オズボーンのチェックリスト(7)並び方を変えられないか?〈Ⅰ〉 発想法(17)
心理学者のJ・P・ギルフォードが創造性の研究に身を捧げたのは、あるきっかけからでした。第二次世界大戦中、アメリカ空軍から依頼されて爆撃機のパイロットを選ぶことになり知能検査や学業成績、個人面接の結果をもとに適任者を選抜しました。
空軍はまた、退役した空軍司令官にも同じ任務を与えました(※1)。
二人の任務が査定されると、ギルフォードが選んだパイロットはことごとく撃墜されていました。一方の元司令官は、採用面接で「ドイツ領空で敵機の対空射撃にあったらどう対処するか」と質問し、軍のマニュアル通り「上昇します」と答えた兵士を不採用にしたのでした。従って、この司令官が採用したほとんどのパイロットが戦闘から帰還していたのです。
マニュアル通りに行動する兵士は意外性に欠け、予測されやすい。違う考え方ができる能力、枠の外で考える能力を見極めるため、その後ギルフォードが空軍用に考案した最初の創造性テストは、「レンガ1個の使いみちをできる限りたくさん考える」というものです。このテストは創造性を刺激する良い訓練として、広く一般的に使われています。
要素を、型を、レイアウトを、順序を、因果を、ペースを変えられないか?
・・・ベートーヴェンは「要素を変えられないか?」に挑んだ作曲家(※2)
エリートが支配する社会構造や、誰もが信じて疑わない考え方に反抗するのはクリエイディブなことです。変わらない現状に挑むことは、ベートーヴェンには本源的な意味を持っていたのです。音楽の形式は標準化されていましたが、ベートーヴェンは、交響曲や、弦楽4重奏、コンツェルト、ソナタの構成や規模を書き換えてしまいました。
当時雇われの召使いにすぎなかった作曲家という身分を変えるために、ベートーヴェンは高額の演奏料を要求しました。彼は、客として雇い主であるパトロンと食事を共にした最初の音楽家となりました。だからといって、彼がパトロンに気を使って社交的に振る舞ったり、議論にならないように気を配ったりすることはありませんでした。
・・・「型を変えられないか?」と発想を変えたらアイデアが生まれた(※3)
生活用品メーカー貝印では、女性用カミソリの改良に取り組んでいました。2枚刃3枚刃とも刃がフラットに配置されているのが普通で、刃を肌に当てると、肌が内側にたわみ1回ではきれいに剃りきれない部分ができてしまいます。
技術陣は、これを何とか1回できれいに剃れるようにと、刃の中央部分がやや突き出した形、いわゆるかまぼこ形にするアイデアに行き着きました。これが大成功で、製造工程をあまり変えず、コスト高にもならず、目的を達成することができました。
※1:『スウェーデン式 アイデア・ブック1』(フレデリック・へレーン著/ダイヤモンド社)
※2:『「クリエイティブ」の処方箋』(ロッド・ジャドキンス著/フィルムアート社)
※3:『最初に浮かんだ案は今すぐ捨てろ!』(二木紘三著/日本文芸社)
ホームページ https://www.leafwrapping.com/
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