2度リストラされた会社(町工場)を再建 活躍する女性たちの群像(7)(ウーマン・オブ・ザ・イヤーの大賞受賞者紹介 Ⅴ)
今回取り上げるのは、現在進行している「ウーマン・オブ・ザ・イヤーの大賞受賞者紹介」を取り上げるきっかけとなった『ザ・町工場』の著者・諏訪貴子氏です。彼女の真の凄さは、単に町工場を再建したのではなく、町工場の経営を抜本的に組み立て直し、地域はもとより全国の中小企業に意識変革をもたらしたことです。
2013年度 諏訪貴子氏(ダイヤ精機㈱代表取締役社長)の大賞受賞理由
●技術力、対応力など自社の強みを生かし経営再建。中小零細企業が生き抜くための一つの道を示した/●生産管理や人材育成のノウハウを公開。他社の課題解決や国の政策にも影響を与える
先代の社長から2度リストラされるも、社員・協力会社の推しで社長に
諏訪さんは、「いずれは後継に」という父親の意向で大学は工学部を選び、自動車部品メーカーで部内初の女性エンジニアとして修業しましたが、出産を機に退社。その後2度父親の要請でダイヤ精機に入社しますが、いずれも、不採算部門のリストラ提案で意見が衝突し、逆に彼女がリストラされるという苦い経験を2度もしていました。
最初の英断は、過去に訴えた不採算部門のリストラで、2人を人員削減
続いて3年スパンの社内改革を計画し、実行に移しました。その初動は、挨拶の徹底と整理整頓でした。その整理整頓は、工場から4トントラックいっぱいのごみを出すほどの徹底ぶりだったそうです。続いて、自社の40年分の経営データを読み解き、SWOT分析を進めると同時に、取引先に「うちの強みは何ですか?」と聞いて回りました。
自社の強みは技術力だと思いこんでいたが・・・
取引先は“特急で応じてくれる”“無理を聞いて納期に仕上げてくれる”など、対応力を真っ先に挙げたのでした。ならばと打った次の手は、対応力をさらに高める生産管理システムの見直しでした。自らIT関連の展示会に足を運び、就任1年後にはバーコードによる工程管理、原価管理システムを導入しました。
2012年に東京商工会議所の「勇気ある経営大賞」優秀賞を受賞
常に6000~8000種類の製品を生産・管理していた同社はこの改革で製品の確認や特急対応、納期の短縮を劇的に改善し、原価管理や赤字製品の発見を容易にし、コスト削減や利益改善につなげたのです。これらの成功事例を諏訪さんは積極的に情報公開し、現在は同じシステムを大田区の6社が導入しているそうです。
参考文献:『日経WOMAN』(月刊誌 /日経BP社)
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