「最高齢アプリ開発者」の生き方、考え方に学ぶ
今回は、Appleの最高経営責任者ティム・クック氏に「世界最高齢アプリ開発者」として賞賛された若宮正子さんを取り上げます。若宮さんがスマホアプリを開発したのは82歳のとき。オンライン体験は60歳のときでした。当時はニフティなど通信企業が企業会員、個人会員向けにインターネット接続サービスを始めた直後のことです。
「THE 21」という月刊誌の本年1月号に「いつまでも若々しい先輩に学ぶ」というコーナーの第一回に登場でした。その中で、新しいことにチャレンジする心構えについて。若宮さんは、「新しく始めたことがうまくいかなくても、それを挫折だと思って後ろめたさを感じる必要はない。それは挫折ではなく途中でやめたというだけなんだから」と。
若宮さんの自己体験として、習い始めたものの、あまりにもできないからやめた日本舞踊をあげています。でも日本舞踏を途中まで習った経験が、長唄、常磐津、清元など日本の舞踏音楽について知ることができた。それは「世界をひろげられた」ことなのに、挫折というひと言で片づけられてしまうのは、なんてもったいないことなのかと。
次は、とくに賢い人、真面目な人ほどその傾向が強いとされる「将来の不安に焦点を当ててしまって、今の楽しみを見過ごしがち」と前置きし、「将来介護が必要にならないように、体を鍛えておこうと頑張る人がいる。運動することが好きならいいのだが、将来のために無理や我慢をするのは、今という時間をないがしろにしているということ」だと。
それは新しいことを始めるときや、学ぶときも同じ。出世や昇進のためなど、「何かのため」にするのではなく、それをすると今を楽しめそうだからする。そのように取り組むと、学ぶ意欲は衰えない。加齢と共に衰えがちな学ぶ意欲を衰えさせないためには、好奇心を持ち続けること、そして「自分から働きかける」ことをいつも意識していることだと。
最後は、職業人のあり方を若宮さん流に表現した、「フォルダ型人間」ではなく、「ハッシュタグ人間」になりなさいです。フォルダ型人間をとは、「○○会社の○○支社、○〇部の○○課の□□です」というような、組織への帰属意識の強い人のこと。こうした人は、定年を迎えてフォルダから引っこ抜かれたら、たちまちアイデンティティーを失う。
これに対し、ハッシュタグ人間は、仕事に関蓮することを含め、好きなことや興味のあること、趣味などをいっぱい持っている人のことで、こうした人たちはSNSに投稿するとき、自分にペタペタとハッシュタグをつける。人生100年時代には、40・50代のうちにハッシュタグをたくさん増やせば、今も、これからの人生もますます楽しくなっていくと。
参考文献:『THE 21』(2023年1月号/PHP研究所)
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