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2015年8月27日 (木)

なりたい人のフリをするとなりたい人になれる  ハーバードに学ぶ(9)

アメリカで有名なインタビュー番組で、司会者が女優のジュリア・ロバーツに対して「自信を持つにはどうしたらいいんですか?」と尋ねると、彼女は「自信があるふりをするのよ。新人のときはいつもそうだった。でもそうしていくうちに、いつか自分のものになっていくの」。今回は、この「ふりをする」ことについてです(※1)。

後のハーバード教授エミリー・カディは交通事故の後遺症に苦しめられた
つらいことに直面して、何もやる気が起きない。そんな経験はだれにもあるでしょう。
ハーバードのエミリー・カディ教授が、「ボディランゲージが心と体に及ぼす影響(次回内容紹介)」について研究を始めたのも、逆境に直面したことがきっかけでした。カディ教授は、19歳の時に交通事故に遭い、その後遺症に何年も苦しめられました。

「できるフリをすることから始めなさい」(スーザン・フィクス教授)
人並み外れて高かったIQが人より低くなり、その影響で大学卒業に8年もかかりました。その後、大学院に進学し研究者の道を歩み始めますが、何をするのも一苦労。もう学者になるのは諦めようと思ったそうです。そんなカディ教授を再生させてくれたのは、プリンストン大学で指導教官だったスーザン・フィクス教授の一言でした。

「できるフリをするだけではなく、そのフリが本物になるまでやる」
自分はここにいるのがふさわしいと思って行動すると、本当にそれが現実になってきました。まもなくプリンストン大学で博士号を取得。2008年にはハーバードの教員となりました。カディ教授は現在、ハーバードでもっとも有名な女性教授の一人です。
その地位にふさわしい人間のフリをしているうちに、本物になっていくのですね。

エミリー・カディ教授は「他者思考」だった!?(※2)
他の人にどう思われるのかがひどく気になるとか、実際には楽しくないのに、楽しそうなふりをするなどの性格特徴がある人を、「他者志向」に分類し。逆に、人を喜ばせたり関心を買うことなどあまり考えず、自分の気持ちを大切にする人を「自己志向」に分類する考え方があります。

「他者思考」の人には、イメージ説得が有効
マンション販売に例えるなら、他者志向者には「ドラマで見ているような生活がお待ちしていますよ」などと、〝他人からどうみられているか〟を中心としたイメージをあおるようなセールスが有効で、自己志向者には、耐火構造の安全性や、保証が何年つくなど、品質に関わる側面をアピールするのが有効とのこと。

参考文献:『ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか』(佐藤智恵著/日経BP社)
※1:『ⅰモード以前』(松永真理著/岩波書店)
※2:『「説得上手」の科学』(内藤誼人著/日本経済新聞社)

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