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2016年10月

2016年10月30日 (日)

オズボーンのチェックリスト(4)大きくできないか?〈Ⅱ〉  発想法(12)

時間、頻度、強度、高さ、長さ、価値、材料を増大できないか?
・・・「高い」目標がイノベーションにつながる(※6)
貿易自由化を目前に控えた頃、松下通信工業はトヨタからカーラジオの納入価格を即日5%、半年でさらに25%、計30%の値引きを要求されました。このとき松下幸之助氏は「コストダウンちゅうのはやな、5分や1割引きを目標にしてたらかえってでけんもんなんや。3割となるとそうはいかん。根本から発想を変えなあかんな」と。

「性能は落としません。規格も変えてはならん。けど、この2つを守る限りあとは自由や。ところで、本当に3割引きでけたらどやねん?」「トヨタさんだけやなく、世界中から注文が来るんとちゃうか」「これはピンチではないで。うちにとってはチャンスや」。この檄に応え同社は、3月も経たぬうちに(3割引き+10%利益)を実現しました。

・・・陳列棚を「長く」すると林檎も魚フライもよく売れる(※7)
鈴木敏文氏がヨーカ堂の経営に携わっていたときのお話です。林檎は長さ1.8メートルの六尺ゴンドラ(陳列棚)1本に並べるのと、思い切って2~3本使うのとでは売れ方が全然違ったそうです。同様に、広いフェンスをとれば単品で5百枚は軽く売れる魚フライも、人気があるからフェンスが少なくてもと考えると百枚も売れなかったとか。

・・・お客にとっての「価値」を高める服の陳列の仕方とは(※8)
デパートやスーパーなどでは、衣類をハンガーにかけて陳列します。このハンガー陳列は、整理の手間がかからず、場所もとらず、服の大きさもはっきりわかり、合理的な方法です。ところが、平台に一枚一枚畳んで積み上げるという、売り手にとって非合理な陳列の方が販売につながるのは、顧客がそちらの方に価値を見いだすからなのだと。

・・・お客にとっては 値引き より おまけ の方に「価値」がある(※9)
海外旅行に行ったとき免税店に入ると、「ネクタイ3本買うと、もう一本無料!」というキャンペーンが目立ちます。それは結局、25%割引と同じことなのですが、「一本無料!」のほうが「25%OFF」よりレジに並ぶ率が高いとの実証データがあるからです。全く同じ商品でも、「一本無料!」とした方が、お客が感じる価値が高くなります。

・・・創造的活動は「材料を増大」するだけ成功率も向上する(※10)
創造的な努力は量が質を培います。これは論理的、数学的な真理でもあります。なぜならよいアイデアが最初に浮かぶことはめったにないからです。ある鉱山会社の社長は30グラムの金を得るには、3千kgの鉱石を採取しなければならないと言います。良いアイデア(黄金)には、試案という鉱石を大量に用意しなければなりません。

※6:『本当は失敗続きだった「経営の神様」経営伝――松下幸之助』(中島孝志著/メトロポリタンプレス)
※7:『売る力』(鈴木敏文著/文藝春秋)
※8:『鈴木敏文の統計心理学』(勝見明著/ダイヤモンド社)
※9:『創造力を生かす』(アレックス・オズボーン著/創元社)
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2016年10月27日 (木)

オズボーンのチェックリスト(4)大きくできないか?〈Ⅰ〉  発想法(11)

通販カタログでは、モデルの瞳孔を大きくすると売り上げが45%も伸びるといいます。人は瞳孔の変化を無意識のうちに察知しており、相手の瞳孔が拡大すると自分の瞳孔も拡大し、気持ちも高ぶるからなのだそうです(※1)。大きくするといえば、味の素はキャップの穴を大きくして売上を伸ばしたというお話もその昔にありました。

