「スキルを身につけるのは、自分の志を達成するため」 ハーバードに学ぶ(1)
『ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか(※1)』という本を手にしてカバーを広げると、「スキルを身につけるのは、自分の志を達成するためです。スキルアップそのものが目標になってはいけないのです」という、ロバート・スティーブン・カプラン教授の言葉が飛び込んできました。今回から、一気読みの成果のお披露目です。
ハーバードで教えるのは、一流のリーダーになるための「リーダーシップ」
分析スキル、会計スキル、財務スキル、英語力、プレゼンテーション力。こうしたスキルは若いうちに磨いておくに越したことはありません。しかし、全部、身につけたからといって、出世するわけでもありませんし、トップになれるわけでもありません。スキルアップばかりに夢中になるのは本末転倒なのです。
ハーバード大学経営大学院(ハーバードビジネススクール)では、一切、仕事術を教えません。徹底的に叩き込むのが、リーダーとしての思考様式と行動様式です。特に「なぜ、リーダーはそういう行動をとらなくてはならないのか」、その理由の部分を強調して教えます。「なぜ」に納得すれば自分から行動できるようになるからです。
なぜ、プレゼンテーション資料のフォントをそろえるのか?
「プレゼン資料のフォントはそろえる」ではなく、「プレゼンされる側の立場にたって、何が知りたいのか、どんな資料だったらわかりやすいかを考え、資料を作成せよ」と教えます。さらには、もっと踏み込んで、「プレゼンされる側にとって、本当にその資料が必要なのか」「資料より試作品の方が効果的ではないか考慮せよ」とも教えます。
本質を1つ学べば、すべてに応用が利きます。メールを書く時は、「読む人の立場になって書こう」、会議では「部下が知りたいことを簡潔に伝えよう」。そこを押さえていれば、何をやればいいか、おのずとわかってきます。このような本質を知っているからこそ、ハーバードの卒業生は一流のリーダーとして高く評価されるのです。
ただし、ハーバードを出たからといって誰でも成功しているわけではない
ハーバード大学卒業生の10年後の追跡調査がありますので、ご参考まで(※2)。
① 卒業生の3%は飛びぬけて豊かな生活を送っている。⇔多くの卒業生の10倍もの収入がある。②卒業生の10%は余裕のある生活を送っている。⇔普通の卒業生の3倍の収入がある。③卒業生の87%は普通の生活を送っている。
①の該当者は具体的な目標を持ち、それを紙に書いていたそうです。②の該当者は、いくつかの目標を漫然と持っており、ときどき思い出したように目標を心に描いていたそうです。③の該当者はほとんど目標という目標は持っていなかったそうです。
※1:『ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか』(佐藤智恵著/日経BP社)
※2:『自分力の鍛え方』(朝倉匠子著/ソーテック社)
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