絞りを広げることで伸びしろのある人材を獲得する Googleに学ぶ(10)
中国の諺に、「深く掘るためには広く掘り始めなければならない」があります。現在のように掘削機のない時代はすべて手堀です。50センチの穴を掘るのなら1メートル四方を掘り進めばよいでしょうが、さらに1メートルまで掘り進めるとなると、そうはいきません。Googleの採用に関する取り組み姿勢にこの中国の諺が思い浮かびます。
理想の候補者は4つの輪「発掘」「面接」「採用」「報酬」で見つけ出す
情熱と知性、誠実さと独自の視点を持った理想の候補者は間違いなくどこかにいます。問題はどう見つけだし、獲得するかです。この重要な鎖は、4つの輪でできています。発掘、面接、採用、報酬です。Googleのような企業でないと報酬は思うに任せませんが、他の3項目はそれぞれの企業が努力すればGoogleに近づくことは可能です。
まず最初は、絞りを広げて「発掘」から
これはどのような候補者を探しているか、明確に定義するところからはじまります。グーグルの採用パートナーであるマーサ・ジョセフソンはこの作業を「絞りを広げる」と表現します。絞りを変えることで、カメラの画像センサーに入る光量が変わります。しかし、採用担当者の多くは絞りを狭くする傾向があります。
最高の人材はキャリアの軌道が上向いていることが多い
ほとんどの企業は、上述のように絞りを狭くして候補者を探そうとすします。しかし、優秀な採用担当者は絞りを広げて、当たり前の候補者以外からも適任者を探そうとします。絞りを広げる方法の一つは、候補者の「軌道」を見ることです。グーグルの元人事担当は最高の人材はキャリアの軌道が上向いていることが多い、と指摘します。
その軌道を延長すると、大幅な成長が見込める
優秀で経験豊富でも頭打ちになる人はたくさんいます。こうした候補者に期待できる成果ははっきりしてます(これはプラス)が、予想外の伸びしろがありません(これはマイナス)。年齢と軌道に相関がないことも指摘されています。だだ、経営者や特殊なキャリアパスの人には、軌道という指針は当てはまらないこともあるようです。
絞りを広げることは失敗というリスクをともなう
優秀だが経験の乏しい人は、それほど優秀ではないが経験のある人よりも、採用コストが高くなります。上司となるマネジャーはそうしたコストを避けたがるかもしれませんが、大義のためにつまらない懸念は捨てるべきだとの判断です。すばらしく優秀なゼネラリストを採用するほうが、会社にとってははるかに価値があるからです。
参考文献:『How Google Works』(エリック・シュミット&ジョナサン・ローゼンバーグ&アラン・イーグル共著/日本経済新聞出版社)
ホームページ https://www.leafwrapping.com/
■研修、講演などのご依頼、ご相談は【プロフィール】(画面左顔写真下)の〈メール送信〉からお願いいたします。今回は「面接担当官・就活研修」の話題から。
| 固定リンク
「面接担当官・就活研修」カテゴリの記事
- 従来型採用(ヒエラルキー型)の抱える問題点 Googleに学ぶ(補足資料)(2015.10.05)
- 絞りを広げることで伸びしろのある人材を獲得する Googleに学ぶ(10)(2015.10.04)
- 変化対応力(地頭)あるラーニング・アルマルを採用 Googleに学ぶ(9-2)(2015.10.02)
- 変化対応力(地頭)あるラーニング・アルマルを採用 Googleに学ぶ(9-1)(2015.10.01)
- 面接は「30分」で「5回」がGoogleの鉄則になるまで Googleに学ぶ(8)(2015.09.27)
コメント