「白」と「黒」にまつわるシマウマ的発想法とは? 発想法(3)
「水平思考」の代表的な例話が白黒の石だったのは、デボノ博士の意図的なものだったのでしょうか。『アニマル・シンキング(※1)』という本に「あえて白か黒かを決めないシマウマ的発想法」が出てきます。パラドックス(共存する正反対)をつくり出すことで、「どちらかに決める」という呪縛(じゅばく)から自由になれるというのです。
対立を同居させる
米シリコンバレーの大手半導体のインテルでは、開発プロジェクトを立ち上げる際には、対立する考えの2人をリーダーとして任命することが多いといいます。トゥー・イン・ザ・ボックスと呼ばれるこの方法は、異なる考え方の「知の戦い」から素晴らしいモノが生まれることを経験的に確信しているからなのだそうです。
シマウマは白地に黒のシマ模様、それとも黒地に白のシマ模様?
この問いに対し、多くの人は「白地に黒シマ」と答えます。しかし、現地のアフリカの人に訊くと「黒地に白シマ」と答えます。地肌が「黒」であれば、「白」こそが飾り模様の色となるのですね。価値観が異なると、ベースになる考え方(シマウマの場合は地色)さえ違ってくるということがよく理解できる例といえそうです。
目立つ縞模様は天敵(ライオンやヒョウ)の標的になりそうだが・・・
横断歩道が縞模様であるように、白と黒のコントラストがはっきりした縞模様というのは、良く目立つ組み合わせです。緑色や黄色の草原の中で、シマウマの白と黒はかなり目立ってしまいます。どうして、敵から身を隠さなければならないはずのシマウマが、目立つ色合いをしているのでしょうか?
ライオン(ネコ科)と人間や鳥では縞模様の見え方が違う(※2)
シマウマの敵であるライオンやヒョウなどのネコ科の肉食獣は、色が識別できません。このため、光と影のある草木の中に白と黒のシマウマが入ると、見わけがつかなくなってしまうのです。こうして、シマウマは見事に身を隠しています。アイデアを考えるとき他者目線を無視できないのは、大事な要素を見落とさない備えなのですね。
ただし、「白黒思考」になってしまってはいけません(※3)
仕事にしろ、プライベートにしろ、何らかのストレスを受けつづけていると、心が不安定な状態になり、忍耐力が弱くなります。すると、頭をもたげてくるのが、白か黒かを一気につけたがる「白黒思考」です。白黒をつけさえすれば、グレーゾーンに目を向けずにすむので、そのぶん、余計なエネルギーを使わなくてすむからです。
※1:『アニマル・シンキング』(ベラ・ブライヘル&サリー・バルエル共著/英治出版)なお、の原書タイトルは『Think Like a Zebra』
※2:『弱者の戦略』(稲垣栄洋著/新潮社)
※3:『気にしすぎ人間へ』(長沼睦雄著/青春出版社)
ホームページ https://www.leafwrapping.com/
■研修、講演などのご依頼、ご相談は【プロフィール】(画面左顔写真下)の〈メール送信〉からお願いいたします。今回は「マーケティングその他」の話題から。
| 固定リンク
「マーケティング・その他」カテゴリの記事
- 興味深い4ジャンルの推薦『絵本』とは(2024.10.30)
- さまざまな「老舗」定義と世界最古企業(2024.10.23)
- 生き方の「知恵」を「スポーツ」に学ぶ(2024.10.17)
- サッカーの三苫選手から海外志向者へのアドバイス(2024.10.08)
- 世界古典文学最高峰『源氏物語』の評価(2024.10.03)