、それらの知見が世に出るにつれて変化していく。ティンバーゲンの問いは、新たなデータが手に入るたび、私たちに基本前提を再考するよう促すもので、それには分野は関係ない。

シンプルでエレガントな答えに魅了されるのは、私にはダグラス・アダムズ(『銀河ヒッチハイク・ガイド』)的探求に思える。すべての答えである「42」*にいたることはできても、適切な問いの立て方を知らなければ、答えそのものは大して意味を持たないのだ。
*『銀河ヒッチハイク・ガイド』の作中、「生命、宇宙、万物についての究極の疑問の答えを問われたスーパーコンピュータ、ディープ・ソートが750万年の計算の末に出した答えが「42」。

本稿筆者:アイリーン・ペパーバーグ(ハーヴァード大学講師、ブランダイズ大学客員准教授:心理学)
出典:『知のトップランナー149人の美しいセオリー』(青土社)

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2015年2月 5日 (木)

1人の人間が世界をどれほど変えられる(個人の大切さ) 美しいセオリー(4)

私は、自分が科学者だと思っており、私の思考の中心には進化理論がある。私は社会学者であり、経済学を含む多くの社会科学の分野からの洞察に教えられてきた。
それでも私は、人間行動のすべてを進化心理学で説明しようとする覇権主義的な試みにも、経済学の合理的な選択で説明しようとする試みにも、その両方の枠組みの折衷にも、ほとんど賛成しない。

ほとんど70億に近い住民によって占められているこの世界で、たった1人の人間が世界をどれほど変えられるか、私には驚くべきことに思える。モーツァルトやストラビンスキーのいない古典音楽を考えてみよう。カラバッジョ、ピカソ、ボロックのいない美術、シェークスピアもベケットもいない芝居の世界。

ミケランジェロやレオナルドがどれほど驚異的な貢献をしたか、最近では、スティーブ・ジョブズの死にあたって(それを言うなら、マイケル・ジャクソンやダイアナ妃の死も)深い感情が引き起こされた事を考えてみよう。モーゼもキリストもいなかったら、人間の価値はどうなっていたか、考えてみよう。(中略)

私は、過去100年で最も重要な人物は、マハトマ・ガンジーであると思う。彼がインドで成し遂げたことが、それを雄弁に物語っている。しかし、たとえガンジーが彼の祖国に活力とリーダーシップを与えなかったとしても、彼は、世界中の平和的抗議者たちに計り知れない影響を与えた。

南アフリカのネルソン・マンデラにも、アメリカ合衆国のマーチン・ルーサー・キング・ジュニアにも、1989年の天安門広場に立つ1人の人物にも、2011年のタハリール広場の人物にも。

人間の行動パターンをあぶり出そうとする科学者たちの努力はさておき、私はつねに、たった1人の人物や小集団が、ほとんど勝算がないにもかかわらず成し遂げることのできた衝撃の大きさに感銘を受けている。

学者としての私たちは、このような例を、研究という敷物の下に隠してしまうことはできないし、するべきではない。私たちは、人類学者のマーガレット・ミードの有名な言葉を忘れるべきではないだろう。
「考えた上で覚悟を決めた少数派の市民が世界を変えることができることを、決して疑ってならない。実際、いつも、それしかなかったのだ」。(本文中の太字は山本判断)

本稿筆者:ハワード・ガードナー(ハーヴァード大学教育学大学院、認知と教育学ホッブズ教授)
出典:『知のトップランナー149人の美しいセオリー』(青土社)

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2015年2月 1日 (日)

いいアイディアを生み出す方法  美しいセオリー(3)  

いいアイディアを生み出すのに、人間である必要はない(太字は山本判断)
あなたが魚でもかまわない。ミクロネシアの浅い海域に、小魚を食べる大きな魚がいる。小魚は泥の中の巣穴に住んでいるが、餌を食べるときはわらわらと出てくる。大きな魚は小魚を1匹ずつ平らげようとするが、食べ始めたとたん、小魚たちはさっさと巣穴に戻ってしまう。さて、どうしたものか。

私はもう何年も授業でこの問題を出しているが、私の記憶が確かなら、大きな魚と同じ名案を考え出した学生はたった1人しかいない。(中略)
エレガントなやり方はこうだ。小魚の群れが出てきたら、一飲みにするかわりに、海底を泳いでお腹で泥をならし、逃げ込む巣穴をふさいでしまう。これで食べ放題だ。

ここから何を学べるだろうか。いいアイディアを思いつくには、ダメなアイディアは捨てることだ。秘訣は、簡単で明白だが非効率なやり方を封印して、よりよい解決法が降りてくるようにすること。これがはるか昔、突然変異と自然淘汰の何かの作用を通じて、大きな魚に起きたことなのだ。

早く食べるとか、一口を大きくするといった、当たり前の発想をこねくり回すのはやめて、プランAを捨てれば、プランBが浮かんでくる。あなたが人間なら、2つ目の解決法もうまくいかなければ、それも封印して待ってみよう。3つ目が意識下に現れ、そのまた次が現れ、やがては難攻不落の課題も解決できる。たとえその過程で、直感的に明らかな前提のほとんどを封印しなければならないとしても。

いいアイディアは、ヒト以外の生物種の進化の中にも溢れかえっている。というより、大半とは言わないまでも、多くの生物種は、うまいアイディアや策略なしには存続し続けられなかったのだ。もちろん、アイディアを生んだ文脈から原理を推論し一般化することは(一部の)ヒトが前頭前野を駆使してできるようにはいかないだろうが。

最高の頭脳を持つ者たちが何十年、何百年と挑み続けても古典的課題を解決できないのは、彼らが文化的にあまりに根深い前提に囚われていて、それを覆すことを思いつきもしないか、あるいはそもそも前提の存在にすら気づかないからだろう。だが、文化的文脈は変化する。

昨日まで当たり前に思えたことが、今日や明日には、控え目に言っても疑わしく見えてくる。遅かれ早かれ、先人と比べて決して才能に恵まれているわけではないが、根本的に間違った前提という枷を持たない誰かが、あっけなく解決法を思いつくだろう。

 

本稿筆者:マーセル・キンズボーン(ニュースクール大学教授:心理学)     出典:『知のトップランナー149人の美しいセオリー』(青土社)

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