時間、頻度、強度、高さ、長さ、価値、材料を増大できないか?
・・・ディズニーが待ち「時間」を長く伝える理由(※2)
ディズニーではゲスト(来場者)の待ち時間の問いかけに、キャスト(従業員=役者)は故意にやや長め(30分待ちの場合には45分くらいといった感じでしょうか)に告げます。そうしておくと、ゲストは、予想よりも早くアトラクションを体験できるからです。この「ちょっと得した感」が、行列に並ぶという不満足感を和らげてくれます。

・・・店内の滞留「時間」を長くするには(※3)
ある調査によると、全国規模の家庭用品チェーン店の場合、女性の2人連れは8分15秒、子連れの女性は7分19秒、独身の女性は5分2秒、男性と一緒の女性は4分41秒だそうです。通路の途中で客を引き返さないためには、主力商品を奥に置くことが正解なのです。GAPが学んだ顧客誘導法は、一番奥の壁面にジーンズを置くことでした。

・・・配送「頻度」を多くするとパンが売れる(※4)
あるパンメーカーが小売店(パン屋さん)への配送頻度を1日2回に増やしたら売上はどうなるだろうかと14の店舗でテストしたところ、4カ月の平均で118%増(2倍以上)の売上となりました。この時、他のパンメーカーの売り上げが下がっていないことから、その原因は、1顧客当たりの販売量が増えたと結論づけられました。

つまり、お客が、いままでよりもっと多くのパン、おそらくこれまでの倍の量、パンを買って行ってくれたのです。この不思議な現象は、どの家でも、古いパンより新しいパンから食べる。新しいパンがあればそれを食べ、古くなったものは平気で捨てる。だから、食べる量は同じでも新しいパンは2倍売れた、ということのようなのです。

・・・「強度」を上げると、リーバイスのジーンズはさらに売れた(※5)
チェックリスト(1)他に使い道はないか?で取り上げたリーバイスのジーンズの続編。採鉱者たちは、道具や鉱石ですぐにポケットが破れてしまうと文句を言っていました。対応策を持たないリーバイ・ストラウスの元に「ポケットに鋲を打って強度を増す」技術が持ち込まれました。この素朴なアイデアがリーバイスを急成長させました。

※1:『本音は顔に書いてある』(アラン・ピーズ&バーバラ・ピーズ共著/主婦の友社)
※2:『不合理な地球人 お金とココロの行動経済学』(ハワード・S・ダンフォード著/朝日新聞出版社)
※3:『あなたもこうしてダマされている』(ロバート・レヴィーン著/草思社)
※4:『ザ・チョイス』(エイヤフ・ゴールドラット著/ダイヤモンド社)
※5:『あなたの知らないヒットブランド本当の話-なーんだ!47話』(ジャック・ミンゴ著/東急エージェンシー出版部)
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2016年10月23日 (日)

オズボーンのチェックリスト(3)一部を変更したらどうか?〈Ⅱ〉 発想法(10)

色、動き、音、匂い、様式、型、場所を変化せたらどうか?
・・・BGM(音)のフレーミング効果はワイン選びにハッキリ出た(※4)
ワインコーナーの棚にテープデッキを設置し、その下に同じ値段で同じ辛口のフランスワイン4種とドイツワイン4種を並べました。そしてフランスの曲とドイツの曲を1日おきに流したのです。すると、フランスワインはフランスの曲を流した日40本(ドイツの曲の日12本)、ドイツワインも同じように22本と8本の差がでたそうです。

・・・「匂い」の変化で、買い物点数や額は性差により大幅に変化する(※5)
ワシントン大学経営学教授エリック・シュバンゲンベルクらが最近行った研究があります。2週間の実験期間を通して、店内は交互に2種類の香りで満たされました。どちらも強さと心地よさは同等でしたが、一方は女性的なバニラの香り、もう一方は男性的なローズ・モロッコの香り(スパイシーで蜂蜜のような香調)でした。

バニラの香りが漂っていると、婦人服の売り上げは増えましたが、紳士服の売り上げは減りました。次に、ローズ・モロッコの香りを使用した場合は逆の現象が起きたのです。自分の性に適した香の中で買い物をした客たちは、平均1.7品を購入し55.14ドル支払い、異性に適した香の中では0.9品で23.01ドルに過ぎませんでした。

