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2015年3月19日 (木)

江戸人が使った「死んだら御免」  “江戸しぐさ”番外編

東京大学医学部救急医学分野教授・矢作直樹氏著『おかげさまで生きる』に、思いがけず“江戸しぐさ(思草)”に関する記述がありましたので、番外編で取り上げます。氏によれば、「お互いさま」「おかげさま」の精神の発露ともいえる二つの相互扶助の仕組み(農村の「結:ゆい」と町の「講:こう」)が大きな役割を果たしたのだと・・・。

江戸の庶民から生まれた作法「江戸思草(しぐさ)」は、相手を思いやる気持ちを行動として表している代表例です。思草の思は思慮、草は行為を示します。
「肩引き」「傘かしげ」、混んでいる席をこぶしひとつ分詰め合う「こぶし腰浮かせ」など、公共の場での行動マナーには、お互いさまの精神があふれています。

この「江戸思草」は現代でも生きています。例えば電話をかける時には相手と対面している心で応対するので、感謝の気持ちを表現する場合、受話器を持ったまま見えない相手にお辞儀をしているのではないでしょうか。本人が無意識の内に発している感謝の念が、受話器の向こう側の相手にもきちんと伝わります。

江戸の文化は、脈々と現代にも受け継がれている
初対面の相手に年齢、職業、地位などを聞かない「三脱の教え」、命を頂戴して自分が生きることへの感謝を述べた「いただきます」、そもそも有ることが難(かた)い
という言葉から生まれた「ありがたい」(ありがとう)、相手の仏心(または希望)にしっかり対応できない時の「あい澄みません」など、挙げるときりがありません。

ちなみに江戸の人々は口約束を重視しました。そこで生まれた言葉が「死んだら御免」。とにかく約束したことは絶対に守る、でも自分が死んでしまった時はその約束を御免こうむるという意味です。御免は謝罪であり、相手の許可を求める言葉でもあります。

証拠がないとか紙に書かれていないからと、現代人はいとも簡単に口約束を反故にしますが、口からいったん出た言葉には大きな責任があるのです。それは下手な約束、失礼な言葉を決して口にすべきではないという意味であり、「言霊(ことだま)」を重視してきた先人たちの叡智です。言葉や行動には、その国の歴史がそのまま出ます。

自分が生まれ育った故郷を離れて違う土地で暮らす時でも、その土地の習慣や作法を学び(郷に入っては郷に従え)、節度ある行動を取るのが日本人だと著者は書いています。また、そうした精神構造を最も端的に具現化しているのが「あいさつ」であり、それらが習慣から文化のレベルに昇華したのが“江戸しぐさ(思草)なのだと。

参考文献:『おかげさまで生きる』(矢作直樹著/幻灯舎)

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