クリスマスにまつわる七面鳥のクレームのお話
先日は不動産業界の100名の女性営業職の皆さんに「クレーム対応力アップ」の講演をさせていただきました。最近は本当に色々なケースのクレームがあり、ご苦労されているのをひしひしと感じた次第です。今回はクリスマスも近くなってきましたので、クリスマスの分かりやすい事例が※『実践クレーム対応』(武田哲男著/産業能率大学出版部刊)に書かれていたのでご紹介いたします。
「昨日、クリスマスイブ用に買って帰った七面鳥がまずかった」と一人のご婦人が店に現れた
レシートと紙袋を持参したので紙袋の中をのぞいたところ七面鳥の食べ残しが入っていた。その様子を見ると確かに当店で販売した七面鳥に間違いない。ところがよく見ると紙袋に入っているのはほとんど食べつくした骨ばかり。この様子に部門担当者は「あ、お金を返せというクレーマーだ」と瞬時に想定したのである。しかし、自分の判断だけでは後で問題が起こったときに困るので他の部門の人たち数人にバックヤード(店舗裏側の作業場)でその状況を見せ「自分はクレーマーだと思うがみんなどう思う?」と尋ねた。
皆の答えはやはり「少なくともお金を返せ!というクレーマーに違いない」と話し合っていたところ「何をしているのだ?」とたまたま社長が通りかかった。「実は、・・・・きっと・・・・皆で話し合っていたのです。」これを聞いた社長は「それは君たちの解釈が間違っている。アメリカでクリスマスイブといえば君たちもよく知っている通り一年に一度、家族で集まって一家団欒の上、貴重な時間を過ごす場であるはず。
そのような時に食べた七面鳥がまずかったら最低。しかし大事な家族のコミュニケーションの場でメインディッシュの「七面鳥がまずい」と言ったのではその場の雰囲気が壊れて台なしになってしまう。そこで誰もがまずいと思いながらそれを口に出さず、かえって一生懸命に食べたと、なぜそのような解釈ができないのか」とスタッフに伝えたのである。
その話を聞いたスタッフたちはなんとなく納得のいかない顔で不満そうな表情を浮かべていた。その様子を見て、社長は「問題が起こったら私が責任をとるから、ともかくまずかったとおっしゃるのになぜほとんど肉を食べつくして骨だけお持ちになったのですか?と直接お客様に聞いてごらん」と伝えた。ところが、お客様は社長が表現した通りのほぼ同じストーリーを述べたのである。お客様は「実は何かの足しになればと思い伝えに来たのであって、返金を要求しに来たのではない」と語ったそうである。
※引用:『実践クレーム対応』(武田哲男著/産業能率大学出版部刊)
●もうすでに街にはクリスマスのイルミネーションが溢れ、笑顔で行きかう人たちで賑わっていますね。この時期、どこのお店もクリスマス商戦で多忙になりますが、それに伴いクレームも多くなる時期でもあります。多くのお客様の来店で対応が薄くなったり、また勘違いされているお客様や、最近では特殊クレームと呼ばれる筋違いのも出てきています。そして、増えてきているのが、ご年配のご意見番やストーカータイプのものまで様々です。このような時こそ、まずはこのターキーのお話のように、既成概念を持たずに話を聴き、どのタイプなのかを確りと見極めることが求められます。
クレームを言うお客様には色々な心理がありますが、今回のこのターキーの骨を持ってきたお客様の心理は、正に「親心からの一言」です。このお店のファンだからこそ言いにくいことでも伝えようと言う、とても有り難いお客様なのです。このようなお客様を怒らせてしまっては、とても残念なことになりますね。この時期、多忙なことからつい「聴く」プロセスを短縮しがちです。くれぐれも意思疎通が希薄にならないように「聴く」プロセスを怠らないで対応するようにいたしましょう。「急がば回れ」とは、正にのことですね。
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