Google発展の原動力は創業者2人の情熱的な採用姿勢 Googleに学ぶ(6)
グーグル草創期(創業は1998年9月4日)の5年間は、2人の創業者(ラリー・ペイジ&ゼルゲイ・プリン)、もしくは2人ともが応募者の一人ひとりと面接しました。いまでも新人を雇用するときはかならずペイジの承認が要ります。「えっ! 本当に」と思いますが、まぎれもなくこれが世界に冠たるGoogleの採用ルールなのです。
規模拡大で求める人材の質が変わってきたときGoogleが打った手
2000年代初頭、グーグルが数千人単位で従業員を採りはじめたころ、エリック(CEO)とラリーとセルゲイは、新入社員の多くが優秀ではあるが、自分たちが求めているほどのレベルではなくなっていることに気づきました。各部門が「どんな」採用活動をしているかは管理できないが、「誰を」採用するかは管理できる、と3人は考えました。
創業者が発想し、自らが主宰する“ひとり委員会”とは?
そこでラリーは、採用オファーを出す前に経営幹部が必ずそれを確認する制度を提案しました。これを受けてグーグルが考案した採用プロセスが、数段階の採用委員会の最上段に、“ひとり委員会(メンバーはラリーのみ)”が乗っかるヒエラルキー構造でした。こうしてラリーがすべてのオファーに目を通すようになったのです。
「採用の質ほど大切なものはない」と、トップ自らが示した高い志
これは採用にかかわるもの全員に、会社にとって採用がどれほど重要か改めて示す効果がありました。このプロセスは効率より質を優先し、頭数の確保より選別を徹底することを念頭に設計されたものです。その後、できるかぎり効率化も進めましたが、採用の質ほど大切なものはないとの考えにより、当時の方針はいまも変わっていません。
『グーグル、アップル、マイクロソフトに就職する方法(※)』より
これはある本のタイトルですが、この中に表題とは1社異なる3社比較があります。
「アメリカには優秀なエンジニアが不足している。われわれは、少ない獲物を争うハゲタカのようなものだ」(アップル)
「われわれは優秀な人材以外採用しない。これは絶対だ」(グーグル)
「優秀な応募者がいないとは言わない。問題は、それが誰なのかわからないことだ」(フェイスブック)
なぜ、Googleの採用に対するスタンスはこんなにも違うのだろうか…
採用という面では、明らかにGoogleのスタンスは他の2社とは異なっています。その違いは、経営トップの人材に対する考え方に明確に表れています。それが、前号に記した人事部門の責任者に求めた資質にも表れていると思います。こうした超絶思考が、産業史上前例のないスピード成長を支える原動力になっているのでしょう。
参考文献:『How Google Works』(エリック・シュミット&ジョナサン・ローゼンバーグ&アラン・イーグル共著/日本経済新聞出版社)
※:『グーグル、アップル、マイクロソフトに就職する方法』(ゲイル・L・マクダウェル著/文藝春秋社)
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