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2016年11月

2016年11月27日 (日)

オズボーンのチェックリスト(8)逆にすることはできないか?〈Ⅱ〉  発想法(20)

反転、前後転、上下転、左右転、役割転換させたらどうだろうか?
・・・針穴の位置を「上下転させたらどうだろうか?」で生まれたミシン(※4)

ミシン開発の歴史は1790年に遡るそうですが、現代のミシンとも共通する3つの基本的特徴を備えたものは1846年9月10日エリアス・ハウにより特許申請されました。
3つの基本的特徴とは、先端に穴のある針を使用している/布の下にボビンがあって、二重縫いを可能にしている/自動的に布を送る機構がある となっています。

ハウ氏が針の先端に糸を通す穴を設けるというアイデアをどうして思いついたのかには逸話があります。彼はある晩、先端に穴のあいている槍を持つ野蛮人に捕らえられた夢を見ました。目覚めたとき、ハウ氏は針の頭(裁縫用針の形状はこうなっている)でも真ん中でもなく、針の先端に糸通しの穴を開けることに気がついたのでした。

・・・電球の取り外し方を「左右転させたらどうだろうか?」(※5)
アメリカのある都市で地下鉄の電球盗難が問題になりました。経費面と安全面で頭の痛いこの問題を任された鉄道の技術者には、電球の位置を変えず、経費もわずかという厳しい条件が求められました。しかし、彼はいかにも水平思考的な解決方法を思いつき、いとも簡単に解決してしまいました。電球の取り外しの回し方を逆にしたのです。

・・・本社とコールセンターの「役割転換させたらどうだろうか?」(※6)
1993年に創業し、文具類の通販で急成長したアスクルですが、1999年に設立した東京センター(東京江東区:物流中心)の5階部分を改修し、2001年に東京都文京区にあった本社とe-tailing centerをそこに移しました。本社を倉庫内に移すという大胆な発想は、「顧客の声を社内で共有したい」という岩田彰一郎社長の考えによるものです。

業務の拡大に伴い、2002年に4階部分もオフィスにしましたが、5階との間に直径10メートルの円形の穴を開け、上下でお互いの顔が見えて一体感を醸し出しやすいように工夫したといいいます。ここまでくると、会社が本社を中心に回っていくのではなく、情報が集積するe-tailing center中心に回っているようにも見受けられます。

アスクルは創業翌年、他社製品の取り扱いを始めました(プラス工業の子会社としてスタートしており、競合企業の製品取り扱いには社内の反対が多かった)。街の文房具店を代理店として共存を図るなどの手法が評価され、2002年にはポーター賞を受賞。先駆的な優れたビジネス・モデルとして内外に知られるようになりました(※7)。

※4:『アイデアのおもちゃ箱』(マイケル・マハルコ著/ダイヤモンド社)
※5:『イノベーション・シンキング』(ポール・スローン著/ディスカバー・トゥエンティワン)
※6:『日本のブルー・オーシャン戦略』(安部義彦&池上重輔共著/ファーストプレス)
※7:『「ひらめき」を生む発想術』(宮永博史著/シーアンドアール研究所)

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2016年11月24日 (木)

オズボーンのチェックリスト(8)逆にすることはできないか?〈Ⅰ〉  発想法(19)

世界的権威を持つノーベル賞のパロディ版として「イグ・ノーベル賞」があります。毎年のように日本人が選ばれ、賞の知名度も上がってきていますが、本年度(2016年)も立命館大・東山教授(心理学)が「股のぞき」の研究で、知覚賞を受賞しました。ご本人の言によれば、受賞の喜びは「あんまりない」とのことですが…。

上半身をかがめて股の間から世界を見るのが「股のぞき」
兵庫県出身の東山教授。「関西人は天橋立(京都府宮津市)での股のぞきを知らない人はいない」と語り、研究を1990年代から開始しました。国内の学会発表ではほぼ無反応でしたが、「欧州は人が集まるほど反響がすごかった」そうです。「股のぞき」をすると「景色が小さく縮む」という言い伝えを、実験で検証しての栄誉?でした。

