変化対応力(地頭)あるラーニング・アルマルを採用 Googleに学ぶ(9-2)
(今回は前号の続きを掲載します)
学ぶこと自体が目標になると、くだらない質問をしたり、答えを間違えたりしたら自分がバカに見えるのではないかと悩んだりせず、リスクをとるようになります。ラーニング・アニマルが目先の失敗にこだわらないのは、長い目でみればその方が多くを学び、さらなる高みに上れることを知っているからです。
特定のポストのために人を採用する時には、過去に同じような仕事で実績をあげた人を選びがちですが、これではラーニング・アニマルを採ることはできません。どんな採用情報も、応募資格の筆頭に来るのは「当該分野の経験があること」です。製品Xのデザイン責任者なら、Xの開発経験5~10年以上、Xの関連学位保持者…。
知力より専門能力を重視するのは、明らかな間違いです。特にハイテク業界ではそう言い切れます。市場は急速に変化しており、今あなたが採用しようとしているポストに求められる役割もすぐ変わるはずです。昨日までの先端的プロダクトが明日には陳腐化するような時代に、スペシャリスト採用は裏目に出る可能性が高いのです。
スペシャリストが問題を解決する時、その手法には自分の強みとされる専門分野ならではの偏りが生じがちです。それでは次々に生まれる新たな専門分野のソリューションに太刀打ちできないこともあります。優秀なゼネラリストには偏りがなく、多様なソリューションを見比べて最も有効なものを選択することができるのです。
ラーニング・アニマルを見つけるのは容易ではありません。スキルのある面接官のお得意の手法は、応募者に過去の失敗を振り返ってもらうことです。2000年代初頭には、よくこんな質問をしました。「1996年に、君が見逃したインターネットの重要なトレンドは何かな? 君の推測が当たった部分、はずれた部分はどこだろう?」。
これは見かけ以上に難しい質問です。応募者は自分が予測したことを明確にし、現実に起きたことを分析し、両者の比較からわかったことを述べなければならず、最終的には自分の失敗を認めなければならなくなるでしょう。「私の最大の欠点は、完璧主義すぎるところです」といった月並みな発言は通らなくなるのです。
この質問は他の分野にも応用できます。直近の重大な現象を引き合いに出せばいいのです。大切なのは、予知能力ではなく、どのように思考を組み立て、失敗から何を学んだかを見定めることです。この質問にきちんとした回答が返ることはめったにありませんが、それができる人はラーニング・アニマルの可能性が高いといえます。
参考文献:『How Google Works』(エリック・シュミット&ジョナサン・ローゼンバーグ&アラン・イーグル共著/日本経済新聞出版社)
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