間違った言葉遣い④ 日本語のあれこれ(13)
今回もクスクスと笑ってしまいます。引き続き辛口のコメント満載ですが、勉強になることも山盛りです。『きょうから直したい言葉遣い~この間違いに気づくと目が覚める~』(小塚博著/文芸社)』第4章「かなり恥ずかしい間違い」からです。失言してしまったご本人は本当にあとになってからかなり恥ずかしいでしょうね。
紆余屈折して生きていた
テレビ番組のトークで出たゲストの言葉だが、正しい四字熟語は「紆余曲折」で、使い方は「……があって」「……を経て」となる。四字熟語を半分だけ覚えるくらいならいっそのこと忘れた方が良い、という例
遅きに帰したと思います
2007年の横綱 朝青龍の謝罪会見についての街頭インタビューで字幕にも出た間違い。答えた人が間違えたのだが何も字幕をそのまま出すことはない。「無に」「帰す」だが、「遅きに」とくれば「失する」が慣用句。間違った言い方をしているインタビューは使わない方が良いのだろうが、使わざるを得なかったからといって字幕まで道連れにして間違えてはいけない。字幕は「遅きに失した」と正しい文で出すか、発言者の主旨を伝える文に直して出せば良い。
災害のお備えは如何ですか
集中豪雨のニュースが相次ぐ中で情報番組の司会者から「お備え」と言わられてしまった。災害者の映像を見せられて気の毒に思い、つい出てしまった「お備え」かもしれないが、「おそなえ」という音は「お供え」のことだ。何にでも「お」をつけて美化すれば良いというものではない。「備えは如何ですか」がいやなら、動詞にして「被害に備えていらっしゃいますか?」と言えば良い。
しんしんと雨が……
「しんしん(深々」は「ひっそり静まり返る」「寒さが身に沁みる」場合に使う副詞で、深々と更けるのは「夜」、深々と降るのは「雪」。雨が静かに降っている様子は「しとしと」という副詞で表す。
断腸の極みです
警察官が死傷した愛知・長久手の立てこもり事件(2007年)の記者会見冒頭で、県警幹部が「警察官の殉職一人、重傷一人を出したことは断腸の極みです」と述べた。「断腸」は、子を失い悲しみのあまり死んだ母猿の腸が細かくちぎれていたという故事からきた言葉で、これ以上にないほど悲しいことをいう。「断腸」そのものに極限の意味が入っているので、「痛恨の極み」とは言うが「断腸の極み」とは言わない。この場合は「断腸の思いです」というべきだったが、間違えた言い方でもそれを伝えなければならないメディアにとっては痛恨事だったに違いない。
※『きょうから直したい言葉遣い~この間違いに気づくと目が覚める~』(小塚博著/文芸社)』
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