『組織の経験』は本当にチームのパフォーマンスを高めるのか
『Diamond Harvard Business Review』に学ぶ (January 2016)抜粋(3)
今回から、早稲田大学ビジネスススクール・入山章栄准教授の『世界標準の経営理論』を取り上げます。まずは第16回「組織学習・イノベーション理論(3)」知の創造を導く「マインドフルネス(mindfulness)*」を高める法 から。組織の経験が生産性にどう結びつくかを「病院」「航空会社」「自動車業界」の実証研究例で見てみましょう。
*自分の身体や気持ちの状態に気づくための「こころのエクササイズ 」
病院の手術ではチームコミュニケーションは手術時間の短縮に有効
実証研究例1:米国の16の病院において新技術の手術を受けた患者660人(1998年)
主な仮説・発見:同一内容の手術において、チームで技術を学びコミュニケーションを取った時間は、後に行われる手術時間と負の関係を持つ。
実証研究例2:米国のある病院で行われた股関節の関節置換手術1151件
主な仮説・発見:病院の手術経験数、同じチームメンバーでの手術経験は、手術時間を短くする。
手術経験と手術時間には、逆U字型の関係が存在する。
航空会社の事故防止には異質な体験が役立つ。クレーム対策は慣れが大敵
実証研究例3:航空会社310社の1346の事故経験(1983~1997年)
主な仮説・発見:異質な失敗経験は同質な失敗経験に比べ、その後の事故確率を引き下げる。
実証研究例4:米国の10の航空会社の顧客クレーム450件(1997~1998年)
主な仮説・発見:累積フライト数と顧客のクレーム数には、企業がフライト経験を重ねるほど顧客のクレーム数は減少するが、フライト数が一定水準を超えると、むしろ増加する。
自動車部品工場では、従業員からの提案受入れが多いほど製造コストが下がる
実証研究例5:北米の乗用車78車種376モデルの不具合率(repair rate)(1981~1989
年)
主な仮説・発見:同モデルにおける累積生産数は不具合率と関係を持たない一方、時間の経過とは負の関係性を持つ。
同車種における最新モデルは、製品サイクルが短い一方、もっとも不具合率が低い。
実証研究例6:米国の自動車部品工場(1つの工場)の41カ月のオペレーション(1989~1992年)
主な仮説・発見:従業員からの提案の実行累積は、月次製造コストを引き下げる。
参考文献:前出の通り。
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