「造園」と「ランドスケープスケッチ」の違い 緑のプレゼンテクニック(1)
ブログ筆者(山本)は地域活動の一環として、仲間と地域の清掃活動に取り組んでいます。そんな関係もあり、広尾の都立中央図書館に出かけた折、緑地はどのように管理されているのかを知りたいと思い、そちら方面のコーナーに出向いたところ、感動的な本(※)と出会うことができました。まずは、緑の空間設計の基礎知識から。
造園設計は、目の行き届く範囲で樹種などの区別ができる住宅や神社仏閣の庭園設計を原点としているそうです。造園空間を広く流域で捉えた場合、里山・田畑・森・川・池・道・公園などが対象で、面積は0.5haまでくらいになります。これらの設計を提案する技術が造園スケッチなのです。
一方のランドスケープスケッチは、わが国の造園事業において、国土交通省の国営公園を始めとした都市公園事業、都市整備機構(UR)の団地の園地事業、高速道路会社NEXCOの道路緑地事業などが柱となり、今日の発展につながっています。共通するのは0.3haから20ha程度と扱う面積が広いことです。
また、緑の基本計画などの法定計画では都市全体の鳥瞰図が求められるようになりました。そこには広々とした空間のプラン・デザイン力が求められ、スケールも公園・街並み・山並み・海などが一体化した都市レベルとなります。造園スケッチとは描くスケール・視点が違います。
参考文献の筆者によると、これからのスケッチでは、この二つの視点が求められるそうです。造園スケッチにおいては、単にアイレベルの完成予想図を描くばかりでなく、人間・空間・時間を的確に捉えた技術、すなわち、造園空間が成長するプロセスを理解した上での筆さばきが求められます。
大自然に抱かれた社寺、鑑賞主体の庭園、人工的な都市公園ではそれぞれの空間の位置づけ、コンセプト、管理形態が異なることから、タッチはおのずと異なります。ここを描き分けなければならないのです。一方、ランドスケープデザインでは、広々とした空間を描く場合、鳥になった気分で俯瞰するように描く技術が求められます。
●次回からブレゼンに関する具体的解説を紹介しますが、その前段として、どうしても造園とランドスケープの違いを伝える必要を感じたので、いつもの当ブログの展開とはいささか異なりますが、今回の「緑のプレゼンテクニック」のイントロとさせていただきました。次回以降の、これこそ正にブレゼンといえる内容にご期待ください。
参考文献:『『緑のプレゼンテクニック』(柳原寿夫&中橋文夫著/学芸出版社)
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