・・・「型」にこだわり大成功を収めたサントリーの「伊右衛門」(※6・7)
サントリーの緑茶飲料「伊右衛門」は、2004年3月の発売と同時に大ヒットを飛ばし、1年目から3420万ケース(1ケース=360ml缶24本換算)を出荷して、清涼飲料の発売初年度販売記録を樹立、キリン「生茶」を抜いてシェア2位に。翌年は5250万ケースと続伸。前回本ブログで紹介の伊藤園「お~いお茶」の首位を脅かす存在に。 

「伊右衛門」の成功には2つの要因が挙げられます。一つは京都の老舗とのコラボであり、創業者のお名前を戴いた意表をついたネーミング。もう一つは独創的な竹筒パッケージでした。細身の形状のため自動販売機に入らず、社内からは大反対されましたが、自販機用と2タイプ6種類とすることで調整し、こだわりを貫いたそうです。

・・・保管「場所」を用意すると全国から注文が集まる(※8)
京都府郊外にあるクリーニング店「ハッピー」は、クリーニング後の衣服を保管するユニークなサービスを実施しています。害虫やホコリから衣服を守るクリーンルームを整備し、温度・湿度が一定に保たれます。そのサービスのおかげで東京・神奈川に住む利用者の割合が全顧客の49%にも上るそうです(京都、大阪、兵庫の顧客は26%)。

※4:『しまった!「失敗の心理」を科学する』(ジョセフ・T・ハリナン著/講談社)
※5:『匂いの人類学』(エイヴリー・ギルバート著/ランダムハウス講談社)
※6:『イノベーションの作法』(野中郁次郎&勝見明共著/日本経済出版社)
※7:『理系の企画力!』(宮永博史著/祥伝社)
※8:『ことわざで鍛えるマーケティング脳』(佐藤義典著/毎日コミュニケーションズ)

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2016年10月20日 (木)

オズボーンのチェックリスト(3)一部を変更したらどうか?〈Ⅰ〉  発想法(9)

一部を変更することで最も恩恵に浴したのはGM(ゼネラルモーターズ)だったのではないでしょうか。19世紀初頭の米国自動車産業はフォードの独壇場でした。ヘンリー・フォードによって考案されたオートメーション の先駆けともいうべき生産方式から生み出された廉価なT型フォードがほぼ市場を独占していました(※1)。

破竹の勢いだったT型フォードを追い落としたGMのモデルチェンジ
このフォードの快進撃に待ったをかけたのが、ゼネラルモーターズの副社長・社長を務めたアルフレッド・スローンです。彼は巻き返しを図るべく、デザインを変えた新しいタイプの車を登場させることで、消費者が乗っている車(T型フォード)を、人為的に流行遅れにし、新しい車への購買意欲をかき立てることに成功しました。

これは『計画的陳腐化』と呼ばれる手法で、自動車産業におけるモデルチェンジはこのときに確立されました。一方のフォードは1927年までT型のモデルチェンジを拒み続け、この間アメリカ国内における両社のシェアは逆転してしまったのです。その後モデルチェンジの考え方は、自動車以外のさまざまな工業製品に波及していきました。

商品の意味を変更したらどうか?・・・商品名を変更したらブレイク(※2)
伊藤園の「お~いお茶」は、「缶入り煎茶」という商品名で発売されたのですが、「煎茶」が読めない人もいて、発売4年後に現在の名前に変更したところ売り上げは約6倍に。同じように、レナウンの紳士用靴下「通勤快足」も、「フレッシュライフ」ではあまり売れず、6年後に名前を変更したら売上は一気に10倍になりました。

商品の意味を変更したらどうか?・・・用途を変更したら大ヒット(※3)
1956年、農場用ポンプを売っていたジャクージ兄弟が、従兄弟の関節炎治療のために特別製の泡風呂を考案しました。これを治療に役立つと売り込みましたがうまく行きません。暫らくほったらかしにしていましたが、1968年このアイデアを高級風呂市場という別の状況に置き換えると、ホワイトハウスが導入するほどの大ヒットに。

