「組織の記憶」独占型の北米が日本型・欧米型よりもダイナミックなIBM
『Diamond Harvard Business Review』に学ぶ (December 2015)抜粋(4)
IBMは北米、日本、欧州の3か所に大きなR&D(研究開発:Research and development)部門があります。そして他の大企業と違わずここで課題になるのが、R&D部門とマーケティング・営業部門との交流です。マーケティングとR&Dの交流が弱いために、企業全体として成果を上げられない事例は少なくありません。
IBMの3大拠点(北米・日本・欧州)でそれぞれ異なるTMS情報の持ち方
興味深いのは、IBMではこのR&D部門とマーケティングの交流の仕方が、3拠点で違うことです。まず欧州では、技術情報が欲しいマーケティング側が、部門の壁を破ってR&D部門に情報交換に来ます。一方日本では、逆にR&D部門の人がマーケティング・営業側に常駐して、ともに顧客に製品を売り込みにいく体制がとられています。
戦略的に大規模プロジェクトを受託できているのは圧倒的に北米の拠点
対して米国では、社内の各部門を歩き回ってさまざまな情報を集め、流通させる少人数の「知のブローカーの専門職」の存在が他の2拠点と大きく異なります。彼らにR&Dやマーケティングの「誰が何を知っているか」についての情報が集約され、戦略的に大規模プロジェクトを受託できているのは、圧倒的に北米の拠点なのだそうです。
あなたの組織が目指すべきは米IBM型か、IDEO型か
IDEOのブレストは、TMS情報もSMM情報のように組織のメンバーが共有することでアイデアを創出し続けているとのことでした。極端なこの違いは何によって生ずるのでしょうか。IBMの北米型は単に一例に過ぎないのか、そのあたりがわかれば、自らが所属する「組織の記憶」の持ち方が見えてきます。
組織の大きさによる違いと割り切れない
この違いについては、組織の大きさがあるかもしれません。IDEOを2人の研究者が調査した時点のデザイナーの数は150人程度でした。しかし、前回記した3人の研究者による実験の、わずか3人というチームでも「個人に有用な情報を集約すべき」という結果は、まるまるIBMの北米型に当てはまり、数の違いではなさそうです。
それぞれの組織の性格により「組織の記憶」の持ち方は異なる!?
確かなことは、IBMほどの巨大組織や、小さな組織でも機能が分化している場合は、少数の人にあえて有用な情報を独占させて、その人に社内をぐるぐると歩き回らせるほうが、組織の記憶力を高めるうえで効果的なのかもしれません。その一方で、IDEOのように専門家集団の場合は共有化するほうが効果的なのもたしかでしょう。
参考文献:前出の通り。
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