反転、前後転、上下転、左右転、役割転換させたらどうだろうか?
・・・健康調理器具を作るため概念を「反転させたらどうだろうか?」(※1)
「水で焼く」調理器があります。これまでの調理器の概念では、水は「焼く」ということの逆にあるものでした。しかし、水で焼く調理器は、そうした常識を覆す発想で実現されました。さらに水で調理することから、油を使わない、減塩、ビタミンCの酸化防止、という健康調理器具としての機能まで備えてしまったのです。

・・・かき氷を作るためにカンナを「前後転させたらどうだろうか?」(※2)
2012年に六本木ヒルズでスタートした「かき氷コレクション」以来? かき氷ブームが続いています。ところで、こんなお話があります。ある人が、カンナでカキ氷を作ろうとしましたがうまくいきません。たまたま手伝いに来た小学1年生のK君がやるとうまくできました。その理由は、K君がカンナの刃を反対に入れたからでした。

・・・ユーザーニーズを「上下転させたらどうだろうか?」(※3)
価格だけが競争要因で新製品開発の余地がないと思われていた業界で、新製品開発が競争優位を構築したという逆の例があります。これまでコピー用紙というのはどこから購入しても品質はほぼ同じで、企業が購入を決定する要因は価格がほとんどであると考えられていましたが、あるメーカーが、顧客のニーズをよく調べてみると…

顧客の不満は価格ではなく、紙の色・質、手触りでもありませんでした。一番は、急いでいるときに限って起こる紙詰まりだったのです。そこでこのメーカーでは、紙の見た目ではなく、コピー機で使われたときに紙が詰まらないような紙を開発しました。結果として大変な評判となり、価格競争を免れることができたといいます。

※1:『アニマル・シンキング』(ベラ・ブライヘル&サリー・バルエル共著/英治出版)
※2:『発明魂』(中本繁実著/日本地域社会研究所)
※3:『論点思考 ~BCG流問題設定の技術~』(内田和成著/東洋経済新報社)

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2016年11月20日 (日)

オズボーンのチェックリスト(7)並び方を変えられないか?〈Ⅱ〉  発想法(18)

(前号に続く)要素を、型を、レイアウトを、順序を、因果を、ペースを変えられないか?
・・・新しさを感じてもらうために「順序を変えられないか?」(※4)

小売店では通常、仕入れた日付が古い商品を手前に並べ、古い商品が売れ残り廃棄ロスになることを防ぐ「先入先出方式」が取られます。これに対しセブンイレブンでは、仕入れ日付が新しい順にすることで、「常に新しい商品が並んでいる」印象を持ってもらい、商品の回転をよくしようと「後入れ先出し方式」を打ち出しています。

・・・撃墜されない戦闘機を作るために「因果を変えられないか?」(※5)
第二次世界大戦中の英米軍は、撃墜される戦闘機の多さに不安を覚えました。そこで機体補強に取組みますが補強箇所が分かりません。軍から要請を受けたウォルド(統計学者)は生還した戦闘機の弾痕を調べます。すると、主翼の間と尾翼の間の二箇所に弾痕が少ないことが分かりました。そこでウォルドは、この2箇所を補強したのです。

なぜウォルドは、弾痕の少なかったところを補強したのでしょうか? それは、彼が分析したのが生還した戦闘機だったからです。つまり、戻れなかった戦闘機はこの箇所に多く被弾したと結論づけたのです。彼がこのことを軍関係者に示したところ、「被弾部位を補強すべきだ」と反論されましたが、このウォルド流補強で帰還率は飛躍的に向上しました。

・・・国際社会に適応するため歩く「ペースを変えられないか?」(※6)
イギリス人は歩きながら考える。フランス人は考えた後で走り出す。そしてスペイン人は、走ってしまった後で考える。――誰が最初に言いだしたことは知らないが、かつての国際連盟事務局長、後にはオクスフォードでスペイン文学を講じたこともあるスペインの明晰な外交官、マドリヤーが書いたことであるとしています。

この筆法でいうなら、ドイツ人もどこかフランス人に似ていて、考えた後で歩き出す、といった部類に属するといってよいかもしれません。歩きだしたら、もうものを考えないというたちなのでしょう。それでは、これに象(かたど)って言ったら我々日本人はいったいどういうことになるでしょうか。この4つの型の中のどれに似ているのでしょうね。

