叱る時は逃げ道を作ってあげる 高橋みなみさんのコミュニケーション術(5)
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高橋みなみさんは、たくさん叱られてきたそうです。当時「怖いな」と思っていた大人が初期の頃のAKB48にはたくさんいて、今日の礎を築きました。叱ってくれる人がいることは財産だと回想する彼女は、大成功を収め、叱ってくれる人が少なくなってしまった所属団体への危機意識から、自らがその役割を担うことを決意したのでした。
★コミュニケーションの基本は「やまびこ」
とかく見栄の張り合いになりがちですが、そうではなく弱さの見せ合いをすることが大事だと高橋さんは書いています。メンバーに注意しなければならない場面では、「この間のライブの冒頭で、振りをミスっちゃってさ。気づいた?」といった感じで、自身の失敗談から始め、相手の気持ちをちょっとくすぐってから話し始めるそうです。
このように弱さの見せ合いっこをすると、最初は恥ずかしい気もないではありませんが、お互い同士がすごく優しい心持になれることがあります。自分の気持ちが相手に移って返ってくる。その往復運動を意識していれば人に優しくなれ、冷静でいられる。こうしたことから、高橋さんはコミュニケーションの基本を「やまびこ」に例えています。
★ひとりに注意したいことも100人に向かって言う
プライドが高くて自分なりのこだわりも強い若いメンバーを、集団としてまとめるためにリーダーとして言わなければならないことがあります。本当は一人に言いたいことがある時でも、高橋さんはグループ全体で円になった状態で、100人に向かって発言するような感じの注意をするように心がけたそうです。
しかし、発言中に、本当に注意したいメンバーをチラッと見ました。そうすると、そのメンバーは「私のことだ」と意識し、直接は叱られていない人たちも、「あの人はメンバーみんなのことをよく見ている。叱られないようにしよう」との思いを抱いてくれるだろうとの意図があったといいます。
★叱る時は逃げ道を作ってあげる
叱る時にむずかしいのは、前項に書いたような全体に向かって注意する方法では、フォローしきれないようなケースだと高橋さんは言います。滅多になかったそうですが、そういう時は一対一で注意するしかありません。そのような場合では、高橋さんが注意した後に、きちんとケアしてくれる人材を必ず確保していたそうです。
ある時チームの若手を厳しく注意しなければならないことがありました。その際、彼女は副キャプテンに、「きっとあの子は落ち込んであなたのところへ来ると思うから、フォローしてあげてね」と事前に声をかけておきました。どのような状況下であれ、「逃げ道」をちゃんと作っておき、その後もしっかり見守ることにしていたそうです。
参考文献:『リーダー論』(高橋みなみ著/講談社/2015年12月24日刊)
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