一流のリーダーが目指す全体最適 ハーバードに学ぶ(6)
一つの部署の理想の形を追求するのは部分最適。これに対し、組織(会社)全体の理想の形を追求するのが全体最適です。この二つの最適には異なる要素が多く、これを全体最適に収斂させるのは至難の業といわれます。ハーバードで教える全体最適の考え方と、かつてソニーの創業者たちが唱え実践した全体最適を併せご紹介します。
一流のリーダーはステークホルダーを意識して「全体最適」を目指す
一流のリーダーは顧客、投資家、取引先、社員など、自分以外の人の視点に立って、物事を考えることができます。自分が顧客だったら、この製品を買いたいか、自分がこの部署のメンバーだったら、この仕事を喜んでやりたいか、自分が取引先だったら、このプロジェクトに協力したいか。こうしたことをすべて考慮して判断します。
これに対して、二流のリーダーは、「自分の損得」を基準に決断するので、全体を見通して決断することができません。自分がつくりやすい製品をつくろう、自分が失敗しないようなサービスを提供しよう、と自分中心で考えてしまうのです。
「リーダーの決断によって勝者(得する人)と敗者(損する人)が生まれることだってある。だから、どんな状況でも自分のためではなく、全体を見て、他人のために行動しなくてはならないということです」(カシーク・ラマンナ教授)
ソニーの盛田氏が語った「全体最適」(※1)
「新しい技術を製品にするのはたやすいが、商品にするのは難しい。これからのモノづくりのビジネスは、第一、第二、第三のステップ、つまり『夢』と『技術』と『市場』をつないで行く中で、全体として儲けどころを見つけて儲けなければならない時代に入ってきている。これを『全体最適』と呼び、私はその実践を訴えている」
「三つのステップ」こそが、「日本の創造性」
「発明されたもの、あるいは昔発明されて眠っているもの、それを使った商品の新需要を予見し、プロダクトプランニングし、世に送り出して成功させる――それが日本企業の創造性だ」と語り、日本文化は物まね文化とかコピー文化とか見られがちだったことに対して、「それだけではない」と盛田氏は真正面から反論した。
三つのステップを「1・10・100」と指摘したソニー井深大氏
三つのステップをクリアするのに必要なエネルギーは、第一ステップ(キーテクノロジーを見つけるために必要なエネルギー)が「1」とすれば、第二ステップ(実際に商品を製造してゆく過程で必要とされるエネルギー)が「10」、第三ステップ(消費者に商品を買ってもらうためのマーケティング)が「100」である。
参考文献:『ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか』(佐藤智恵著/日経BP社)
※1:『ソニー中村研究所 経営は「1・10・100」』(中村末広著/日本経済新聞社)
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