改訂版辞書・辞典の「言葉」「表現」「用語」からジェネレーションを知るⅠ
昨年の暮れから本年初頭(2021~2022年)にかけて、日本を代表する辞書・辞典(『三省堂国語辞典 第8版(小型)』『岩波・広辞苑第7巻(中型)』)が改版されました。中学や高校で用いられるのが「小型」で、「中型」は『広辞苑』をはじめ、『大辞林』とか『大辞泉』など。「大型」に分類されるのは、小学館の『日本国語大辞典:全14巻』。
ご存じのように辞書は、改訂のたびに、使われなくなった言葉を削り、その間に新たに使われ始め、世の中に定着した言葉を追加する、という地道な作業が繰り返えされます。この辺りの事情は、10年前本屋大賞に選ばれ、映画にも、アニメ化されてテレビでも放映された三浦しおんさんの『舟を編む」に詳しく書かれていました。
さて、『三省堂国語辞典 第8版』では約1100の古い言葉が消えた一方で、約3500の新しい言葉が追加掲載されています。2022年8月22日放映の日本テレビのバラエティー番組「月曜から夜ふかし」で、削除された「コギャル」「タカラジェンヌ」「着メロ」「マイナスイオン」などが取り上げられWeb上で注目を集めました。
新しく取り上げられた言葉を三省堂のHPから10語ほど抜き書きしてみましょう。「ガールズバー(女性中心のショットバー)」「自分事」「聖地巡礼」「センベロ(千円で酔える酒場などの俗称)」「ソーシャルディスタンス」「ゾーンに入る」「猫パンチ」「腹落ち」「ホニャララ」「マリトッツォ(生クリームを挟んだスイーツ)」。()は筆者注。
上記には取り上げませんでしたが、新掲載語の中に「赤信号みんなで渡ればこわくない」が入っていたのには、少々驚かされました。この言葉は今から約30年も前にツービート(漫才コンビ)が流行らせた懐かしいギャグで、日本では既に死語化していましたが、10年ほど前に中国で脚光を浴びたことが関係しているのかもしれません。
なお、辞書には新しい言葉と並行して、新しく追記された語義も掲載されます。その対象例は、完封(箸)/クラスター/誤爆/塩(対応)/巣ごもり(消費)/忖度/つらみ/(新曲が)尊い/とろみ(ブラウス)/なんなら/~ペイ/(まつたけ)祭り/目詰まり/リモート(飲み会)などですが、「忖度」が入っているのは意味深ですね。
今回は、「言葉」「表現」の変化で知るジェネレーションⅠ として、『三省堂国語辞典 第8版』を取り上げましたが、次回は、これのⅡとして、岩波『広辞苑』の旧版と新版の時代の変化を的確に捉えた「表現」の違いを。また、自由国民社の『現代用語の基礎知識』から年ごとの特徴的な「用語(新語・流行語)を取り上げます。
| 固定リンク
「管理職研修」カテゴリの記事
- 「今どきの若い者(モン)は・・・」に関する3題(2022.12.12)
- 稲盛和夫氏の著書『実学』から学んだ3つのこと(2022.11.10)
- 改版辞書・辞典の「言葉」「表現」「用語」からジェネレーションを知るⅡ(2022.09.12)
- 改訂版辞書・辞典の「言葉」「表現」「用語」からジェネレーションを知るⅠ(2022.09.08)