同時通訳の草分け的存在が「澤穂希さんのリーダーシップ」を語る
通訳として国際舞台で華やかに活躍されてきた長井鞠子さんの近著『情熱とノイズが人を動かす(※)』の中に、卓越したコミュニケーターとして澤穂希さん(昨日の皇后杯で引退の花道を自ら飾りました)が登場します。長井さんと澤さんはともに2020年東京五輪招致を勝ち取ったチーム・ジャパンのチームメイトでもありました。
15歳で日本代表に選出、最初の試合でいきなり先発出場して4得点を奪う大活躍
FIFA女子ワールドカップで「なでしこジャパン」を世界一に導いた2011年には、男子のリオネル・メッシ(FCバルセロナ所属・アルゼンチン代表)とともにFIFAの年間最優秀選手に選出され、翌12年のロンドン五輪でも銀メダル獲得。さらに15年のFIFA女子ワールドカップでも、日本の2大会連続となる決勝進出に大きく貢献しました。
「苦しいときは、わたしの背中を見なさい」
この澤選手の言葉で忘れられないのは08年、北京五輪での3位決定戦直前にチームメイトの宮間あや選手に向けたひと言です。宮間選手は11年のFIFA女子ワールドカップ後、澤選手からキャプテンの座を引き継いだほどの実力者ですが、この時はメダルのかかった大一番を前に過度の緊張状態だったといいます。
優秀なコミュニケーターだからこそ発することのできたひと言!
まったく、シビレます。こんな台詞は、高倉健さんでもいったかどうか。そして、この言葉には、15歳から代表の中心選手として活躍し、女子サッカーでは世界最高峰の米国プロリーグで研鑽を積んだ彼女の自負が込められていると同時に、その経験を「チームメイトと共有しよう」というコミュニケーションの姿勢が感じられます(中略)。
澤選手にはリーダーとしての資質があった!?
リーダーの資質というのは、たしかに天分もありますが、「身につけていくもの」でもあると思います。誰でも、自分の所属する組織の中で若手から中堅、ベテランへと立場が変わっていきます。そういった過程を考えれば「身につけてなければならない」ものなのかも。そしてコミュニケーション力はその大部分を占めているといえます。
澤選手も、先輩たち背中を見ながら、次第にリーダーへと成長していった
彼女が自分の後継者と見込んだ宮間選手を次世代のリーダーとして育てるべく与えたのが「苦しいときは、わたしの背中を見なさい」だったと思います。このように、コミュニティやチームのなかで、コミュニケーションを重ね積み上げていくことで、自分の存在意義を見出し、状況に応じてそれを変化させていくことができるのでしょう。
※:『情熱とノイズが人を動かす』(長井鞠子著/朝日新聞出版)
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