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2022年9月17日 (土)

「赤信号みんなで渡れば怖くない」。では「黄信号」は? 緑色なのに「青信号」と呼ぶのはなぜ?

「赤信号みんなで渡れば怖くない」。では「黄信号」はどうか…今回このテーマについて書くきっかけは、202111月改定の『三省堂国語辞典第8版』の「赤信号」の用法例として登場したことを知ったからでした(ただし姉妹辞典『三省堂明解国語辞典』には記載されていません)。この言い回し(ギャグ)は1980年にビートきよし&ビートたけしの漫才コンビのツービートが流行らせました。

40年前の忘れ去らたこの言葉が、なぜ復活したのかを知りたくWeb検索したところ、10年ほど前、中国のあるネットユーザーの投稿が浮かび上がりました。それは「赤信号みんなで渡れば怖くない。信号なんて有っても無くても関係ない」で、大ブレイク後、中国語版ウィキぺディアのその年の10大ネット流行語に選ばれたそうです。

ここで「信号なんて有っても無くても関係ない」と思わせてしまう要因のひとつを紹介します。フランスの大学で25歳の男性が服装を変えて赤信号を無視するマナー違反の実験をしました。するとスーツにネクタイ姿につられて渡った人の割合は54.5%。キレイなTシャツだと17.9%、穴の開いた汚れたTシャツだと9.3%でした。

服装は社会的影響力を持ちます。白衣は医師や看護師のシンボルとして信用され、他の業種の人が白衣を纏っている場合でも、アクシデント遭遇時の通行人に真っ先に頼りにされるとの実験結果もあります。それがスーツとネクタイ姿にも似た効果があるのですから、きちんとした身なりにはそれなりのマナーが求められることになります。

さて、「赤信号」の次は「黄信号」のマナー違反についてです。『カオスとアクシデントを操る数学』という本に、「黄信号」を無視すると、統計的に見ておおよそ1000回に1度事故を起こす危険性があると記されていました。1日に1回「黄信号」を無視したら、ひと月に約30回、33ヵ月で1000回に達します。

職場で起こる事故がどのくらいの確率で起きるかを経験的にまとめた「ハインリッヒの法則」によると、ひとつの重大事故の背景には29のちょっとした事故があり、その事故の背景には300の「ヒヤリとした」「ハットした」体験があるというものです。この法則に当てはめると、黄色信号を無視し続ける人のリスクはどのくらいに…。

ためしに10日に1度「ヒヤリとした」「ハットした」体験をすると、100日に1度「ちょっとしたトラブル」を体験し、2年半後、つまり30ヵ月後には事故に遭遇する確率があることになります。自身の運転に照らし合わせ、また身近に思い当たる人がおられたら、ぜひ行動を改めるようにご注意いただきたいと思います。

最後は緑色なのに「青信号」と呼ぶのはなぜ? を取り上げます。NHKの『ちこちゃんに叱られる』の答えは「新聞が青と書いたから」でした。この記事以降「青信号」が世間に定着。1947年(昭和22年)には法令も「青信号」表示に。ちなみに運用面では限りなく「緑」に近い「青緑」「緑み青」などの色の使用に切り替えつつあるとのこと。

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