商品の意味を変更したらどうか?・・・位置付けの変更で生まれ変わる(※4)
キンバリークラークはクリネックス・ティシューを当初、化粧落とし(女優などに配り、使い勝手の良さを大掛かりな宣伝とともにPRしていた)と位置付けたが売れませんでした。そこで市場調査をすると、クリネックスを使っている人の3分の2が化粧落としとしてではなく、使い捨てのハンカチとして利用していることがわかりました。

※1:『Wikipedia』
※2:『ストーリー思考』(神田昌典著/ダイヤモンド社)
※3:『アイデア・バイブル』(マイケル・マハルコ著/ダイヤモンド社)
※4:『あなたの知らないヒットブランド本当の話-なーんだ!47話』(ジャック・ミンゴ著/東急エージェンシー出版部)
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2016年10月16日 (日)

オズボーンのチェックリスト(2)他からアイデアを借りられないか?〈Ⅱ〉  発想法(8)

「アナロジー(類推)発想法」の続き
何か似たものはないか?・・・缶ビールがヒントのキャノン半値コピー機(※3)

ある日、技術者たちは、(高価なアルミ製ドラムを安く製造する)アイデアを捻りながらビールを飲んでいました。ふとビールのアルミ缶の製造コストはどのくらいだろうと一人が呟いた。このあまり関係なさそうな情報を把握した結果、アルミ缶を安く製造する工程を、コピー機用ドラムの製造工程に応用するアイデアが生まれました。

何かの真似はできないか?・・・スーパーがヒントのトヨタカンバン方式(※4)
トヨタ生産方式はスーパーマーケットという異業種にヒントを見出しました。スーパーマーケットでは、「顧客が必要な時に必要なものを必要な量だけ揃えて」おかなければなりません。大野耐一さんは、この「スーパーマーケット方式」を生産ラインに適用できないかと考え、そのプロセスから生み出されたのがトヨタのカンバン方式です。

歴史からアイデアを借りられないか?・・・【教訓】J&Jタレノール事件(※5)
1982年9月30日、J&J 社の沈痛解熱剤「強力タイレノール」にシアン化合物が混入され、シカゴ郊外で12歳の少女に続いて7人が死亡する事件が起きました。同社は事件発生直後から積極的な情報公開(125,000回に及ぶTV放映、新聞の一面広告などで回収と注意を呼びかけた)を行い、その企業姿勢は米国国民に高く評価されました。

歴史からアイデアを借りられないか?・・・【応用】重大死亡事故P社対応(※6)
2005年石油ファンヒーター不完全燃焼による連続死亡事故に直面したP社は、年末商戦さなかの10日間、888回のTVラジオのCMをすべて「対象機種を1台5万円で引き取る」告知に差し替えました。それでも、約6万台の所在が確認できていないことから、日本の全世帯4900万と宿泊施設1100万箇所に修理・回収のDMを送りました。

まったく違うカテゴリーからヒントを得られないか?・・・教会で落ちた栞(※7)
スリーエムという会社に勤める男性がいました。彼は、教会でその日歌う賛美歌のベージに栞(しおり)を挟んでいました。さて、立ち上がってページを開こうとしたところ、栞が下に落ちてしまい、どのページだったか分からなくなってしまいました。そのときの体験から彼は、落ちない栞があるといいのだが、と思案を巡らし始めました。

そういえば、何年か前に、貼ってもすぐ剥がれてしまうダメな接着剤(スリーエムはそもそも接着剤を専門に扱う会社)を作って、社内の笑いものになった人がいたことを彼は思い出しました。落ちない栞のアイデアと、貼ってもすぐ剥がれてしまうダメな接着剤が出会うことで、ポストイットという画期的な商品ができあがりました。

