ⅰPodを通してデザインシンキングを理解する ハーバードに学ぶ(7)
今、ハーバードでは、1年目の授業でデザインシンキング(ロジカルシンキングとは対極にある思考法)を教えています。顧客視点から製品やサービスを考えるために、学生は実際に試作品、試行サービスなどを顧客に提示し、そのフィードバックを生かして、どのようにビジネスを設計していけばいいかを理解していきます。
デザインシンキングから生まれた製品として最も有名なのがⅰPod
アップルの開発チームは、まずユーザーがどのように音楽を聴いているのかを徹底的に分析。ユーザーの多くがCDから携帯プレーヤーに移すことに手間を感じていることを知りました。さらには「大量に保存された曲の中から、いつでもどこでも好きな曲を選んで聴きたい」というのが究極のニーズであることも発見しました。
「ポケットの1000曲がすべてを変えた、さあ、もう一度」(※1)
これはアップルが開発した「iPod」のキャッチフレーズです。この言葉通り、アップルは媒体の入れ替えという点をリフレームし、「人生を通じて聴いてきたすべてのお気に入りの曲を、いつでもどこでも楽しめる」という新しい価値を生み出したのです。
ジョブズのデザインに対する考え方(※2)
「見た目のことだと考えている人がいるが、デザインとは機能のことである」
「すぐれたデザインを成し遂げるには、製品の本質を理解しなければならない。鵜呑みではなく、十分に対象をかみ砕く作業なのだ。ほとんどの人は物の本質について十分な時間をかけて理解しようとはしない」
ⅰPod開発時のジョブズらしいデザインへのこだわり
「電源を入れたり切ったりするボタンは必要ですよね」とのデザイナーの質問に対して、「いらないよ」。ジョブズは、必要なボタンはホイールン周囲にある「進む」「戻る」「ポーズ」の3つだけでいいと考えていた。これはジョブズの美学であり、それ以外はかたくなに認めようとしなかった。
ジョブズの開発リスクに対する考え方
「今日、身の回りには危うそうに見えるものがたくさんあるが、これはいい兆候だ。それは、その危うさの向こう側にひと山ありそうなのに、まだ誰もが手を出していない時期なのだ」。またこうも言っている、「将来を見据えて点と点を結びつけることは不可能だが、点が将来何らかの形で結びつくと信じなくてはならない」。
参考文献:『ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか』(佐藤智恵著/日経BP社)
※1:『「行動観察」の基本』(松波晴人著/ダイヤモンド社)
※2:『スティーブ・ジョブズ 神の遺言』(桑原晃弥著/経済界新書)
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