高級品を売るために松竹梅の「並びを作れないか?」(※7)
現役引退した鈴木敏文さんが、羽根布団をヨーカドーで売ったときのお話です。最初普及品18000円と、高級品58000円を並べました。売れる自信があったそうですが、58000円の方はほとんど売れませんでした。そこで、鈴木さんは急遽38000円の商品を大至急製造し、3つを並べました。そうすると急に58000円が売れ出したそうです。

※4:『3分でわかるラテラル・シンキングの基本』(山下貴史著/日本実業出版社)
※5:『なぜ、この人は次々と「いいアイデア」が出せるのか』(ロバート・サットン著/三笠書房)
※6:『日本教養全集14』(笠信太郎他著/角川書店)「笠信太郎の「ものの見方について」より
※7:『数字のツボ』(山田真哉・他著/プレジデント社)

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2016年11月17日 (木)

オズボーンのチェックリスト(7)並び方を変えられないか?〈Ⅰ〉  発想法(17)

心理学者のJ・P・ギルフォードが創造性の研究に身を捧げたのは、あるきっかけからでした。第二次世界大戦中、アメリカ空軍から依頼されて爆撃機のパイロットを選ぶことになり知能検査や学業成績、個人面接の結果をもとに適任者を選抜しました。
空軍はまた、退役した空軍司令官にも同じ任務を与えました(※1)。

二人の任務が査定されると、ギルフォードが選んだパイロットはことごとく撃墜されていました。一方の元司令官は、採用面接で「ドイツ領空で敵機の対空射撃にあったらどう対処するか」と質問し、軍のマニュアル通り「上昇します」と答えた兵士を不採用にしたのでした。従って、この司令官が採用したほとんどのパイロットが戦闘から帰還していたのです。

マニュアル通りに行動する兵士は意外性に欠け、予測されやすい。違う考え方ができる能力、枠の外で考える能力を見極めるため、その後ギルフォードが空軍用に考案した最初の創造性テストは、「レンガ1個の使いみちをできる限りたくさん考える」というものです。このテストは創造性を刺激する良い訓練として、広く一般的に使われています。

要素を、型を、レイアウトを、順序を、因果を、ペースを変えられないか?
・・・ベートーヴェンは「要素を変えられないか?」に挑んだ作曲家(※2)
エリートが支配する社会構造や、誰もが信じて疑わない考え方に反抗するのはクリエイディブなことです。変わらない現状に挑むことは、ベートーヴェンには本源的な意味を持っていたのです。音楽の形式は標準化されていましたが、ベートーヴェンは、交響曲や、弦楽4重奏、コンツェルト、ソナタの構成や規模を書き換えてしまいました。

当時雇われの召使いにすぎなかった作曲家という身分を変えるために、ベートーヴェンは高額の演奏料を要求しました。彼は、客として雇い主であるパトロンと食事を共にした最初の音楽家となりました。だからといって、彼がパトロンに気を使って社交的に振る舞ったり、議論にならないように気を配ったりすることはありませんでした。

・・・「型を変えられないか?」と発想を変えたらアイデアが生まれた(※3)
生活用品メーカー貝印では、女性用カミソリの改良に取り組んでいました。2枚刃3枚刃とも刃がフラットに配置されているのが普通で、刃を肌に当てると、肌が内側にたわみ1回ではきれいに剃りきれない部分ができてしまいます。
技術陣は、これを何とか1回できれいに剃れるようにと、刃の中央部分がやや突き出した形、いわゆるかまぼこ形にするアイデアに行き着きました。これが大成功で、製造工程をあまり変えず、コスト高にもならず、目的を達成することができました。

※1:『スウェーデン式 アイデア・ブック1』(フレデリック・へレーン著/ダイヤモンド社)
※2:『「クリエイティブ」の処方箋』(ロッド・ジャドキンス著/フィルムアート社)
※3:『最初に浮かんだ案は今すぐ捨てろ!』(二木紘三著/日本文芸社)

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2016年11月13日 (日)