※3:『イノベーティブ・シンキング』(コンラッド・ヘロウド著/ダイヤモンド社)
※4:『セレンディピティ』(宮永博史著/祥伝社)
※5:『wikipedia』
※6:『絶妙なクレーム対応の技術』(雨宮利春著/明日香出版)
※7:『アニマル・シンキング』(ベラ・ブライヘル&サリー・バルエル共著/英治出版)

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2016年10月13日 (木)

オズボーンのチェックリスト(2)他からアイデアを借りられないか?〈Ⅰ〉  発想法(7)

発想法の一つに「アナロジー(類推)発想法」があります。これは、2つの事物の間にある類似した特徴を比較することであり、また心の中の望遠鏡を使ってアイデアを探し出そうとする行為でもあります。理解を深めるために、次にあげるイノベーションと自然界に存在する、似ているものとを比べてみましょう(※1)。

ヘリコプター:蜂鳥(はちどり=主に中南米に生息し飛翔力が強く空中に静止することができる)は旋回することも後ろに飛ぶこともできる。
皮下注射:サソリは尖った尻尾の先を使って毒を刺す。
ソナー :コウモリは人類よりずっと以前からソナーを使っていた。人間の耳には聞こえない音を出し、行く手にあるものを反射させる。
麻酔  :多くのヘビは、獲物を食べる前に毒液を使って相手の感覚を麻痺させる。
戦車  :亀は難攻不落の装甲車といえる。
飛行機 :飛行機がフラップ(下げ翼)を使ってブレーキをかけるのは、鳥が尻翼を使ってブレーキをかけるのと同じ原理。

自然観察からナイキの人気シューズやファスナーが生まれた(※2)
自然界に触発されるのは、前出の例ばかりではありません。アナロジー発想法は巨大企業や偉大な発明家たちの常套手段なのです。クリエイティブな思考の持ち主は、自然界から盗めるものを探しているのではなく、自然界から学ぼうとします。自然界を観察し、様々な問題を解決するために最高のアイデアを真似しようとするのです。

ナイキのデザイナーたちは、オレゴン動物園で山羊(ヤギ)を観察し、全天候型ゴーテック・トラクション(山羊の蹄のようなひっかかりがある)を開発しました。
クラレンス・バーズアイは、カナダを旅行中に天然に凍りついて解凍された魚を食べました。この自然の知恵をバーズアイが活かして、冷凍食品産業が生まれました。

ルネ・ラエンネック医師は、子どもたちが長い筒の一端を耳にあて、筒の反対側に音が増幅されて伝わるのを聞いて遊んでいるのを見て、聴診器のヒントを得ました。
ジョルジュ・ド・メストラルは田舎を散策していて、野草の種が被服にくっつくことに気づきき、種についている微細な鉤を真似て、面ファスナーを開発しました。

ヨーン・ウツソンは、昼食のときに食べていたミカンの切れ端を見ていて、シドニー・オペラハウスの、あの一目見たら忘れられないデザインを思いつきました。
新幹線の車体はカワセミの流線型のクチバシに倣ってデザインされ、互いにぶら下がり合いながら成長するツタの懸垂曲線をヒントにつり橋の構造が考案されました。

※1:『アイデア・バイブル』(マイケル・マハルコ著/ダイヤモンド社)
※2:『「クリエイティブ」の処方箋』(ロッド・ジャドキンス著/フィルムアート社)
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2016年10月 9日 (日)

オズボーンのチェックリスト(1)他に使い道はないか?〈Ⅱ〉  発想法(6)

改造して他の使い道はないか?・・・この発想から生まれた電子レンジ(※3)
1943年、レイオン社の技術者パーシー・スペンサーが、たまたまマイクロ波の誘導装置の前に立っていたら、ポケットのペロペロキャンディーが溶けたことに気づきました。実験を重ねてみると、マイクロ波でポップコーンが作れることを発見しました。実験がすべて終わったとき、彼は世界中の料理の習慣を一変させてしまいました。

