オズボーンのチェックリスト(1)他に使い道はないか?〈Ⅰ〉 発想法(5)
オズボーンの9つのチェックリストには、「そのままで新しい用途はないか?」のように「どのように考えるか」のヒントがいくつか示されています。今回から、チェックリストに沿って、ブログ筆者がこれまで書きためた事例から、この発想法によって生まれた、もしくはそれを連想させる身近な商品やサービスを紹介してまいります。
そのままで新しい用途はないか?・・・この発想から生まれたジーンズ(※1)
カリフォルニアでのゴールドラッシュの折、ある若い起業家が採鉱者にテントを売ろうと現地に向かいました。彼は、現地に群がる多くの採鉱者相手によい商売になると目論みました。しかし、残念なことに、現地は気候が温暖で、野外で寝泊まりできるため、テントは売れなかったのです。そこで彼はどうしたでしょうか?
観察してみると、採鉱者たちの衣服は重労働のため擦り切れていました。彼はテントの丈夫な素材なら長持ちすると考え、テント生地をカットし、ズボンを作って採鉱者に売ったのです。彼の名はリーバイ・ストラウス。市場の状況に適応し、イノベーションを果たすことで、今日まで続くブランドが誕生したのでした。
改造して他の使い道はないか?・・・ヒートテックはこの発想で大ヒット(※2)
ユニクロで製品開発を担当していた白井さんは、相次いで大型人気商品を開発してユニクロ最強のヒットメーカーといわれています。彼女は、カシミアセーターをヒットさせた後、売れる商品の「芽」をさらに見いだすため、約200点からなる全単品の選別売り上げと在庫状況のリサーチをし、「ヒートテック」の改造を思い立ちました。
当時の「ヒートテック」は厚手の素材を使った「冬のインナー」というジャンルのマイナー商品。これを、「アウターに響かないよう薄く柔らかくして保湿機能を持たせれば、女性向けの人気商品になる」と判断。素材の改良を重ね、05年から新素材の「ヒートテックモイスト」として販売したところ、07年には2000万枚を売る大ヒットに。
改造して他の使い道はないか?・・・ブラトップもこの発想で生まれ変わる(※2)
下着としての「ブラトップ」は04年からありました。05年にキャミソールをアウターとして着るファッションが流行したとき、白井さんは可能性を感じ、胸のパッドを立体的に変えホールド力を向上させるという改良を加え、淡い色の商品展開を可能にしました。08年5月に夏の新提案商品として打ち出したところ爆発的ヒットに。
※1:『イノベーション・シンキング』(ポール・スローン著/ディスカバー・トゥエンティワン)
※2:『日経WOMAN』(日経BP社/2010年1月号)
ホームページ https://www.leafwrapping.com/
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