フェース・トゥ・フェースのコミュニケーションが果たす大きな役割
『Diamond Harvard Business Review』に学ぶ (December 2015)抜粋(6)
参考資料に男女のカップルを3つのタイプに分けた実証研究例があります。
1)共同作業の際に、会話することも、互いの顔を見ることもできるカップル
2)会話はできるけれど、互いの顔を見ることはできないカップル
3)会話はできないが、顔を見ながら書面の交換によって意思疎通ができるカップル
34組を上記のような3グループに分け、それぞれのカップルに共同作業をしてもらい、その成果を比較する実験を行いました。そして各カップルの事後的なTMS(トランザクティブ・メモリー・システム:他のメンバーの「誰が何を知っているのか」を知っていること)の高さを計測しました(ここでの他のメンバーはペアの相手)。
すると(1)(3)のカップルの間では、TMSにほとんど違いが出ませんでした。それに対して、(2)のカップルは、(1)や(2)のカップルと比べて、TMSが著しく落ち込みました。話すことはできても、互いの顔が見えなくなったとたんに、TMSはまったく高まらなくなったのです。
この結果が示唆することは、「顔を突き合わせてのフェース・トゥ・フェースの交流」がTMSを高めるうえで、極めて重要な要素になっているということにほかなりません。まさに「目は口ほどに物を言う」なのですね。
テキサス大学のフェース・トゥ・フェースのコミュニケーション実証研究
テキサス大学オースティン校のカイル・ルイスは、ある米大学のMBA学生261人からなる61チームが地元企業に行ったコンサルティングプロジェクトを分析対象とし、「各チームがコンサルティングプロジェクト遂行中に、どのくらいの頻度でメンバー間のコミュニケーションを取ったか」を指数化し、TMSとの関係を統計分析しました。
その結果、TMSを高められるのは、やはり直接対話によるコミュニケーションの頻度が高いチームになったのです。反対にTMSを高められなかったのは、メール・電話によるコミュニケーション頻度が高いチームでした。多くの企業で実際に行われている情報交換手段が、知識共有の阻害要因だというのですから考えさせられます。
フェース・トゥ・フェース交流がTMSを高める可能性については、さらなる実証実験が必要で、学者のコンセンサスとまではまだいえない、というのが入山准教授(参考資料の筆者)のご理解だそうです。しかし、もしこの法則が多くの企業に当てはまるなら、それは様々な示唆を持つだろうと指摘されています。
参考文献:前出の通り。
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