違う層へ提案できないか?・・・男性向けに転換して成功したマールボロ(※3)
フィリップモリス社は第二次大戦後に女性をターゲットとしたマールボロという新しいフィルター付きタバコを導入しました。しかし売れません。そこで広告代理店の提案を全面採用し、180度路線転換したカーボーイの広告を新聞に掲載したところ、これが大ヒット。30日後にマールボロはアメリカのベストセラーの煙草となりました。

違う層へ提案できないか?・・・ハイチオールはこの発想で復活した(※4)
エスエス製薬の「ハイチオールC」は、発売後20年は年間売上20億程度の安定した商品でした。薬の効用は「全身倦怠」や「2日酔い」で、薬局・薬店で薬剤師が顧客の相談に乗って販売する方式でした。ところが、ドラックストアの台頭、美白ブームの到来、トクホ商品の出現で大衆薬と競合するなど、この薬を取り巻く環境が変化しました。

そこで同社は、薬の主成分「L-システイン(アミノ酸の一種)」に美白効果があることから、「しみ」「そばかす」「日やけ」を「体の中から治す」とコンセプトを変更。対象顧客を「中年の男女」から「若い女性」に切換えると同時に、流通チャネルをドラックストア中心にしました。すると売上げが急拡大、2年後には67億円まで伸びました。

違う層へ提案できないか?・・・黒真珠はこうして高級品に(※5)
あるときNY5番街の宝石店のショーウィンドウにタヒチ産黒真珠が高級品として飾られました。同時に、豪華なグラビア雑誌の全面広告には黒真珠のネックレスが、輝くダイヤモンドとルビーとエメラルドをあしらったプローチと並んでいました。これを境に、まったく人気のなかった黒真珠がセレブのコレクションに仲間入りしたのです。

他の地域へ持って行ったらどうか?・・・ハーゲンダッツのフレーバー(※6)
ハーゲンダッツは「米国以外の土地で、最も売れているフレーバーには何があるか?」を調べました。するとブエノスアイレスに砂糖と全乳を混ぜたキャラメル味の、ドルセ・デ・レチェ(日本でも発売されている)という人気商品を発見しました。このフレーバーを世界中に販売したところ、月に百万ドルの売上げがもたらされました。

※3:『アイデアのおもちゃ箱』(マイケル・マハルコ著/ダイヤモンド社)
※4:『ドラッカーのイノベーション』(藤屋伸二著/すばる舎)
※5:『予想どおりに不合理』(ダン・アリエリー著/早川書房)
※6:『アイデアをいただいてしまえ!』(ステープ・リブキン&フレイザー・サイテル著/ダイヤモンド社)

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2016年10月 6日 (木)

オズボーンのチェックリスト(1)他に使い道はないか?〈Ⅰ〉  発想法(5)

オズボーンの9つのチェックリストには、「そのままで新しい用途はないか?」のように「どのように考えるか」のヒントがいくつか示されています。今回から、チェックリストに沿って、ブログ筆者がこれまで書きためた事例から、この発想法によって生まれた、もしくはそれを連想させる身近な商品やサービスを紹介してまいります。

そのままで新しい用途はないか?・・・この発想から生まれたジーンズ(※1)
カリフォルニアでのゴールドラッシュの折、ある若い起業家が採鉱者にテントを売ろうと現地に向かいました。彼は、現地に群がる多くの採鉱者相手によい商売になると目論みました。しかし、残念なことに、現地は気候が温暖で、野外で寝泊まりできるため、テントは売れなかったのです。そこで彼はどうしたでしょうか?

