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2015年7月26日 (日)

家族形態(直系家族と核家族)の違いがもたらしたもの 文明と文化(10-1)

『木の葉』ブログ500回の区切りとして取り上げた「文明と文化」シリーズも最終章です。締めくくりにふさわしいテーマは何かと模索する中で、このところの暗いニュースの発信源となっている「家族」にしようとの思いに至りました。崩れかけてはじめている日本的な「直系家族」と欧米的な「核家族」の違いに焦点を当てます。

エマニュエル・トッドというフランスの家族人類学者が次のようなことを言っています。西洋、なかでも英米やフランスといった国と日本はいろいろ違うのだけれど、最も根本的な違いは、家族形態の違いだ。家族形態の違いが、現在の私たちの「考える」ことにまで影響を及ぼしているのだと。

子どもの独立後、互いに干渉せず、それぞれに人格を認めあう核家族
イギリス、アメリカ、フランスを中心とした国の家族形態は「核家族」です。お父さん、お母さん、子どもの組み合わせが家族の最小にして最大の単位を形づくっています。子どもは大きくなって独立した生計を営むようになると親元を離れ、結婚して新しい家庭を作る。成人した未婚の子どもでも親と一緒に住むことはありません。

「親―子―孫」の縦型の家族形態が「直系家族」
それに対して、日本、韓国、ドイツ、スウェーデンといった国の家族形態は「直系家族」と言います。これは、子どもが成長して生計を立てられるようになっても、親はそのうちの一人の子供と同居するという家族形態です。子どもは結婚して子どもができても、お父さん、お母さんと同じ屋根の下に住みます。

フランスやイギリスには、二世帯住宅という言葉も住宅もない
日本には「二世帯住宅」というのがあります。これは、もともと直系家族だったものが核家族的に変化したけれど、完全な核家族にはなれないということで、便宜的に発明された住所形態です。ところがフランスやイギリスでは子どもが独立したら、同じ町に住むことはあっても、隣には住まないので二世帯住宅が存在しないのです。

家族は親子関係と兄弟関係で4つの類型に分かれる(トッドの研究より)
ヨーロッパでは、ほとんどの国が①イングランド型の絶対核家族(親と成人した子は別居。遺産相続で兄弟の関係は不平等)、②フランス・パリ盆地型の平等主義核家族(親と成人した子は別居。遺産相続で兄弟の関係は平等)、③ドイツ型の直系家族(親と成人した一人が同居。遺産相続で兄弟関係は不平等)、④ロシア型の外婚制共同体家族(親と成人した子全員が同居。遺産相続で兄弟関係は平等)の4類型に分かれます。

参考文献:『進みながら強くなる』(鹿島茂著/集英社)

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