熱中症にかかりやすい人と、その対策
最近はテレビで夏になると「熱中症に注意しましょう」という言葉を聞く機会が大変多くなりました。類似語の日射病が、直射日光による日焼けや熱が原因で起こる脱水症状や貧血などを指す限定的な言葉に対し、熱中症は広範囲な症状を含む医学用語です。したがって熱中症は太陽光が原因でなくても、気温や湿度の高い環境で起こるものを含んでいます。
熱中症のなかでも一番多いのは熱射病だそうで、これは体温が異常に上昇することで脳障害が起こり、意識がうすれ、放置すると死に至る危険性もあるそうです。人間は汗をかくことで(打ち水すると気化熱で涼しくなることに通じる)体温を下げることができるのですが、汗をかきにくい(汗を出す汗腺が少ない)人は熱中症になりやすいのです。
ところで、熱中症リスクと密接な関係にある汗腺の数は、ロシア人180万個、日本人230万個、フィリピン人280万個といわれています。つまり、寒い国で育った人ほど熱中症リスクが高いことになります。なお、汗腺の数は、3歳ぐらいまでに育った環境(室内温度や土地の気候)に影響を受けるそうですから、心当たりがある方は注意が必要です。
社会耐性が乏しいと目される人を温室育ちなどと形容したりしますが、無菌環境にいると、免疫力が低下して菌に弱くなってしまいがちです。日本は世界的に見てもトップレベルの清潔な国で、抗菌や除菌グッズなど様々なものが売られています。そうした環境ならではの問題の一つが、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患の増加です。
丁寧に体を洗いすぎると、本来必要な常在菌までがいなくなり、そのために逆に悪玉菌が繁殖しやすくなるのだそうです。また、集団食中毒の原因としてたびたび話題になるO-157 も、実は清潔な国にしか存在できないきわめて弱い細菌で、汚い場所では発生できず、清潔志向が行き過ぎた国でのみ発生し、除菌を進めるほど皮肉にもより発生しやすくなるのだとか。
さて、本稿の最後は、もっとも熱中症に気をつけなければいけない年配者についてです。お年を召すと筋肉量が減少しますので、体内の水分が若い年代より少なくなっています。また、動脈硬化が進んでいることや自律神経の機能が低下することにより、汗をかきにくく、体にこもった熱を放出しにくくなっているのです。
加えて、感覚神経や運動神経の機能が低下することにより、水分補給や避暑行動をとるのが遅くなりがちです。他にもトイレの回数を減らすために水分摂取を控える、エアコンを嫌う、といった高齢者によく見られる傾向も熱中症を引き起こす要因になっています。このことは、「服薬中」「持病あり」「体調不良」の方にも当てはまりますのでお気をつけください。
参考文献:前・中段『逆説の法則』、後段『食べて飲んで身を守る!熱中症レシピ』
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