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2016年3月10日 (木)

反対の立場から尋ねてみよう   『聞く力、話す力』より(2)

「2位でいいじゃないか」と言う人は、きっと2位にもなれません。絶対にトップを取ると決めている人でないとトップにはなれません。これは社員教育業の女性経営者が書いた『仕事ノート(※)』の中の一節です。ところが同じような表現でも物議をかもすことがあります。以下に紹介するのは、まだ記憶に新しいあのシーンです。

「2位じゃダメなんでしょうか?」
国の財政が悪化していくなか、予算が正しく使われているかきちんとチェックして、減らすべきものは減らしていこう。そうした考えのもと、行われた公聴会の場で、ある女性の政治家が「世界一になる理由は何があるんでしょうか」と言った後、こう聞いたのです。「2位じゃダメなんでしょうか?」

これはすごい質問です
科学技術の分野で世界一を目指すということは、異議を申し立てにくい質問だからです。いっせいに各方面から反発が起こりました。「技術がまったく分かっていない人間の質問だ」「1位を目指さなければ、2位も3位も取れない」「そんなことを言っているから、日本は後れをとってしまうんだ」等々。

同じ質問でも相手の受け止め方でニュアンスが変わる
反発が起きたのは、質問が人の神経を逆なでするような聞き方だったこともありますが、何より質問した議員が「1番でなくてもいい」と考えている、と思われたことでしょう。この結果、「1番でなくてもいいとは何ごとか」、「この女は何もわかっていない」といった感情的な反応が引き起こされたのです。

「2位ではダメなのかと聞かれたら、どう答えますか」と聞いていたら・・・ 
ただ、たとえ自分で思っていないとしても、問いを発したとたんにそれは自分の意見であるとみられるリスクがあるのは確かです。そうなると会話にならず、感情的な反応を引き起こすだけで終わってしまう恐れがあります。それを避けるために、「2位ではダメなのかと聞かれたら、どう答えますか」といった聞き方もあったはずです。

逆の立場から、尋ねてみる
仮定の話にしてしまうか、第三者の声としてぶつけてみるのです。そうすれば少なくとも「てめえ、そんなこと言いやがって」という直接的な反発は避けられるのではないでしょうか。逆の立場から、尋ねてみること。それは本質を引きだすきっかけになりうるのです。

参考文献:『聞く力、話す力 ~インタビュー術入門~』(松原耕二著/河出書房新社「14歳の世渡り術シリーズ」)
※:『仕事ノート』(朝倉千恵子著/プレジデント社)

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