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2022年11月

2022年11月28日 (月)

サッカーW杯PK戦のプレッシャーはどのくらい?

今回はサッカーW杯でのペナルティキック素材にストレスを引き起こすプレッシャーを取り上げます。『なぜ本番でしくじるのか プレッシャーに強い人弱い人』という本に、サッカーW杯)とUEFAチャンピオンリーグ(1996~2007)のすべてのPK戦におけるペナルティキックの成功率が紹介されています。そして、フォーカスされているのはスーパースターとその後に続くスター予備軍との成功率の比較です。

常識的にはテクニックに優れ、多くの修羅場をくぐってきたスーパースターの方がはるかに成功率は高いと予測されますが、結果は真逆でした。この間に合計298人による366回のPKが蹴られているのですが、スーパースターの成功率が65%程度であったのに対し、将来のスーパースターはなんと90%近かったのです。ちなみに平均成功率は74%です。

全世界のTV視聴者数はサッカーW杯とオリンピック(五輪)はおおむね同じくらいだそうですが、五輪33競技(2020年東京五輪、パラは除く)に対しサッカーW杯は32か国で62試合。1試合当たりの視聴者はサッカーW杯の方が圧倒的に多く、世界中が注視する中でのPKキッカーには名手であればあるほどプレッシャーになるのでしょう。

さて、サッカーの試合では時間内で決着のつかない試合を5人対5人のPK戦で決着させることがあります(W杯では決勝トーナメントから実施)。このPK戦では、「決めれば勝ち」と「外せば負け」の状況が必ず出現します。では、この二つのケース「決めれば勝ち」と「外せば負け」では成功率に違いが出るでしょうか?

常識的には同じような成功率になると思われがちですが、実際には「決めれば勝ち」のPKの成功率は93%なのに対し、逆に「外せば負け」の成功率は44%でした。(soccer king.jp2014.07.01)。なんとダブルスコア以上に差があるのです。PKのキッカーにとって、チームの勢いが大きく「メンタル」に影響を及ぼしていることが分かります。

百戦錬磨のプロ選手でさえこれだけ影響(プレッシャーやチーム状況)を受けていることがわかりますが、私たちも日常のあちこちでストレスを感じています。ストレスを感じる・感じないは個人差がありますが、日常からストレスを取り除くことは難しいですらから「ストレス(プレッシャー)対策」をしっかりとやって、日頃から心にゆとりを持たせる生き方を心がけることが肝要でしょう。

参考文献:『なぜ本番でしくじるのか プレッシャーに強い人弱い人』 参考サイト:(soccer king.jp 2014.07.01)

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2022年11月20日 (日)

3通りの「言い回し」と吉牛3語の「並べ順」など

テレビの番組やCMで露出度の高い梅沢冨美男さん。舞台では女形で、歌手としては小椋佳さんの『夢芝居』が大ヒット。その梅沢さんが役者として通用するためには「好きだよ」というセリフを3通りに言い回せなければ一人前になれないと先輩役者からご指導を受けたことがあるそうです。

その「好きだよ」の3通りは、心からの「好き」、半分ではそうでもない「好き」、うその「好き」なのだと。役者さんはこうした使い分けが演技力につながるのでしょうが、私たちの日常でこのような使い分けをされても、その見極めは難しいでしょう。このため人を判断する場合は言葉だけでなく、非言語表現を読み解く力を備えて置く必要があります。

非言語とは「顔の表情」、「声のトーン」、「さりげない手足の動き」、「服装」などを指します。そして「非言語コミュニケーション」とは、こうした挙措から相手の感情を読み取りながら意思疎通を図ることです。もし、非言語コミュニケーションに関心の方は本ブログの「非言語コミュニケーション」のコーナーをご覧ください。

次は前回取り上げた京セラを創業した稲盛さんが大ファンだったという牛丼の吉野家さんのお話です。吉野家さんのキャッチフレーズは「うまい」「やすい」「はやい」。でも1980年、1990年代は「うまい」「はやい」「やすい」だったそうです。「うまい」の先頭は変わりませんが、「はやい」より「やすい」が2000年代には先に来るようになりました。

低成長時代が長く続き「やすい」ことが重視される時代と読み取ったからでしょう。cになみに、バブルの余韻に浸っていた1970年代は「はやい」「うまい」「やすい」でした。「はやい」が最初に来るのは、忙しい時代だったからなのでしょう。たった3つの言葉の並べ替えで変化の激しい時流を巧みに読み取り、繁盛を続けるのはお見事ですね。

最後は英語です。英語で「仕事」を表す場合、主に3つの単語「レイバー(Labor)」と「ジョブ(Job)」と「ワーク(Work)」が使われます。それぞれ、仕事をするときの「心の立ち位置」に違いがあります。具体的にはLabor・・・いやいや言われた業務をこなす。Job・・・普通に業務をこなす。Work・・・にこにこと笑顔で仕事をする。

しかし、リッツ・カールトンでは笑顔だけでは不十分で、そのワンランク上を目指しています。英語表現なら「Play」感覚です。つまり、「レッツ・ハブ・ファン」「レッツ・エンターテイン」を合言葉に、お客様に楽しんでいただくことを考え、ワクワクしながら働く。言い換えれば「遊び心」を持って仕事をするのが、リッツ・カールトンの心情と言えます。

参考文献:『「売り言葉」と「買い言葉」心を動かすコピー発想』/『絆が生まれる瞬間 ホスピタリティの舞台づくり』

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2022年11月10日 (木)

