「聴く」という言葉の持つ深遠さに触れる こころの声を「聴く力」(1)
研修講師にとって、もっとも重要な漢字をひとつ上げなさいと言われたら、私は無条件で「聴」をあげます。なぜなら、「マナー研修」でも、「コミュニケーション研修」でも、「コーチング研修」でも、この字を外して語ることが難しいからです。今回は、この私にとってとても大事な「聴」がたくさん出てくるお話です。
「聞く」の漢字的、「聴く」のカウンセリング的解釈(※1)
「聞く」という字は「門」に「耳」と書く通り、門のところへ訪ねて聞く、「問う」という意味になるそうです。一方、「聴く」という字は、カウンセリングの世界などでは耳偏に十四の心、そう書くと見立てて、十四歳の頃の繊細で柔らかな感受性で相手の言葉を受け止めることだという解釈があります。
漢字の巨人、白川静博士の「聴く」の解釈
もう一つ、これは漢字研究の第一人者・白川静博士の説ですが、三千年前の中国で「耳」という字や「徳」という字の一部などが組み合わされて生まれた複雑な旧字体が、時代とともに変化して「聴く」になった。そこからこの字には本来、「神の声を聴くことのできる聡明さ、人徳」という意味が含まれているのだそうです。
「聴」の漢字は形を変容しながら受け継がれてきました。その意味はときを超えてなお変わらず、「聴」の古代文字は真っ直ぐな心で聴く者が徳を得ることを示す。聡明な耳で心の声を聴けば歩むべき道も見えるのだと。そういえば、人の話をじっくりと聴いていると、人間の力では知り得ない「啓示」を受ける瞬間がありますよね。
「知識は語り、知恵は傾聴する」
山根さんのご本の中には文化人(作家、音楽家、学者、芸能人など多彩)がたくさん登場します。深い教養に裏付けされた内容に感銘を受けるのですが、その中に、ギタリストのジミ・ヘンドリックスの言葉(だったと思いますがの注釈あり)が登場します。「知識は語り、知恵は傾聴する」というものです。
「知性」の本質は、「知識」ではなく、「知恵」である
最近読んだ『知性を磨く(※2)』という本によると、
「知識」とは、「言葉で表せるもの」であり、「書物」から学べるもの。
「知恵」とは、「言葉で表せないもの」であり、「経験」からしか掴めないもの。
「知性」とは、「答えの無い問」に対して、その問いを、問い続ける能力のこと。
※1:『こころの声を「聴く力」』(山根基世著/潮出版社)
※2:『知性を磨く』(田坂広志著/光文社)
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