補欠だった人たちは社会で活躍している 部活の苦情・クレーム(4)
『解決! 学校クレーム』―“理不尽”保護者の実態と対応実践―の第4章【実例集】こんなクレームにあってしまったら…があります。その中の14番目に「試合に出られないなら部活動の時間は無駄!」というものがありました。これは、前々回紹介した【ケース4】とも重なりますが、あえて紹介します。
【ケース14】試合に出られないなら部活動の時間は無駄!
中学の部活動に対して、ある保護者が要望書を出してきた。「部活動は試合に勝つためだけにしているわけではないと思う。それに、試合に出場できないのに、部活動に出るのは時間の無駄ではないか。だから、出場しない場合は自宅待機とし、普段の部活動に出るか否かについても、子どもの自主性を尊重してほしい」という内容だった。
この問いに対して著者は、こうした要望書を保護者が出していることを、実際に部活動に参加している当の本人が知っている(この場合は、その内容について本人が納得しているかどうかの確認も必要)か、そうでない場合とでは対処法は異なると、次のように解説されています。
知っているし、納得している場合は、保護者に対してする話し合いと同様のスタンスで説明していくことが必要となる。その場合、他の生徒と違って、参加率が悪く、また、プレーが上達していない等の理由で試合に出られないとしても、そうせざるを得ないことも十分に説明し、納得してもらうことだ。
また、こどもが要望書の内容に納得していない場合、これは親子間の問題になるため、親子間の話し合いを見守り、最終的に生徒のためになる方向性を見出すアドバイスが必要だろう。生徒が「努力して試合に出たい」と思っていたとしたら、どうすれば保護者が納得するかを一緒に考えることだ。
●教育現場のクレーム事例は、研修講師の立場からすると、一般社会のクレームに比較してわかりやすいと感じました。その理由は、冷静に事例を読んでみると、どちらにムリ筋があるかが明瞭にわかるからです。にもかかわらず、深刻な問題化しているのは、間に子どもという大切な存在が介在するからなのでしょう。
●今回の事例には試合に出られないことへの不満を2つ取り上げました。親としては複雑な思いがあるでしょうが、社会人になると立場が代わることも知っておいていただきたいですね。実社会では、どちらかというと補欠でも部活を続けてきた人の方が、花形選手だった人よりはるかに多く活躍しています。
『解決! 学校クレーム』(渋井哲也著/河出書房新社)
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