現存する5つの文明(中国・日本・ヒンドゥー・イスラム・ 西欧)について 2015年6月25日 木の葉ブログ500回特集 「文明と文化(1)」の補足資料
文明と文化(1)では、サミュエル・ハンチントン著『文明の衝突』から、現存する5つの文明(+α)について紹介しましたが、その5文明についての記述部分を補足資料とします。
中華文明:すべての学者が認めていることだが、さかのぼること少なくとも紀元前1500年に、そしておそらくはその1000年前から1つの明確な中国文明が存在していたか、あるいは2つの文明があって、西暦の最初の数世紀のあいだに片方がもう一方を継承したと考えられている。
『フォーリン・アフェアーズ』誌の論文で、私はこの文明を儒教文明と名付けた。しかし、中華文明という言葉を使うほうがもっと正確ではある。儒教は中国文明の重要な要素ではあるが、中国文明の要素は儒教だけにとどまらないし、政治的なまとまりとしての中国を超越している。
中華文明という言葉は大勢の学者によって使われてきたが、これは中国はもちろん、東南アジアなど中国以外の土地の中国人社会と共通の文化、さらにはヴェトナムや朝鮮の関連する文化を適切に表現している。
日本文明:一部の学者は日本の文化と中国の文化を極東文明という見出しでひとくくりにしている。だが、ほとんどの学者はそうせずに、日本を固有の文明として認識し、中国文明から派生して西暦100年ないし400年の時期にあらわれたと見ている。
ヒンドゥー文明:インド亜大陸には少なくとも紀元前1500年ごろから1つまたはそれ以上の文明が存在したと広く認められている。それらは一般にインド文明もしくはヒンドゥー文明と言われ、最近の文明をさす場合にはヒンドゥー文明という言葉が使われている。紀元前2000年以降、ヒンドゥー教はいろいろなかたちで亜大陸の文化の中心だった。
「宗教あるいは社会の制度にとどまらず、それはインド文明の核である」。ヒンドゥー教は近代以降もずっとその役割を担いつづけてきたが、インド自体には強固なイスラム社会や小さな文化的少数グループなどがいくつも根をおろしている。中華文明と同じように、ヒンドゥーという言葉も文明の名称をその中核国家の名称と切り離すことができ、この2つの例のようにその文明に属する文化が国を超えて広がっている場合には適切である。
イスラム文明:主要な学者はみな固有のイスラム文明の存在を認めている。西暦7世紀にアラビア半島に端を発して、イスラム教は急速に北アフリカ、イベリア半島、さらには東の中央アジア、インド亜大陸、東南アジアへと広がっていった。その結果、イスラム文明のなかには、アラビア、トルコ、ペルシャ、マレーなど数多くの異なる文化、すなわち下位文明が存在する。
西欧文明:西欧文明はふつう西暦700年ないし800年にあらわれたとされる。一般に学者たちは、そこにヨーロッパ、北アメリカ、ラテンアメリカの3つの主要な構成要素があるとみている。
+αとされる「ロシア正教文明」「ラテンアメリカ文明」「アフリカ文明(存在すると考えた場合)」については割愛しました。
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