失敗を許容する文化から『トイ・ストーリー』が誕生 ハーバードに学ぶ(3)
スティーブ・ジョブズについては本ブログでも何回か取り上げてきましたが、参考文献(※)にも何箇所か(愛用のイッセイ・ミヤケのタートルネックはまったく一緒ですが…)登場します。今回は、その中から、イノベーションに関する話題を取り上げ、併せて、ジョブズ氏がアップルでの復活劇のきっかけとなったエピソードを。
数々の失敗を乗り越えて生まれたピクサー社の『トイ・ストーリー』
ジョブズ氏は、映画製作会社ピクサーアニメーションスタジオも経営していました。世界初のフルCG映画『トイ・ストーリー』を制作した会社です。ピクサーは『モンスター・インク』や『ファイティング・ニモ』などの作品を記録的大ヒットさせました。それを可能にしたのは社員の創造性を大切にするカルチャーでした。
映画『トイ・ストーリー』は数々の失敗の結果、生まれた作品でした。同社では、何か失敗した時は、徹底した反省会をやり、次の作品につなげていくという、失敗を許容する環境が整っていました。それはジョブズ氏が、自分よりも社員が自発的にイノベーションを起こせるような“環境づくり”に注力していたからなのです。
ハーバード大学経営大学院のリンダ・ヒル教授は、「成長し続ける組織のリーダーというのは、イノベーションを歓迎し、失敗を許容する企業文化を創造しようとします。彼らは自分のビジョンを完成させたりすることに時間を使わずに、社員がイノベーションを起こせる“環境づくり”に注力しています」と言っています。
ジョブズ氏のアップル復帰への布石となった、ある出会い(※1)
ジョブズ氏がアップルを追い出され、失意にあったあるとき、彼は昼食会でたまたま隣り合ったノーベル賞受賞者ポール・バーグと遺伝子組み換え技術について話をしました。「生物学では、実験が大変で数週間もかかる場合がある」とバーグが語り、「コンピューターでシミュレーションをされたらどうでしょう」とジョブズが返す。
「そういうシミュレーションができるコンピューターは高すぎて大学では買えない」とのバーグ教授の説明を聞いたその瞬間、ジョブズ氏は、大きな可能性に気づき、急に目の色が変わったといいます。このことを契機にしてジョブズ氏は、このような大学向けのワークステーションの会社であるネクスト社を創業したのです。
ネクスト社自身は、ビジネス面では大成功したとはいえませんでしたが、10年近くたった後、その優れたソフトウェアが高く評価され、ネクスト社がアップルに買収されることになりました。これをきっかけに、アップルの経営にジョブズ氏が復帰し、ジョブズ氏とアップル社の、伝説となった快進撃が始まったのです。
参考文献:『ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか』(佐藤智恵著/日経BP社)
※1:『データの見えざる手』(矢野和夫著/草思社)
ホームページ https://www.leafwrapping.com/
■研修、講演などのご依頼、ご相談は【プロフィール】(画面左顔写真下)の〈メール送信〉からお願いいたします。今回は「リーダーシップ研修」の話題から。
| 固定リンク
「コーチング・リーダー研修」カテゴリの記事
- 「ほめる」と「叱る」のメカニズム(2018.02.03)
- 落ち込んでいる時こそ褒める! 高橋みなみさんのコミュニケーション術(6)(2016.09.18)
- 叱る時は逃げ道を作ってあげる 高橋みなみさんのコミュニケーション術(5)(2016.09.15)
- 大丈夫センサーで変化に気付く 高橋みなみさんのコミュニケーション術(4)(2016.09.11)
- 「ありがとう」を口癖にする 高橋みなみさんのコミュニケーション術(3)(2016.09.08)
コメント