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2015年2月 8日 (日)

魚を与えるより釣り方を教える(ティンバーゲンの問い) 美しいセオリー(5)

私たちは、そして私たち以外のあらゆる生物は、なぜこんなふうに行動するのだろう? この問いへの答えは実は存在しない。だからこそ私は、動物行動学者で鳥類学者のニコラス・ティンバーゲンの問いを選ぶ。なぜなら、唯一の深淵かつエレガントで美しい説明など存在しないからだ。

魚を与えるより釣り方を教えるかのごとく、ティンバーゲンが与えたのは、普遍的な説明ではなく、観察された個々の行動について、私たちが答えを見つけ出すための枠組みだった。その枠組みは、彼の専門分野である動物行動学のパラダイムの中だけでなく、あらゆる分野におけるあらゆる行動について有効だ。

ティンバーゲンの問いは簡潔に言うと次のようになる
・どんなメカニズムがあるか? それはどんな仕組みで働くのか?
・どんな発達過程があるか? 時とともにどのような発達過程が観測されるか?
・どんな機能があるか? その行動をとった、考えられるすべての理由は?
・その起源は何か? その行動が現れるまでたどったかもしれない多くの過程はどんなものか?

これら1つ1つの問いへの答えを探す中で、私たちは少なくとも、遺伝子と環境の相互作用、基礎的な(たとえば神経解剖学的、神経生理学的、内分泌学的)プロセス間の相互作用、解発因子と臨界期の相互作用や、利得と損失のバランス、そしてそれらが時とともにどう変化してきたかについて、考えざるを得ない。

その上、ほとんどの「とっておき」の説明と違って、ティンバーゲンの問いは永遠だ。彼の問いへの答えは、しばしばその時々の科学界の風潮に影響されるが、それらの知見が世に出るにつれて変化していく。ティンバーゲンの問いは、新たなデータが手に入るたび、私たちに基本前提を再考するよう促すもので、それには分野は関係ない。

シンプルでエレガントな答えに魅了されるのは、私にはダグラス・アダムズ(『銀河ヒッチハイク・ガイド』)的探求に思える。すべての答えである「42」*にいたることはできても、適切な問いの立て方を知らなければ、答えそのものは大して意味を持たないのだ。
*『銀河ヒッチハイク・ガイド』の作中、「生命、宇宙、万物についての究極の疑問の答えを問われたスーパーコンピュータ、ディープ・ソートが750万年の計算の末に出した答えが「42」。

本稿筆者:アイリーン・ペパーバーグ(ハーヴァード大学講師、ブランダイズ大学客員准教授:心理学)
出典:『知のトップランナー149人の美しいセオリー』(青土社)

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