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2022年8月

2022年8月22日 (月)

コーヒー初心者のための珈琲豆&ミニ知識

自宅で豆を挽くコーヒー愛飲家が増えているようです。ブログ筆者もご多分に漏れずその一人(初心者レベル)なのですが、『人生を豊かにしたい人のための珈琲』という本に図書館で出会って、コーヒーにまつわるさまざまな知識の一端に触れることができました。今回は私同様の「コーヒー初心者のための珈琲豆知識」です。

そもそも美味しいコーヒーの私なり(筆者の川島氏)の定義をひとことで言えば「冷めても美味しい」です。まずいコーヒーは冷めたらミルクと砂糖を入れないと飲めません。酸味が苦手という話もよく聞きます。コーヒーは甘味と酸味を楽しむものですが、コーヒー本来の酸味と、酸化した「酸っぱさ」は違います。ツンとした酸味は酸化です。

砂糖もミルクも要らない本当に美味しいコーヒーを飲もうと思うなら、焙煎豆を量るのに柄杓状の「メジャースプーン」を使うの合理的ではありません。なぜなら、重さではなく体積で量っているからです。これは抽出時の濃さ・薄さに影響を及ぼします。家庭では、面倒でも重さを量るスケールを使うことをお勧めします。

レシピについて著者のお勧めは、ザラメ程度のやや粗びきで1杯(150㏄)淹れるのに20グラムが適量だそうです。ですが、2杯(300㏄)抽出では40gではなく10%減らして36gを使います。このように増杯に応じて徐々に量を減らし、4杯(600㏄)なら80gではなく25%減らして60gで事足ります。

少しでもコーヒーをかじった方なら「コーヒーはフルーツである」と聞いたことがあるかもしれません。これは著者が言い始めた言葉だそうです。コーヒーはワインと同じようにフルーツからできた飲料です。だからこそ取り扱いもフルーツ同様でなければいけません。クオリティと同じく鮮度も重要とのことです。

寒暖差のある畑で収穫されたコーヒーは、花が咲いてから熟するまでの期間が長くなるので、密度が高くずっしり重たい豆になります。ゆっくり成長することで、油脂やショ糖の量が増えるのです。コーヒーの量り売りで、いつも通り200g買うと「今回はやけにかさばって量が多くて得をした」と感じたことはありませんか?これは得をしたのではなく、密度の低いコーヒーを買ったということです(ただし焙煎度合いによって体積は変わり、深煎りほど体積が増えます。ですから同じ焙煎度合いで比較しての話です)。

最後は誤解を招きそうな「ゲイシャ」という名が登場する珈琲豆のお話です。昨今ではゲイシャが世界中でもてはやされているそうですが、日本語の芸者とは無関係で、産地のひとつ、エチオピアのゲイシャ村がその由来です。ジャスミンの花にも例えられる独特の香りが特徴だそうです。是非一度楽しみたいです。

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2022年8月16日 (火)

セミ・ヘビの脱皮から、組織の脱皮に思いを馳せる

夏の風物詩の一つにセミ時雨がありますが、その足元には「脱皮」したセミの抜け殻があちこちに見受けられます。この夏、公園で両手いっぱいにそのセミの抜け殻を誇らしげに捧げ歩く九少年を見かけたとき、10年ほど前に読んだ本のある一節を思い出しました。そこには親子のさりげない会話が記されていたのですが、その内容が深かったのです。

本の著者は『サラダ記念日』などで有名な歌人の俵万智さんで書名は『小さな言葉』ですが、その親子の会話を俵万智さんは、コピーライターとして高名な糸井重里さんのサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の「いいまつがい」というコーナーで見たそうです。その回のテーマは言い間違いばかりを集めていました。

その中で、俵さんが今までに特に印象に残っているのが以次のフレーズでした。「あっ、セミのなきがらだ」と子どもが言い、親は「ぬけがら」の言い間違いだと思うのだが、よく見ると「脱皮の途中で干からびてしまったセミ」だった、というもの。つまり間違いではなかったというお話です。

私はセミ時雨を浴びながら、生命のたくましさを感じることが多かったのですが、この文章を読んでから「脱皮」が命がけの行為であることに思いが至りました。そして調べてみるとセミの幼虫が「脱皮」に成功するのは全体の40%にも満たない(なきがら60%強)ことを知りました。彼らにとって「脱皮」は命がけの戦いなのです。

