借金のかたに取られそうになった娘を救った「水平思考」とは 発想法(2)
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(前号の続きから)金貸しの罠で絶体絶命のピンチに直面した商人の娘さん。彼女がこのピンチから脱出する方法を見い出そうとしたら、それは、慎重に論理的に分析して解決策を見いだそうとする垂直的思考でしょうか、それとも、あらゆる可能性を考慮の対象に入れ、常識を覆すような発想を生み出すことのある水平的思考でしょうか…。
(以下『水平思考の世界』本文より)垂直的な思考家は、この場合まずあまり助けにならないが、その考え方によると、次の三つの可能性が考えられる。
1 娘が石を選ぶのを拒否する。
2 さいふの中を開け、二つの黒い石を示して、金貸しの欺瞞をあばく。
3 黒い石を選んで、父親を監獄送りから救うために自分を犠牲にする。
ただ、いずれにしても、これらの方法は娘にとってはあまり役に立たない。というのは、石を選ぶのを拒否すれば父親は監獄行となり、黒い石を選べばその金貸しと結婚しなければならないからだ。
この物語は垂直的思考と水平的思考の違いをはっきり表している。
垂直的思考をする人は、娘がいずれにしても石を選ばなければならいということにこだわっている。
これに対して、水平的思考をする人は、さいふの中に残る小石そのものに目をつける。垂直的思考をする人が、事態を冷静に見わたし、綿密に検討し、論理的に考えをすすめるのに対して、水平的思考の人は、事態を別の角度から、まったく違ったものの見方を求めるものである。
この娘は、さいふの中に手を入れて、小石を一つ取り出す。
そして小石が黒か白かを確かめずに手から滑り落し、庭の小道の小石の中に落としてしまう。
そして、「私って不調法ね、でも大丈夫。
さいふの中に残っている小石を見れば、いま落した小石の色がわかりますものね」といった。
もちろん、さいふの中に残っている石は黒だから、娘が最初に取り出した石は白ということになる。金貸しもあえて自分がやった“誤魔化し”を認めるわけにはいかないだろう。このようにして娘は、水平的思考をすることによって、絶体絶命のピンチから脱出して、きわめて有利な立場に立つことができた。
参考文献:『水平思考の世界』(エドワード・デボノ著/講談社/昭和44年刊)
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