「行動経済学でよりよい判断を誘導する法」から〈あなたの思考法をテストする〉
『Diamond Harvard Business Review』に学ぶ (January 2016)抜粋(1) 『ハーバード・ビジネス・レビュー』は、ブログ筆者にとっては難解な雑誌ですが、時に参考になる論文が掲載されることから極力目を通すようにしています。2016年1月号が正にそうで、3つも該当するものがありました。今回から、その豊富な内容の一部(2015年12月号にも遡って)を紹介させていただきます。
あなたが2つの思考法――直観的なシステムと慎重なシステム――のそれぞれにどの程度依存しているかを知るため、「認知的熟慮度テスト」にトライしてみましょう。
Q1 バット1本とボール1個の値段は合計1ドル10セント。バットはボールより1ドル高い。ボールは1個いくらでしょうか。
Q2 5つの製品をつくるのに5台の機械で5分かかる時、100の製品をつくるのに何分かかるでしょうか。
Q3 池の一部をスイレンが占めています。スイレンが占める面積は毎日、大きさが倍になります。スイレンが池全体を覆うのに48日かかるとしたら、池の半分を覆うのに何日かかるでしょうか。
1の正解【5セント】 直観的にはバットが1ドル、ボールが10セントと答えたくなります。でも、慎重なシステムを働かせて数学的に計算すれば、これは正しくないことがわかります。両方の間には1ドルの差があるので、問題のすべての条件を満たす価格は、バット1ドル5セント、ボールが5セントとなります。
2の正解【5分】 この手の問題は間違えやすいようです。我々の頭は誤解を招くパターンを無意識のうちに取り込んでしまいます。つまり、5台の機械から5つの製品を5分でつくれるのなら(5-5-5)、そこからの類推で、100の機械は100の製品を100分でつくる(100-100-100)と考えます。ですが慎重なシステムを使えば、それぞれの機械は5分で1つの製品をつくることがわかります。
3の正解【47日】 池の半分を覆うには半分の時間がかかる(48÷2=24)という結論に飛びついたとしたら、指数関数的な増加、つまり認知的努力(慎重なシステム思考)を要する推論を怠ったことになります。正解は47日。なぜなら、その日までに池が半分覆われていたら、次の48日目に倍になれば、池全体がスイレンで覆われるからです。ところで、あまり見られない解答ですが、「1日」も正解です。スイレンが池の残りを覆うには1日かかります。そう答えたあなたは、さらなる創造力の持ち主といえます。
参考文献:前出の通り。
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