観察してみると、採鉱者たちの衣服は重労働のため擦り切れていました。彼はテントの丈夫な素材なら長持ちすると考え、テント生地をカットし、ズボンを作って採鉱者に売ったのです。彼の名はリーバイ・ストラウス。市場の状況に適応し、イノベーションを果たすことで、今日まで続くブランドが誕生したのでした。

改造して他の使い道はないか?・・・ヒートテックはこの発想で大ヒット(※2)
ユニクロで製品開発を担当していた白井さんは、相次いで大型人気商品を開発してユニクロ最強のヒットメーカーといわれています。彼女は、カシミアセーターをヒットさせた後、売れる商品の「芽」をさらに見いだすため、約200点からなる全単品の選別売り上げと在庫状況のリサーチをし、「ヒートテック」の改造を思い立ちました。

当時の「ヒートテック」は厚手の素材を使った「冬のインナー」というジャンルのマイナー商品。これを、「アウターに響かないよう薄く柔らかくして保湿機能を持たせれば、女性向けの人気商品になる」と判断。素材の改良を重ね、05年から新素材の「ヒートテックモイスト」として販売したところ、07年には2000万枚を売る大ヒットに。

改造して他の使い道はないか?・・・ブラトップもこの発想で生まれ変わる(※2)
下着としての「ブラトップ」は04年からありました。05年にキャミソールをアウターとして着るファッションが流行したとき、白井さんは可能性を感じ、胸のパッドを立体的に変えホールド力を向上させるという改良を加え、淡い色の商品展開を可能にしました。08年5月に夏の新提案商品として打ち出したところ爆発的ヒットに。

※1:『イノベーション・シンキング』(ポール・スローン著/ディスカバー・トゥエンティワン)
※2:『日経WOMAN』(日経BP社/2010年1月号)

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2016年10月 2日 (日)

オズボーンの「9項目のチェックリスト」と「SCAMPER法」  発想法(4)

発想法を語るとき、ラテラル・シンキング(水平思考)同様、オズボーンのチェックリストも外すことはできません。これは、米国大手広告会社BBDOの会長であったアレックス・F・オズボーンの論文(想像力活用法、1953)を元に、M.I.T 創造性工学研究室が発想の切り口として、9項目にまとめたチェックリストのことです。

オズボーンの発想法(左側太字)をベースにした9項目チェックリスト(※1・2)
(1)翻案→他に使い道はないか?(Put to other Uses)
(2)借用→他からのアイデアを借りられないか?(Adapt)
(3)一ひねり変化させてみよう→一部を変更したらどうか?(Modify)
(4)拡大しよう→大きくできないか?(Magnify)
(5)縮小しよう→小さくできないか?(Minify)
(6)置き換えてみよう→一部を代用できないか?(Substitute)
(7)配置換え・再調整をしよう→並び方を変えられないか?(Rearrange)
(8)反対を考えてみよう→逆にすることはできないか?(Reverse)
(9)結合させる→組み合わせができないか?(Combine)

オズボーンのチェックリストには、発展型も多数存在しています。その代表格はSCAMPER(スキャンパー)法で、これはボブ・エバールがオズボーンのチェックリストを覚えやすいように改良したもの。オズボーンのチェックリストは次回以降に詳しく解説しますので、ここではSCAMPER法を取り上げることにします(※3)。

S=Substitute(換える)…(製品、パーツ、プロセス、その他を)別のものに換えてみる 
C=Combine(結び付ける)…2つ以上のものを組み合わせてみる  
A=Adopt(適応させる)…何かを(一部・全部)採用(加えること)してみる  
M=Modify(修正する)…何かを(一部・全部)修正してみる
P=Put to other purposes(他の目的に使用する)…現在あるものを別の用途・目的に使ってみる
E=Eliminate(除く)…何かを取り除いてみる
R=Rearrange/Reverse(並べ替える、逆にする)…並べ替えたり、まったく逆にしてみる 

SCAMPER法は、新製品・サービスの開発の時に、既存品コンセプトをベースにして様々な可能性を見出すために使われます。製品・サービスのみならずプロセスの改善などにも応用できます。既にあるアイデアに、何かを加えたり、取り去ったり、並べ替えたりなど「7つの視点」で新しいアイデアを生み出します。

※1:『創造力を生かす』(アレックス・オズボーン著/創元社)
※2:『3分間でわかるラレラル・シンキングの基本』(山下貴史著/日本実業出版)
※3:『クリエイティブ・シンキング』(松林博文著/ダイヤモンド社)
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