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2023年2月

2023年2月28日 (火)

節目となる30代、50代、70代の健康管理について

この稿は『PRESIDENT』の23日号の、「最新ビッグデータで判明 体調不良を感じやすい病気と予防策2023」から、主に30代、50代、70代に関する記述をピックアップしてまとめています。本誌の当該特集の冒頭に、「各年代によって注意すべき「厄」が変わる! とあり、本厄を男女別に下記のように定義しています。

男性 不摂生の厄:平成11年生まれの24歳、ストレスの厄:昭和61年生まれの37歳、肥満の厄:昭和48年生まれの50歳、更年期の厄:昭和35年生まれの63歳。

女性 不摂生の厄:平成10年生まれの25歳、婦人病の厄:昭和59年生まれの39歳、更年期の厄:昭和46年生まれの52歳、ロコモの厄:昭和35年生まれの63

上記を踏まえると、男性は37歳が「ストレスの厄」に該当しますので、ここでは男性の30代を取り上げます。「30代で血圧や血糖値、肝機能の検査値に異常が見られる方は、5060代に大きな病気になるリスクが高くなります。この段階でしっかり体のケアをするかどうかで、その後の人生大きく左右するといっても過言ではありません」とあります。

次は、50代です。この年代で多く見られるのは糖尿病ですが、この病気は一般的に食べ過ぎと運動不足が要因といわれます。糖尿病は20歳ぐらいから発症率が緩やかに上がって、50歳から急上昇する傾向があるそうです。そして、一度発症すると食事制限などが大変なので、50歳で改めて生活習慣の見直しを専門医がお勧めしています。

また、50代男性が注意すべき病気のもうひとつが脳血管疾病です。脳梗塞や脳失血などの総称が脳血管疾病ということになります。この病気は40代から少しずつ発症リスクが高くなり、50代に入ると加速度的に上昇するそうです。同じように、心筋梗塞など虚血性心疾患が発症するのも50代です。

一方、女性は55歳を境に動脈硬化が加速すると言われています。女性の厄年はこれまで数えで19歳、33歳、37歳、61歳とされてきましたが、本誌の解釈は上記の通り。こうした考え方によると、従来の37歳の本厄が今は52歳に当たるので、この年代に動脈硬化に対する予防を心がけるべきと専門家がアドバイスしています。

70代以降に発症することが多いアルツハイマー型などの認知症も、50代前後から若年性発祥のリスクがあるそうなので、気をつけたいですね。50代は「もう若くない」との後ろ向きの心が病気に表れるそうです。前向きな生き方や心の持ちようが病気の予防に役立つようですから、多少不調を感じても決して後ろ向きにならないようにしましょう。

最後に70代。ハーバード大学が75歳に30年前の仕事に戻ったと仮定し、当時の映像や新聞の中で1週間暮す実験をしました。すると、全員の体力や認知機能が改善され、見た目も若返り、行き「車いす」帰り「歩き」まで起きたそうです。若返り策の好例は同窓会だとか。なるほど、高校の同窓会に行くと、たしかに18歳のときの気持ちに戻ります!

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2023年2月20日 (月)

「成績優秀者」は社会で必ずしも成功しないのか?

学業がキャリアの成功を予測する判断材料にならないことは、あらゆる業界調査で明らかになっている。偉業を成し遂げた建築家たちを調査したところ、もっとも独創的な建築家は平均してB評価の成績で学校を卒業していたという。かたや全教科でAを取った建築家たちの多くが、正しさにこだわり、保守的な考え方や慣行を再考したがらなかった。

同様のパターンは、大学を首席で卒業した学生を対象にした調査でも見られたという。「卒業生総代が将来、先見の明がある人物になる可能性は低い」と教育学研究者のカレン・アーノルドは述べている。「そのような人たちは通常、既成システムの一部になり、それを改革することはない」と。IQよりはEQ(心の知能指数)が大事らしい。

学校で優秀な成績を収めるには、たいてい古い思考方法をマスターする必要がある。一方で、素晴らしいキャリアを築くには、常に新しい考え方不可欠だ。ダニエル・ゴールマンは、ビジネスのパフォーマンスを上げるためには、EQが知能指数(IQ)よりも重要であり、経営幹部陣が成功をおさめる要因の「ほぼ90%」をEQが占めると主張している。