オズボーンのチェックリスト(6)一部を代用できないか?〈Ⅱ〉  発想法(16)

(前回に続く)人を、物を、材料を、素材を、製法を、動力を、場所を代用できないか?
・・・20%コスト削減のために「素材を代用できないか?」(※5)
カルロス・ゴーンの改革で、購買コスト20%削減目標に対し、ヘッドランプの反射鏡の品質基準が必要以上に厳格すぎたので、耐熱規格を少しゆるめてみました。すると、ヘッドランプのレンズと内部パネルの原料を安価なものに置き換えることができ、この2か所のスペック変更だけで、ヘッドランプの総コストを2.5%削減することができたのです。

・・・経営革新を進めるために「製法を代用できないか?」(※6)
キャノンの経営革新は御手洗氏により、特に生産部門において徹底して行われました。その一環として、全世界54の工場において、それまであった流れ作業のベルトコンベア方式から、ワークセル(細胞)と呼ばれる一人もしくは少数のチームが1つの製品の組み立て作業を一貫してこなすセル生産方式に切り替えました。

この生産方式の大転換は、御手洗氏があるとき、ゲーム機のプレイステーションを製造するソニーの工場を視察したことに起因します。そこにはベルトコンベアは一本もなく、すべてがワークセル(ソニー創業者・井深大氏の創案による)によって構成されており、従業員がものづくりに活き活きと取り組む姿勢があったのです。

・・・「動力を代用できないか?」の動力と自動車運搬船
動力とは日本大百科全書(ニッポニカ)の解説によると、単位時間になされる仕事の量、または供給されるエネルギーの量。パワー、仕事率、工率ともいうそうです。自動車運搬船には専用船と兼用船の二種類ありますが、兼用船が復路にバラ積貨物として穀物を積むことがあります。これもある意味では「動力の代用」といえるでしょう。

・・・さまざまな業態・業種で「場所を代用できないか?」
●タワーパーキングは、A・オズボーンが考案したブレーンストーミングによってIHIが生み出した傑作ですが、見事に「場所を代用」して車社会に貢献しています。
●札幌ドームは、サッカー(天然芝)と野球(人工芝)の2つのプロチームの本拠地となっているスタジアム。グランドを移動することで「場所の代用」を実現しました。

●シネマコンプレックスがあちこちに出来て、映画ファンには好都合です。この施設をイベント会場等として貸すところが増えていますが、これも「場所の代用」ですね。
●今日ではコンビニなどが窓口メインのクロネコ宅急便も、サービス開始当初はお米屋さん、クリーニング店などに営業所として「場所を代用」させてもらいました。

※5:『セレンディピティ』(宮永博史著/祥伝社)
※6:『イノベーションの作法』(野中郁二郎&勝見明共著/日本経済新聞出版社

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2016年11月10日 (木)

オズボーンのチェックリスト(6)一部を代用できないか?〈Ⅰ〉  発想法(15)

エジソンは、新技術を1つひとつ掘り下げていくというより、並行して5つくらいの分野で思索していました。たとえば、音の振動を磁界中に置かれた導体に生じる電気信号に変換を行っていたおりには、生物が変異と淘汰を繰り返して進化するように、アイデアや道具を常に交換する(代用する)柔軟な姿勢を見せていたといいます(※1)。

電話も電球も並行実験の中で諸々の要素を代用しながら発明された
エジソンは電話の構成部品を自由に組み替え、ハイブリッドな技術を創造し、改良のたびに電話の完成度を高めました。それらを可能にした原動力は、明確な目標意識だったといいます。彼の残した数々のスケッチを総合的に観察すると、彼が1つの電話に没頭したのではなく、いくつもの可能性の相互関係を探求してことがわかるそうです。

エジソンが電話機に先立って発明したものに電球があります。彼が電灯発光体として炭素をと考え始めた1880年のある日、棕櫚の団扇が竹の筋で出来ていることに目をつけました。京都孟宗竹の竹炭による白熱電灯は、たまたま上記のような並行実験中に出来た金属製の粘々した素材(フィラメント)が開発されるまで使用されました。

人を、物を、材料を、素材を、製法を、動力を、場所を代用できないか?
・・・結婚式の上司役で他の「人を代用できないか?」(※2)

