オズボーンのチェックリスト(1)他に使い道はないか?〈Ⅱ〉 発想法(6)
改造して他の使い道はないか?・・・この発想から生まれた電子レンジ(※3)
1943年、レイオン社の技術者パーシー・スペンサーが、たまたまマイクロ波の誘導装置の前に立っていたら、ポケットのペロペロキャンディーが溶けたことに気づきました。実験を重ねてみると、マイクロ波でポップコーンが作れることを発見しました。実験がすべて終わったとき、彼は世界中の料理の習慣を一変させてしまいました。
違う層へ提案できないか?・・・男性向けに転換して成功したマールボロ(※3)
フィリップモリス社は第二次大戦後に女性をターゲットとしたマールボロという新しいフィルター付きタバコを導入しました。しかし売れません。そこで広告代理店の提案を全面採用し、180度路線転換したカーボーイの広告を新聞に掲載したところ、これが大ヒット。30日後にマールボロはアメリカのベストセラーの煙草となりました。
違う層へ提案できないか?・・・ハイチオールはこの発想で復活した(※4)
エスエス製薬の「ハイチオールC」は、発売後20年は年間売上20億程度の安定した商品でした。薬の効用は「全身倦怠」や「2日酔い」で、薬局・薬店で薬剤師が顧客の相談に乗って販売する方式でした。ところが、ドラックストアの台頭、美白ブームの到来、トクホ商品の出現で大衆薬と競合するなど、この薬を取り巻く環境が変化しました。
そこで同社は、薬の主成分「L-システイン(アミノ酸の一種)」に美白効果があることから、「しみ」「そばかす」「日やけ」を「体の中から治す」とコンセプトを変更。対象顧客を「中年の男女」から「若い女性」に切換えると同時に、流通チャネルをドラックストア中心にしました。すると売上げが急拡大、2年後には67億円まで伸びました。
違う層へ提案できないか?・・・黒真珠はこうして高級品に(※5)
あるときNY5番街の宝石店のショーウィンドウにタヒチ産黒真珠が高級品として飾られました。同時に、豪華なグラビア雑誌の全面広告には黒真珠のネックレスが、輝くダイヤモンドとルビーとエメラルドをあしらったプローチと並んでいました。これを境に、まったく人気のなかった黒真珠がセレブのコレクションに仲間入りしたのです。
他の地域へ持って行ったらどうか?・・・ハーゲンダッツのフレーバー(※6)
ハーゲンダッツは「米国以外の土地で、最も売れているフレーバーには何があるか?」を調べました。するとブエノスアイレスに砂糖と全乳を混ぜたキャラメル味の、ドルセ・デ・レチェ(日本でも発売されている)という人気商品を発見しました。このフレーバーを世界中に販売したところ、月に百万ドルの売上げがもたらされました。
※3:『アイデアのおもちゃ箱』(マイケル・マハルコ著/ダイヤモンド社)
※4:『ドラッカーのイノベーション』(藤屋伸二著/すばる舎)
※5:『予想どおりに不合理』(ダン・アリエリー著/早川書房)
※6:『アイデアをいただいてしまえ!』(ステープ・リブキン&フレイザー・サイテル著/ダイヤモンド社)
ホームページ https://www.leafwrapping.com/
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