ただ聴いてもらうだけで人は安心して素直になれる。親身に、公平な態度でじっと耳を傾ける人と対話することで、人々の不安は軽減され、自己防衛が緩和されることが、複数の実験で明らかになっている。人々は思考の矛盾を避けようとするプレッシャーをあまり感じなくなり、それにより自分の意見を熟考し、心の内のニュアンスに気づき、思ったことを率直に述べられるようになったという。

このような傾聴法の利点は、11の対話に限られるわけではない。グループの議論でも有用とのこと。政府機関、テクノロジー企業、そして学校を対象に、スティックを持つ人だけに発言権が与えられ、他の人は傾聴するというルールでグループの議論を実施する実験を行ったところ、人々の考え方はより多面的になり以前ほど偏ることがなくなった。

心理学者は、気持ちや扱い方を理解するのに困難を感じることがある相手と膝を交えて話し合う時などに、このスキルを使ってみることを勧めている。それは、発言者の主張を正しく理解するように努め、発言者の主張に興味を持ち、そして発言者の主張を遮ることなく数分間、黙って聞くために、それらがきわめて有効だから。

多くの人は話をする時、自分を賢く見せようとします。それに対し、優れた傾聴者が賢く見せようとするのは、自分自身ではなく対話の相手です。優れた傾聴者は、相手が自身の考えを謙虚さ、疑念、そして好奇心を持って掘り下げるように手助けします。そうすると、相手は自分の考えを表現する機会を得た時、新しい発見を見出すことが多いのだと。

※参考文献:『THINK AGAIN 発想を変える 思い込みを手放す』(アダム・グラント著/三笠書房刊)

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2023年2月13日 (月)

文学からネットまで誤植・誤字・誤変換の変遷

ツイート、ブログでの反省から図書館で手にした『誤植読本・増補版(筑摩書房)』に目を通すことで、修正のきかない出版物の著者並びに編集者・校正者のご苦労がよくわかりました。Twitterのツイートなど一部を除いて、発信情報の誤りを上書きできる時代では想像もできないご苦労の一端をご紹介し、最後にSNS上の誤変換について触れます。

『誤植読本・増補版』高橋輝次著/筑摩書房 Ⅰ 誤植打ち明け話 外山滋比古 「校正畏るべし」・・・書いた本人が校正をすれば誤植が根絶できるかというと、そうでもないからやっかいだ。むしろ当人の校正の方がミスが多い。意味をとって読むからだろうと言われている。校正というものは、よほどていねいに見たつもりでも誤植が残る。

電話で送信する新聞には面白い同音異字型の誤植があらわれる。「学校給食にお食事券」の正体は「学校給食に汚職事件」であった。仮名もよく誤植のタネになる。婦徳を説いた一文の中に、「ゆする心がけ」とあったらびっくりするだろう。これは「ゆずる心がけ」の誤りだった。

Ⅰ 誤植打ち明け話 林真理子 「誤植」(出典同上)ああ恥ずかしい。これほど恥ずかしいことがあってよいものだろうか。私が書いた散文の中で、ものすごい誤植が発見されたのである。誤植というのは、印刷のミスなどで、全く違う文字や言葉が入ってしまうことをいう。それに気づかないのは編集者のミスということになるが、まあすべての責任は私にかぶさってくる。

ミスはミスなりに、いかにもそれらしく支離滅裂になってくれればいいものを、その誤植は実に見事にきまっていた。「○○○○できまる」と書いたところ、「できまる」が「できる」になっていたのである。たった一文字違うだけなのに、たちまち未婚の女性が口にすべきではない表現になってしまう。ああ恥ずかしい。

Ⅳ 近代作家の誤植・校正 佐藤春夫 「誤植というもの」(出典同上)校正のむつかしさを、葉を掃くがごとしと言ったのは中国人である。一つ見つけて整理したと思うころにまた一つ見つかる。あとへあとへきりのないところを、校正者の側から落葉の庭を掃くと見立てたのであろう。人を悩ますこと最も多いものは、ミスプリントだと言ったのは、誤植本を読む側から言ったアメリカの駄じゃれであろう。