ある日本企業が結婚式の披露宴に代役の上司を出席させるというユニークなサービスを思いつきました。未だに日本では上司が出席しない結婚式は失敗とされるからです。ある結婚式では俳優が花嫁の上司の役を演じ、5分間スピーチをしました。なお、花婿側80人の参列者のうち75人までを、この会社が用意したこともあるそうです。

・・・新開発のランプを売るために「物を代用できないか?」(※3)
自転車用ランプ開発時、松下幸之助氏はランプ1万個をデモ用に全国の自転車販売店に無料で配ることを思い付きます。ランプが灯った自転車が夜道を走るのを見れば必ず売れると確信していた幸之助氏は、8ヵ月で20万個の電池を売ることを条件に1万個の電池を無料で調達しました。結果は、ランプも電池も1年内に47万個売れました。

・・・中国依存だったレアアースに他の「材料を代用できないか?」(※4)
欧米の後手に回ることが多かった日本の資源戦略で、地味ながらも成功といってよい事例があります。それは、車のモーターなどに使われてきたレアアース(希土類)の代替材料の開発です。大半を中国からの輸入に頼っていましたが、官民を挙げた技術開発が奏功し、自動車大手がハイブリッド車向けに新型磁石を即座に採用するなど輸入依存は大幅に減りました。

※1:『「考える」は技術』(グル・マドアヴァン著/ダイヤモンド社)
※2:『アイデア・バイブル』(マイケル・マハルコ著/ダイヤモンド社)
※3:『ずるい考え方 ~ゼロから始めるラテラルシンキング入門~』(木村尚義著/あさ出版)
※4:『日本経済新聞(2013年5月22日朝刊)』より
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2016年11月 6日 (日)

オズボーンのチェックリスト(5)小さくできないか?〈Ⅱ〉  発想法(14)

(前回に続く)減らす、小さくする、濃縮する、低くする、短くする、軽くする、省略する、分割することはできないか?
・・・殺菌温度を「低くする」とスッキリおいしい牛乳になった(※5)
牛乳の殺菌方法は、その温度と時間により「超高温殺菌」「高温殺菌」「低温殺菌」の3つに大別されます。現在、一般的に多いのは「超高温 殺菌」ですが、タカナシ低温殺菌牛乳は66℃・30分間殺菌の「低温殺菌」で作られています。低温殺菌ですと高温殺菌に比べタンパク質が変質せず、より生乳に近い「自然の甘み」になるそうです。

・・・牛乳part2:配達頻度を「減らす」と売れ行は落ちるか?(※6)
1995年に鮮魚の移動販売で創業したミルズは、2000年に食品メーカーの明治と特約店契約を結び、牛乳配達業に参入しました。そして、ミルズの成長ぶりは業界の中でも抜きん出ています。ミルズの宅配のスタイルは、牛乳は早朝に配るとの業界の常識、慣習を打ち破り昼間です。また、宅配頻度は一般的な週3回を週2回に減らしました。

・・・リンカーンは演説を「短くする」とで歴史に名を残した(※7)
米国歴代大統領の演説で常に第一に取り上げられるものは独立宣言、合衆国憲法、そして、リンカーンのゲティスバーグ演説。このアメリカ史に特別な位置を占める演説は272語1449字(約2分間)の極めて短いスピーチでした。この演説の最後に語ったのが、あの有名な「人民の、人民による、人民のための政治」だったのです。

・・・iPodは、わずか185グラムまで「軽くする」ことで評価を得た(※8)
アップルが2001年10月に発売したiPodは、わずか185gの超軽量の小型MP3プレーヤーに1000曲入るものでした。しかし、基本となる技術は発明や技術革新の類いではなく、既存の技術をひと工夫して応用したものです。それでも、商品のコンセプトは画期的なもので、既存の商品を陳腐化させてしまうほどのインパクトがありました。

・・・掃除機から袋を「省略」することでブレイクしたダイソン(※9)
ダイソンは、5年をデザイン・試作・テストに費やし、5000個の試作機を自費で作り続けました。そして、メーカーに売り込みを図ります。しかし、伝統的な袋式掃除機の製造企業は、揃ってこの袋不要の掃除機生産の申し入れを断ります。最終的にこのアイデアは日本メーカーの目に止まり、日本で成功を収めデザイン賞にも輝きました。