稲盛和夫氏の著書『実学』から学んだ3つのこと

稲盛氏に「夜泣きうどんの屋台を引く」というたとえ話があります。「しばらく会社に出てこなくてもよろしい。屋台一式を貸すから5万円の元手で1カ月間、毎晩京都のどこかでうどんを売ること。そして、1カ月後いくらにし持って帰って来るかが実績だ」というものです。これを実践すれば、コスト意識の高い経営幹部が育つ子とのご見解でした。

「夜泣きうどん」の屋台を引くためには、まず仕入れをどうするか?うどん玉を買うには、製麺所で調達する、スーパーで生麺を買う、固い干し麺を買って湯がいて出すなどが考えられる。次に、いい味を出すための出汁のために高い鰹節を買う。鰹節を削っているところで屑をもあらうなど、原価を安くしていかにいい味を出すかの創意工夫が必要となる。

「かまぼこ」や「揚げ」や「ネギ」にしても、スーパーマーケットで買う、工場や農家から直接仕入れるなど、いろいろなやり方がある。そして肝心なのが売値。一杯300円の「夜泣きうどん」も500円も選択自由。安ければいくらでも売れるだろうが、利益を得ることはできない。お客さんをどう満足させて売れるベストの値段を探し出さなくてはならない。

「このようにうどんの屋台ひとつでも、いろいろな選択肢がある。一晩に出てくる差はわずかでも、年間にすればものすごい差になってくる。また、屋台から大きなフランチャイズ・チェーンに発展させる人もいるし、何十年屋台を引いても何も財産を残せない人もいる。いい商売、悪い商売があるのではなく、それを成功に導けるかどうかなのである」と。

先日のテレビ番組では稲森氏の「土俵の中で相撲をとる」を取り上げていました。これについて同氏は、「土俵際でなく、まだ余裕のある土俵の真中で相撲をとるようにする」ことを心掛けるべきだと。なぜなら、土俵に追い詰められ、苦し紛れに技をかけるから、勇み足になったり、きわどい判定で負けてしまうことがあるからだと。

それよりも、どんな技でも思い切ってかけられる土俵の真中で、土俵際に追い詰められたような緊張感を持って勝負をかけるべきだ、というのです。これは企業財務に関して言えば、「つねにお金のことについて心配しなくても、安心して仕事ができるようにすべきだ」に通じ、そのような強い思いが、京セラを速い時期より無借金経営に導いたのだと。

稲盛氏の経営哲学の根底にあるものは、「人の心をベースとして経営する」ということでした。人の心は大変大きな力を持っているが、ふとしたはずみで過ちを犯してしまうという弱い面も持っている。人の心をベースにして経営していくなら、この人の心が持つ弱さから社員を守るという思いが必要で、これがダブルチェックシステムを始めた動機だと。

そして、そのような保護システムは厳しければ、厳しいほど、実は人間に対し親切なシステムなのだと繰り返されます。「ダブルチェックの原則」を間違いの発見やその防止のためのテクニックであると考える人もいるかもしれない。しかし、このような厳格なシステムが必要な本当の目的は、「人を大切にする職場をつくるためなのである」と。

参考文献:『稲盛和夫の実学』

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2022年11月 1日 (火)

マナーとエチケットの違い

マナー研修の場でマナーとエチケットはどうちがうのですか?と聞かれることがあります。よく質問を受けるということは、それだけ境界がわかりにくいからなのでしょう。私が参考にさせていただいているのは、古い文献ですが、アメリカの女性い作家エミリー・ポスト(エチケットの権威と呼ばれる女性)が書いた大ベストセラー『エチケット』です。

この本のことを紹介している『100%好かれる1%の習慣※』によると、「エチケットは、他人への思い遣りに基づく行動の規範であり、良いマナーとは、この規範に則って生活しようとする人々のあたたかい心、善意のあらわれである」とあります。分かりやすく言い換えると、エチケットは「型」であり、マナーは「相手を気づかう心」なのだと。

「良いマナーとは、この規範に則って生活しようとするあたたかい心、善意のあらわれである」とのことですが、では、二人で食事をしているとき相手の膝の上にのせてあったナプキンがするりと床に落ちたら、あなたはどうしますか?①見て見ぬふりをする、②「落ちましたよ」と、教えてあげる。③落ちたナプキンを拾ってあげる。

参考文献(※)によると、食事のマナーとして最もふさわしいのは①だそうです。さらに、マナー上級者であれば、自分も相手と同じようにナプキンを落とし、あくまでも「自分のために」さりげなく給仕を呼ぶでしょうと。ここまで心得ている方となかなか出会うのは難しいかもしれません。なお、②③は相手に恥をかかせてしまうことになります。

先日、当ブログに小笠原流礼法33代目・小笠原忠統(ただむね)氏の「『こころ』を大切にする人が『かたち』を身につけると、自然で美しい立ち居振る舞いができるようになる」との教えを紹介しました。自己の内面から発せられる真摯な心遣いが、美しい立ち居振る舞いとあいまって日常生活を満たすのは東西を問わず共通しているようです。

ところで、エチケットという言葉はどのようにして誕生したのでしょうか。これはフランスのベルサイユ宮殿であるハプニングに由来します。ルイ14世の時代に、ベルサイユ宮殿の庭には美しい花園があったそうです。ところが、ある時、この花園を心ない者(貴族階級の若者たちが酒の勢いで)たちが踏みにじってしまいました。

この様子に宮殿の庭師が腹を立て、「立入禁止」の札を立てました。はじめは無視されたのですが、ルイ14世が立て札を守るよう命令を出してから徹底されたとのこと。この立て札のことをフランス語でエチケットといい、後にこれが転じて「心の花園を荒らすな」という意味に用いられ、やがて現在のように「礼儀作法」を示すようになったそうです。

参考文献:『100%好かれる1%の習慣』/『世界史は化学でできている』/『セールスセンスを磨く プレゼンテーション術』

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