 自分で見ると自分の記憶で調子に乗って読んでしまうから、かえって間違いを気づかない場合もある。その点、散文は詩よりはいくらかよいが、落ち着きのないそそっかしい自分はいずれにせよ、校正者としては不適当な人間である。そのために校正しているのだとは思いながらも、あまりひんぴんと出る誤植を見ると、腹が立って来てしまうのである。

 VOW ニッポンの誤植(宝島編集部・編)』より。←の左側が誤変換例。

「人妻なんだね」←「一つ学んだね」 「杏と匂いの木」←「アントニオ猪木」

「これモアイの力です」「これも愛の力です」

❖「胃マドンナ状態」←「今どんな状態」 ❖「徳川マイ雑巾」←「徳川埋蔵金」

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2023年2月 6日 (月)

怒りを収める「呼吸法」と「漸進的筋弛緩法」

あなたは、怒りを感じたとき、どんなふうに表現しますか? 『感情の問題地図』(技術評論社)には以下の5例が紹介されています。「カッとする」「はらわたが煮えくりかえる」「頭に血がのぼる」「目くじらをたてる」「へそを曲げる」。どうでしょう、何か思い当りありませんか? そう! 身体の部位が含まれている表現が多いのです。

怒りを感じると身体は闘争モードになって、覚醒度が上がります。大事なものを守るためにはエネルギーが必要不可欠ですが、覚醒度が高い状態では冷静な判断力が失われています。せっかくのエネルギーを「机を叩く」などの衝動的な行動で消耗してしまうのではなく、冷静さを取り戻せるクールダウン法に振り向けるのが正しい対処法とのこと。

冷静な判断力を取り戻すためのクールダウン法について、同著では「呼吸法」「漸進的筋弛緩法」「カウンティング(数を数えて時間を稼ぐ)」「イメージ法(怒りが和らぐイメージ)」「リマインダー法(魔法の言葉)」の5種類が紹介されていますが、本稿では職場でもすぐにできる、「呼吸法」「漸進的筋弛緩法」の2つを取り上げることにします。

呼吸法は、「吸う」と「吐く」の長さの比率をコントロールすることで心を調節するものです。吐く秒数が長くなるほど、副交感神経が優位になりやすく、心身のリラックスができるようになります。『心の整えかた トップアスリートならこうする(NHK出版)』には「吐く」を長くするケースと、「吐く」を短くする 2つの呼吸法が紹介されています。

「吐く」を長くして、より深くリラックスする:緊張していたり、体が堅くなっていたりするときは、息を吸う割合と吐く割合を12にします。息を吸うときは4秒かけ、息を吐くときは8秒かけて、吐く時間を倍にするということです。最初は3回から5回ほどやってみましょう。副交感神経が優位になり、心や体が深く落ち着く方法です。

「吐く」を短くして、やる気を引き出す:落ち込んで、やる気が出ないときは、浅く速い呼吸をすると、交感神経が優位になり、やる気を引き出すことが可能になります。呼吸の比率を2対1に変えます。息を吸うときは4秒かけて、吐くときは一気に2秒以内で吐き出しましょう。これを3回から5回ほど繰り返してみます。

どちらの呼吸法も、慣れるまでは、秒数を数えることに集中してしまうかもしれませんが、練習を続けていくと意識的に数えなくても効果的な呼吸ができるようになるそうです。呼吸法とあわせて実践したいのが、筋緩和法です。これは、一つひとつの筋肉を意識的に収縮させ、その後で緩めていくリラクゼーション法です。

リラックスした身体の状態を認識するために最初に筋肉を収縮させます。例えば、「肩の力を抜いて!」と伝えても、「え、抜く? すでに肩の力は抜けていると思いますけど」という人が多く、なかなか力を抜けません。まず意識的に体に力を入れ、そして力を抜く。これを繰り返えすことで体の力が抜けている状態が理解できるようになるそうです。

参考文献:『過剰の問題地図』(関屋裕希著/技術評論社) 『心の整えかた』(田中ウルヴェ・京著/NHE出版)

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