優れていることを見せつける⇔他人に優しくする 認知再構成(4)
「人はあなたが言ったことを忘れ、あなたがしたことを忘れます。しかしあなたがどんな気分にしてくれたかを忘れることは決してありません」と、詩人のマヤ・アンジェロウが言っているそうです。人はとかく、自分は他人より優れていると感じたときや、人から自分のよさを認めてもらったときは、気分がよくなる身勝手な生き物なのです。
健全な自尊心は他人の自尊心を損なうことでは生まれません
私たちは、他人より美しいことや頭がいいこと、優れた能力を持っていることを見せびらかす傾向があります。人からどう見られているかを気にすることは当然のことなので、ほめられたいとか尊敬されたいと思うのは間違ったことではありません。しかし「見せびらかしたい」という願望は人を傷つけることもあります。
他人をいい気持ちにして初めて、心の底から自己信頼感が生まれてくる
アマゾンのCEOジェフ・ベソスは子どものころ、毎年テキサスの祖父母の牧場で風車を直したり牛に予防接種をしたりして夏を過ごしていました。19歳の夏、ジェフはドライブに連れていってもらいました。
祖父が運転し、祖母は助手席でずっとたばこを吸っていました。
数字が大好きだったジェフが、自慢げに祖母に話したことは・・・
たばこを1回ふかすたびに2分寿命が縮まるということを本で読んでいたジェフは、祖母が1日たばこを吸う回数を見積もり、祖母が喫煙してきた日数をかけて、祖母の肩をたたいて得意そうに言いました。
「1回ふかして2分だから、これまでにもう9年も寿命を縮めているよ!」
彼は頭のよさをほめてもらえると思っていましたが、そうではありませんでした。
祖母は泣き出してしまったのです。祖父は車を停めると彼を連れ出し優しい声で言いました。「ジェフ、賢くなるより優しくなるほうが難しいということが、おまえもいつかわかるようになるだろう」
与えられた才能を見せつける前に、まず優しさという名の贈り物を人に与えよう
それから35年後の2010年ジェフ・ベソス氏はプリンストン大学の卒業生に向けて講演を行いました。彼はこの話を卒業生たちに伝えたあと、言いました。
「今日お話ししたかったことは才能と選択の違いです。頭のよさは才能で、優しくすることは選択です。才能は与えられているものなので使うことは簡単です。選択のほうが難しいのです」と。
参考文献:『Q・次の2つから生きたい人生を選びなさい~ハーバードの人生を変える授業Ⅱ~』(タル・ベン・シャハ―著/大和書房)
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