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2016年2月25日 (木)

説明の枠組み 原因を明らかにするとはどういうことか

『原因を推論する』より(3)
アメリカの大統領選挙では背の高い候補者の方が勝つ確率が高いと、以前当ブログで書いたことがあります(*)。また、これは人から聞いた話ではあるのですが、歴代のローマ法王も当時の基準からすると圧倒的に背の高い方が就任なさってきたとのこと。あまり背の高くないブログ筆者としては気になるテーマなので取り上げました。

高身長は得か?
身体的特徴と所得の関係は、人々の関心と興味を引き付けてきました。中でも、身長と所得や出世の関係については、ずいぶん昔から関心が寄せられています。身長と労働市場での成功の関係についての実証研究には、百年近い歴史があります。1915年には、ゴウィンが身長の高い人ほど出世しているという調査結果を報告しています。

アメリカでの最近の研究は、この点について対立しています
アメリカでは、16歳時点で背が高い子どもは高校のスポーツクラブなどに参加することが多くなり、そこでコミュニケーション能力といった「人的資本」を身に付けることになる。この結果、将来の所得が高くなるという因果関係を、彼らは推論しているのです(Persico et al.2004)。

所得に関係するのはコミュニケーション能力か、それとも認知能力か
これに対して、アン・ケースとクリスティナ・パクソンは、同誌において、背の高い子どもほど高い認知能力を持っているという関係を強調し、身長が原因ではなく認知能力が真の原因であることを主張しています(Case & Paxson 2008)。ここでは、まさに身長と所得との間の「共変関係」が、真の因果関係を示しているのか、単なる偽りの相関であるのかが争われているのです。

日本では、身長自体が所得に影響している可能性は低い
なお、この身長プレミアム研究を簡潔に紹介している大竹文雄氏の『経済学的思考のセンス』には、大阪大学21世紀COEプログラムアンケート調査を利用した日本での研究結果が紹介されています。
それによれば、日本における身長プレミアムは、学歴、勤続年数、企業規模に加えて、親の学歴や育った家庭の生活水準までコントロールした上で、1cm身長が高くなることによって0.5%(統計的には本当はゼロかもしれないというレベル)時給が高くなる程度だといいます。
統計的有意性という基準に従って考えると、この調査結果は日本では、身長自体が所得に影響している可能性は低いことを示しています。

※:『原因を推論する』~政治分析方法論のすすめ~(久米郁男著/有斐閣)
*:http://leaf-wrapping-lw.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/2012116-a72d.html

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