成功例応用法を教えてくれる『クリエイティブの処方箋』(1) 発想法(26)
参考書籍の2冊目は『クリエイティブの処方箋 ~行き詰ったときこそ効く発想のアイデア86~』です。著者はイントロダクションで、本書を書いた目的を「創造的思考を可能にするコツを、要点を絞ってまとめること」と語っています。ブログ筆者の独りよがりかもしれませんが、その目的は見事に果たされているように思います。
教授1人、受講生2人の最少クラスの3人がいずれもノーベル賞を受賞
異端の天文学者として知られたスプラマニアン・チャンドラセカールがシカゴ大学で天文物理学のクラスを一コマ教えることになりました。教室がキャンパスから130キロ離れた天文台だったせいか受講を希望した学生は2人しかいませんでした。たった2人を教えるために、教授は往復250キロの道を通わなければなりませんでした。
ブラックホール理論の根拠となる恒星進化論はこのようにして生まれた
教授はキャンセルしてもよかったのですが、天文学に対する愛情から敢然と引き受けました。この風変わりな教室は意見が飛び交い、湧き上がるアイデアの楽しさと、現実をひも解く新しい手段を創造する満足感でやる気が加速しました。世界を理解する新しい方法に手を伸ばす実感に、2人の学生と先生は充実感を覚えたのです。
周囲の笑いものだった大学史上最少のクラスが最も成功を収めた授業に
その数年後、2人の学生はノーベル物理学賞に輝き、さらに後年、チャンドラセカール自身もノーベル物理学賞を授与されます。当初は、大学の歴史の中でも最少のクラスだと笑いものになっていたのですが、数年後には最も成功を収めた授業として知られるようになりました。最後に笑ったのは彼ら3人だったというわけです。
ライバル同士の兄弟が生み出した2つの世界ブランド
1920年代、アドルフとルドルフという兄弟が、ドイツのヘルツォーゲンアウラハにあった母親のランドリールームを拠点にダスラー兄弟運動靴会社を起業しました。しかし1948年までに、2人はさまざまな事情から別々に事業を展開にするに至りました。そして兄弟は、街の反対側にそれぞれ工場を構えたのでした。
兄は弟に、弟は兄に勝とうという強い意志を持って品質向上に努めた
結果として彼らは、運動靴業界の世界的なリーダーになりました。そう、兄のアドルフの会社はアディダスといい、弟の会社はプーマなのです。ところで、ヘルツォーゲンアウラハは、「下を向いた街」として知られるようになりました。道を行く人々が、他の人がどちらのブランドの靴を履いているか常にチェックするためだったとか。
参考文献:『クリエイティブの処方箋』(ロッド・ジャドキンス著/フィルムアート社)
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