・・・代金を「分割する」ことでGMもXeroxも大発展を遂げた!
ゼネラルモーターズ(GM)がT型フォードの牙城を崩すためモデルチェンジ手法を取り入れたことは本シリーズ(9)で書きましたが、このときほぼ同時並行で取り入れたのが代金を分割支払(ローン)でした(H・フォードはこの考えに否定的で出遅れた)。また、Xeroxの急拡大には利用料として払うレンタル方式が大きく寄与しました。

※5:『Wikipedia』より
※6:『「小さな神様」をつかまえろ!』(鶴岡弘之著/PHP研究所)
※7:『政治家の日本語』(都築勉著/平凡社)
※8:『ドラッカーのイノベーション』(藤屋伸二著/すばる舎)
※9:『「クリエイティブ」の処方箋』(ロッド・ジャドキンス著/フィルムアート社)
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2016年11月 3日 (木)

オズボーンのチェックリスト(5)小さくできないか?〈Ⅰ〉  発想法(13)

前回チェックリストが「重厚長大」なら今回は「軽薄短小」で、今日的なテーマといえます。この稿を書き始めるに際し思い出したのは2014年度全米ベストセラーで、日本では2015年のビジネス書大賞「書店賞」に輝いた『エッセンシャル思考(※1)』でした。この本のサブタイトルが「最小の時間で成果を最大にする」だったからです。

減らす、小さくする、濃縮する、低くする、短くする、軽くする、省略する、分割することはできないか?
・・・「減らす」ことでP&Gは見事に復活した(※2)
ビジネスウィーク誌1996年9月9日号に、「シンプルでいこう」との見出しの記事がありました。この中で、P&Gは従来とは違った取り上げ方をされました。「P&Gはこれまで『よりパワーアップして新発売!』とか、『レモンの香りが新しい!』とか、『超特大増量サイズ!』のような新製品を数十年にわたって出し続けてきたのだが…」。

これは逆にいえば、P&Gが過剰な数の商品アイテムを売ってきたともいえます。そこで同社は以前なら考えられなかったことを始めることにしました。それは商品アイテム数を1990年代の初頭に比べて3分の1にカットしたのです。まず、あらゆるヘアケア商品を半分に削ったところ、なんと売り上げが上昇したのでした。

・・・「小さくする」(穴をあける)ことでドーナツはドーナツになった(※3)
もともとドーナツに穴はありませんでした。ある説によれば、母親がドーナツ(正しくはドーナツの前身)を揚げているのを見ていた少年が、中によく火が通っていないのに気がつきました。そこで、彼はフォークで真ん中をくりぬいて穴を作りました。現在のドーナツはこのようにしてできあがったのでした。

・・・「濃縮」されてしまったことでノーベル賞の研究が生まれた(※4)
白川英樹博士は電気を通すプラスチック「導電性ポリアセチレン」の発見と開発でノーベル化学賞を受賞しました。そのきっかけは留学生の間違いからでした。彼はうっかり粉末作成の際に触媒を1000倍にしてしまったのです。ビーカーの溶液表面に膨潤したボロボロの膜ができていたのを見た白川先生は??? 何かが閃いたのでした。

調べるとそれは、ポリアセチレンの薄膜である可能性が高いと分かりました。触媒の濃度を間違えた結果と考えた白川先生は濃度をどんどん濃くして合成を行います。すると一定以上の濃度できれいな薄膜が得られ、特にガラスの表面で重合させると良いということが数日で判明したのです。それが初期型の「伝導性ポリアセチレン」でした。

※1:『エッセンシャル思考』(グレッグ・マキューン著/かんき出版)
※2:『あのブランドの失敗に学べ!』(マット・ヘイグ著/ダイヤモンド社)
※3:『アイデア・バイブル』(マイケル・マハルコ著/ダイヤモンド社)
※4:『日本にノーベル賞が来る理由』(伊東 乾著/朝日新聞出版)
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