デジタル大辞泉の「脱皮」の解説は以下の通りです。

1.昆虫類や爬虫類(はちゅうるい)などが、成長のため古くなった外皮を脱ぎ捨てること。

2.古い考え方や習慣から抜け出して新しい方向に進むこと。「旧弊からの脱皮を図る」

この解説1.2を包含したような内容が『ニーチェの言葉』に中にあります。

「脱皮しないヘビは破滅する。人間も全く同じだ。古い考えの皮をいつまでも被っていれば、やがて内側から腐っていき、成長することなどできないどころか、死んでしまう。」

『脱皮成長する経営』という本には、「脱皮には、ヘビのように脱皮を繰り返すことで単純に体を大きくしていくタイプと、セミやトンボ、カゲロウのように脱皮することで姿形だけでなく、活動空間や食べ物まで変えて変態を遂げるタイプの二種類の脱皮を思い浮かべることができる。本書でイメージして欲しい脱皮は後者である」と。

そして、この本の主人公ともいえる前川正雄氏(※)が用いる脱皮には、組織の文化を更新し、あらたな製品で新しい顧客を対象としたビジネスを展開して、成長を遂げていくといった意味を有しているそうです。同氏によると、「組織を同じ姿で成長させてきたのではない。過去の姿や取り組みを捨て去りながら成長させてきた」のだと。

参考文献:『小さな言葉』『ニーチェの言葉』『脱皮成長する経営』

※前川正雄氏(前川製作所・会長歴任後顧問に)

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2022年8月 4日 (木)

その曲が球場に鳴り響くと何かが起きる!

私は、研修の谷間に頭休めと気分転換を兼ねて気軽に読めそうな文庫本を中心に数冊買うことにしています。そして今年の春に購入した中に『20歳(はたち)のソウル』(幻冬舎文庫本)が入っていました。そしてこの本が、その後の2か月の間に、私の周りで大きなうねりを生じていたことについて書くことにします。

この7月に書名と同じタイトルでロードショーされましたので、本もしくは映画で内容をご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、簡単にストーリーを紹介すると・・・。この物語の主人公は、千葉県のスポーツ強豪校のひとつに船橋市立船橋高校(略称は市船)吹奏楽部に所属した浅野大義(たいぎ)さんです。

浅野さんは母校に「市船ソウル」という応援歌を残します。そして市船はスポーツ競技会場で吹奏楽部の後輩たちがこの「市船ソウル」を熱く演奏するのですが、不思議なことにこの曲が流れると野球ならその回に点が入るのだと。私は、そんな・・・と思い2022年7月27日の千葉県の決勝戦をテレビで観戦したところ、本当にその通りの展開となり感動したのでした。

主人公は卒業2年後、20歳の若さで肺がんでなくなっており、自分の作品が母校を鼓舞し続け春夏の甲子園の切符を手にしたことは知りません。ある意味悲しい物語ですが、ブログ筆者が2か月にわたり心を揺さぶられ続けたのはどうしてかと思いをめぐらしたところ、思い当たったのが「カドカワ」が一時期を風靡した「メディアミックス」の効果でした。

プレゼンテーション研修の際にメディアミックスについて触れることがあります。簡単に言えば、情報を介する手段として言葉という単独メディアだけよりは、画像などの別のメディアを併用した方がはるかに相手の記憶に残るので、たとえ紙の資料を用意している場合でも、新しい技術やサービスについてプレゼンする際にはメディアミックスが大事なのだと。

では、メディアミックスをするとどのくらい効果があるかを2例紹介しましょう。まず最初はアメリカ空軍(※1)から。彼らは説明の仕方(①ことばだけで説明したとき、②図表だけ見せたとき、③図表を見せながら、言葉で説明したとき)によって、3日後に記憶されている情報の量がどのくらい違うかを調べました。

それぞれを比較してみると、①ことばと②図表の組み合わせが最もよく、72時間後、ことばと図表(①と②)を併用した時の聞き手は、①ことばだけの聞き手の6.5倍以上、②図表だけの場合の3倍以上、記憶していたといいます。次は神経科学の研究(※2)から、情報を耳から聞いただけでは内容の役10%しか覚えられないが、耳から聞くのと同時にその画像を見ると内容の65%を覚えている可能性が高いと確認されたそうです。

メディアミックスを最大限活用したのは「カドカワ」でした。1970年当時に流されたキャッチフレーズ「見てから読むか」「読んでから見るか」を記憶している人も多いと思いますが、仕掛人の角川春樹さん、お見事ですね。これに『20歳(はたち)のソウル』は『聴いてら・・・』が加わりましたので、その効果に私は完全に取り込まれてしまったのでしょう。

※1:『発表する技術』、※2『ビジネスと人を動かす驚異のストーリープレゼン』

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